26話 囚われし者
すみません。
投稿予約忘れてました……。
「神界……」
見覚えのある空間、無のようで荘厳なこの空間はやはり慣れない。
しかしここに呼ばれたということは何かあそこにあったのだろう。
「よくぞ来た。聖者よ」
「創造神様、何用でありましょうか?」
そこにいたのは創造神様だった。
この世界の創造主たる創造神は神々の中でも最高の存在とされている。そんな存在が態々呼び出してきたことに疑問を感じていた。
「かの地はかつて聖者が籠り修行に励みし地の境であった。されど浅ましき悪意に満ちし者により穢されておった。穢され、囚われし者を土地と共に解き放ったのはそなたである」
「つまりあの地は聖地であると」
「うむ。聖地は西のみにあるものではない。既に西の聖地は訪れておろう。東まで手を伸ばしたソナタは勤勉なり。だがあの峰は聖域の境に過ぎん、先に進むが良い。真なる東の聖地が待っていよう」
境、確かにナミも「西境の森山」と呼んでいた。
つまりあの一帯全域が聖域、その中に聖地があるというわけか。
「聖域と言えど、全ての地が聖別されたわけではない。そなたなら気づいておろうがな。世から告げるべきことは告げた」
話し終わるなり無言でこちらを見つめてくる。
これはつまり「質問はないか」と無言で問うてきたと……相変わらずだ。
訊きたいことならある。
簡易的であっても少し調べればこの状況に疑問符が付く。
「西と東の教えの違いは何故生まれたのですか?」
「人は想像豊かな者也、かつての者共の捉え方に他ならん。我々を崇めることには変わりはない。だが捉え方は聖者の在り方にも及ぶ。双方を学ぶことに意義はあろう」
なるほど、神の名前、教義、その他諸々、この国とチバンカ教国では違いが多い。共に同じ神を崇める宗教を国の根幹に置いていながら別物と言える理由はそこだったのね。
「時はまだ満ちておらぬ、されど歩みを止めてはならぬ。だが悪意邪意は邪なる者を育てる。そなたは使命を越えて使命を果たそうとした。素晴らしきことよの」
そのままの意味だ。
つまり、あの魔族を討ったのは使命を越えて使命に貢献したということか。
しかしそんな秘密があったとは……。
「ではあの魔族は……」
「元は淡々と独力で修行を続ける修行者だった。だが彼の者は孤高故、人の世から離れすぎておった、それ故に恨み妬みを集めたのだ。彼の者を好ましく思わぬ奴らが悪意によりあの地で殺め、貶した。故に彼の者はあの地に悪意により囚えられ魔族へと変じた。奴らは悪意の闇に呑まれ消えていったわ。だがその悪意の闇は聖域を越えて世界に影響を及ぼしておる」
正体は兎も角、予想は的中した。アレが邪なる者の強化に繋がっていたとは思わなかったけど。
それにしても殺された人付き合いが悪かった修行者ねぇ……。一途で真面目と言えばそうなのだろうけど、もう少し柔軟な生き方は出来なかったのだろうか?
「彼の者はそなたの刃にて浄化され解き放たれた。既に流歴され輪廻の輪に還っておる」
あの安らかな顔は悪意から解き放たれたことに対する安堵だったのね。
「まだ何かあるか?」
「いえ、ございません」
「ならば良かろう。励むが良い」
視界が歪む。どうやら地上に戻されるようね。
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