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Ⅰ第參話【キャットライト】

 任務後の次の日_


「結が今日誰か来るみたいな事言ってたけど…誰来るんやろ?」

 翠翼は少し境内で横になっていた。

 そして少しの間、目を瞑っていると声をかけられた。

「自分がルミナスカーレッジのやっちゃか?」

 翠翼が目を開けると、藤色の瞳をした少女が顔を覗き込んでいた。

「うわ!?」

「あだ!?」

 翠翼は驚いて飛び起き、少女とぶつかってしまった。

「急に起き上がらんといて!!」

「ご、ごめんね?というより君は?」

 翠翼は冷静さを保ちながら、少女に聞いた。

 周りを見ると、境内前にも誰か二人立っていた。

 一人は黒髪でロードナイトのような瞳、もう一人は金髪で紅緋色の瞳をしている。

「なんや、聞いてないんか?」

「どうした!?」

「なんか音したけど…」

 物音を聞いて実音と霊唯がやって来た。

「あ、るりねやん」

 霊唯が藤色の瞳の少女見て言った。

「久しぶり。霊唯姉」

「え?知り合い?」

 翠翼はまだ困惑したままだ。

「………」

 実音は何か考えているのか、初対面じゃないような表情をしていた。

 ―――

 無神社の中で_

「すみません!

 まさかキャットライトのるりねさんだとは…」

 翠翼は申し訳なさから謝罪をしていた。

「こっちも急に来たん悪かったな。

 それに見た目が見た目やけん。

 改めて、(それがし)はるりね。

 本名は長いけん覚えんでええよ。」

 藤色の瞳の少女の名は『るりね』

 ヨミテラスのクラスの一つ『キャットライト』の若きリーダーなのだ。

 キャットライトはランク222位で戦闘時と普段が

天と地ほど違うと有名なクラス。

 るりねは瞳と髪は藤色をしており、身長はやや低い。

 頭には黒色の猫型ニット帽、月の飾りがある。

 整った顔つきには、幼さが残る。

 薄紫色の服の上には赤紫のスカーフ。

 関西弁と伊予弁が混ざった口調だ。

「そちらの方は?」

 境内前にいた2人の事だろう。

 今はるりねと同じく武器の点検をしてくれている。

「同じくキャットライトメンバーで、(それがし)の育ての親でもある。

 蜜和優媛(みわゆうひ)四方城広義(よもしろひろき)

「よろしくね」

 黒髪でロードナイトのような瞳の人が蜜和優媛。

「よろしく」

 金髪で紅緋色の瞳の人が四方城広義というらしい。

「にしても、若いとは聞いてたけど、こんな可愛らしいとは知らなかったや」

 狐姫奈がそう言うと、

「さらに武器開発やってるなんて最初は私も信じられなかったよ」

 と結もるりねの第一印象を言った。 

 二人の言っているように、

 るりねはかなり子供っぽく、可愛らしい。

 さらに身長も平均的な身長ではない。

 だが、るりねがリーダーのキャットライトは武器開発を行っており、ルミナスカーレッジの武器も全てキャットライトが作ったものだ。

「大丈夫。戦闘の時には欠片もないけん」

 笑いながらるりねが答えた。

「にしても、よく点検しながら話せますね…」

 翠翼の言った通りだ。

 普通に会話をしているが、キャットライトの三人は武器点検をしながら、話していた。

「慣れとるけんね〜」

 優媛がふんわり答えた。

「るりねが開発しよるじゃけぇ。よういろとる」

 広義は納得の回答をした。

「方言も凄いね〜」

 狐姫奈がそう言った。

 それは霊唯と狐姫奈も値するが、確かにそうなのだ。

 優媛は伊予弁、広義は広島弁のような口調だ。

「優媛は愛媛県、広義は広島県やけんね〜」

「なるほど。優媛さんは愛媛出身、広義 さんは広島出身なんですね!」

 翠翼は納得したように言ったが、るりねは少し意味深に

「ある意味そうなんか」

と言った。

「ある意味?」

 実音が聞き逃さず、言葉の意味を問う。

「優媛と広義はなんか『都道府県ヒューマンズ』とか言われるやつらしいけん」

「あ、各都道府県に突然現れた人って

事ですか!?」

「そだね〜」

 優媛と広義はこの世界でいう、都道府県ヒューマンズらしい。

「へぇ〜、そうなんや!」

 翠翼と狐姫奈は興味津々な表情だが、

「まぁ今時は珍しくないね。会う率低いけど」

 霊唯と実音は表情を変えなかった。

 霊唯の言う通り、この世界の現代では、

都道府県ヒューマンズがいても珍しくはない。

「狐姫奈と実音は身体診てもらおっか。

お願いします」

「おっけ〜」

 優媛が狐姫奈と実音の身体を診る。

「優媛さんはお医者さんなの?」

「担当的には回復だから…間違ってはないのか?」

 翠翼が結に聞いた。

「優媛は神童で、治癒能力を持ってるの。

だから何かあっても酷くなければ治療できる」

 とるりねが言った。

 優媛は神童であり、治癒能力を持っているらしい。

「そうなんですね!」

 霊唯がふと思い出したかのように言う。

「それで言えばるりねも神童で読心っていう心を読む能力持ってるよ」

「るりねさんも凄いなぁ…あれ?」

 翠翼は感嘆の声を漏らしたが、すぐに違和感に気づいた。

「?」

「霊唯は神童ではないよね。姉妹ではあるんだよね?」

 霊唯は人外的な腕力を持っているが、これは常人でも限界まで鍛えれば同じくらいの力になる。

 その為、霊唯は神童ではないのだが、

るりねが霊唯を「霊唯姉」と呼んでいたことから

翠翼は二人が姉妹だとは気づいていた。

「姉妹ではあるよ。でも、自分は神童やない」

「………そうなんや」

 翠翼が何か言いかけたが、遮るように、

完全復活した狐姫奈がるりねに聞いた。

「ねぇ!キャットライトの他の人ってどんな人?」

 るりねは笑顔で答える。

「ここには居ないんやけど、サクラとインリスと王とラファエっていう『カントリーヒューマンズ』とか呼ばれる人やね!

 サクラは落ち着いとって表情あんま変わらんの。  

 インリスは表情には出やすいね!王はサクラとは正反対やけどサクラとのコンビが一番滑らかで、

ラファエは自由人!とにかく明るくてインリスとは腐れ縁なんよ!」

 るりねはペラペラと楽しそうに話し続ける。

 狐姫奈はうんうんと頷きながら、興味津々に聞いている。

「相変わらずの早口やなぁ…」

 広義がぽつりと言ったが、

 るりねは反応を示さなかった。

「サクラは日本、インリスはイギリス、ラファエはフランス、王は中国なんよ」

そうるりねが言い終わったところで、

「そろそろ、帰ろっか。サクラに怒られちゃうよ」

と、実音を完全回復させた優媛がるりねに言った。

「お見送りしますよ!」

―――

 そして神社の外まで見送る事とした。

「それじゃ、また!」

「前を見ろ!?」

 優媛が後ろ向きで歩き、転びかけたが、

るりねが笑っている事から、

いつもの事なのだろう。

「大丈夫ですか!?」

 結と狐姫奈も優媛の方へ駆け寄った。

「…翠翼さんでしたね?」

 るりねは優媛が大丈夫だと見てから、翠翼の方へ向き直った。

「はい。あれ?自己紹介しましたっけ」

 実はテンパりすぎて、ルミナスカーレッジは誰も自己紹介をしていなかった。

 るりねは声を潜めて、また優しくこう言った。

「弟さん、お元気ですよ」

「!?」

そう言って、優媛と広義の元へ走っていった。

「………」

 翠翼は寂しそうな表情で三人の背中を見送った。

「………D6」

 聞こえないくらい小声で霊唯は言った。

 地球上の言葉ではない、謎の言語。

「…霊唯?」

 聞き取れた者は実音くらいだった。

今回の地として使わせていただいたのは「無神社」です。

ちなみに無神社は辿り着ける者の少ない神社であり、そもそも場所を知っているか、迷い込まなければ辿り着くことができません。

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