Ⅰ第伍話【ギャップ(下)】
日本国 青森県___
「到着しました」
山では異怪が無造作に暴れていた。
「人のいない山だからいいが、暴れられると困る」
るりねが腰にさしている刀を引き抜き、
冷たく言った。
雰囲気は一変し、瞳に光を宿さず、戦闘モードに入っている。
「では、討伐開始します」
サクラの言葉を引き金に、戦闘開始。
瞳から光を消したるりねとサクラを前衛に。
「こいつらはやはり無か。何も聞こえない」
るりねは異怪に対して読心をしたが、
異怪は脳がなく、本能のままにしか動いていない為何も聞こえない。
そのまま無慈悲に異怪を斬り倒す。
だが、異怪に対してこんな事をしていては、
本来は命がいくつあっても足りない。
るりねがそんな事をしている間に、
サクラは躊躇なく日本刀で斬り倒していく。
戦闘モード『大日本帝国モード』だ。
己を見ず、目の前の敵に突っ込んでいく。
「サクラ!避けろ!」
インリスが叫び、
持っている改造マシンガンで異怪を撃ち倒す。
インリスは戦闘モード『大英帝国モード』だ。
戦闘を快楽的に楽しんでいるように見えるが、
内心は目の前の戦闘相手を確実に潰す事だけだ。
それに敬語も消えている。
「僕の武器もマシンガンに改造しようかな」
改造アサルトライフルを持った優媛が言った。
「やめろ。今の状態で強えのに」
インリスの言う通り、今でも優媛は強い方だ。
でも、優媛もかなり自虐が多い為、
そんな事はないと言って否定する。
優媛と、インリスがそう話している間にも、
サクラとるりねは任務を進めていく。
「数が多いな」
広義は持ち前の刀を使い、倒していく。
広義は刀を使った近距離戦を得意とする。
だが、サクラほど己を見ないわけではない。
「サクラ、あまり目を逸らすな。やられるアル」
王はヌンチャクを振り回し、倒していく。
王は近距離戦も遠距離も得意とする。
だが、特に戦闘でも何かモードがあるわけではない。
「ラファエはどこ行った?」
「ちゃんといるから安心し〜」
るりねがラファエの安否を心配したが、
どこからかショットガンを持ったラファエが、
気楽そうにやって来た。
ラファエは自由な戦い方であり、
改造したショットガンは軽く、持って動きやすい。
「あいつは相変わらずか…」
インリスは呆れた表情をしている。
隣にいる優媛は苦笑いだ。
「そろそろ倒しきったかな?」
異怪は倒すと灰となる。
優媛が茂みの方へ足を踏み入れると、
地面に異怪が潜んでおり、足を掴まれる。
「!?」
異怪が地面から飛び出し、尖った牙を剥き出しにした。
「媛!!」
焦りを見せた広義が即座に異怪を斬り倒した。
「大丈夫か?」
「平気!ほんまにだんだんね」
だが、ロードナイトのような瞳は揺れている。
「(潜伏だと?)」
るりねは優媛が助かったのを確認し、
異怪が潜伏していた茂みを怪訝そうに観察。
「変わったやつだな…前はあんなのはいなか_」
インリスが散策していた森に背を向けると、
森の奥から隙を伺っていたらしい。
再び異怪が不意打ち攻撃してきた。
「まだいたか!」
「よっと」
ラファエが異怪を撃ち抜き、倒した。
「インリス!?大丈夫〜?」
「……助かった」
異怪を全て倒し切った…が、
るりねが何やら考えているようだ。
サクラもるりねも瞳には光を戻しているが、何か違和感があるらしい。
皆、武器をしまい込んだ。
だが、警戒は消えていない。
「何故潜伏してたのか」
「何故潜伏していたのでしょうか」
二人が同じ事を言った。
「異怪は本能のままにしか動かないはずだ」
「それなのに地中に長時間潜るなど不自然です」
そう、異怪には考える力がない為、
本能のままにしか動かないのだ。
「前より変わってるよね。僕でもわかるくらいに」
優媛が自虐気味に同意する。
「なんだろうね〜…敵が動いてるんだろうね〜」
ラファエが陽気的に言うが、その言葉は確信を
ついている。
「だろうな」
インリスが同意の言葉を発すると、
菊がやって来た。
「任務完了しました。お疲れ様です」
皆戻ろうとしたが、
るりねが足を止め、菊の方を向いて、こう言った。
「菊、あの人達に通達して。『頼みがある』って」
今回の地として使わせていただいたのは「日本国青森県」です。




