第27話 契約文は車輪の下に
クララ・ヴェルムは、翌朝から床を見ていた。
正確には、床板の隙間を見ていた。
もっと正確に言うと、旧客室の床板の隙間に顔を近づけ、片目を細め、息を止め、何かを読もうとしていた。
朝食前である。
普通なら、食べ物を探す時間だ。
ロイとネルは実際にそうしていた。
ミラは荷物表を確認している。
レイナ先輩は窓の曇りを拭いている。
リリィは迷子一号を転がし、列車の揺れを見ている。
ノル先輩は寝ている。
ガレス先輩は工具箱を開けている。
ジャックは工具箱を見ている。
コレットは昨夜の夢の記録を読み返している。
俺は、クララの様子を見て、少しだけ不安になっていた。
「クララ」
「はい」
返事はある。
ただし、顔は床に近いままだ。
「床に何か落としたのか」
「落としました」
「何を」
「理性を少し」
「拾ってくれ」
「あとで拾います」
駄目そうだ。
クララは古代文字しか読めない。
現代魔法では落ちこぼれ扱いされるが、古い旗や術式に関しては誰よりも鋭い。
その彼女が床に理性を落としている。
つまり、何かを見つけたのだ。
「読めるんだな」
俺が聞くと、クララはゆっくり頷いた。
「読めます。読めてしまいます。読めるのに、床下です。なぜ契約文を床下に刻むんですか。普通は壁か梁か契約板です。なのに床下です。読ませる気がありません。でも残す気はあります。ひどいです。最高です」
「感情が忙しい」
彼女は床板の隙間に細い鏡を差し込んだ。
手製ではない。
ガレス先輩の工具箱から借りたものらしい。
小さな反射鏡に、床下の暗い空間が映る。
そこに、かすかな文字があった。
俺にはただの傷に見える。
クララには違う。
「昨夜、ノルさんの夢で古代記録路が反応しました。壁に出た文字は断片でしたが、反応源は壁ではありません。床です。車輪に近いところ。つまり、列車の契約の根に近い場所です」
「根」
ネルが焼き菓子をかじりながら言った。
「列車に根っこあるの?」
「比喩です」
「分かってる」
「本当に分かっていますか」
「たぶん」
クララは床から顔を上げた。
目が輝いている。
寝不足の光だ。
「列車の契約文は、普通、車両ごとの管理権限、魔力供給、走行安全、旗の固定、乗員制限などを定めます。現代の巡業列車は、連盟による標準化契約で管理されています」
「うん」
ロイが頷いた。
「分かってない顔だ」
ジャックが言う。
「勢いで頷いたっす」
「正直」
「でも、続き聞きたいっす」
クララは嬉しそうにした。
説明を聞いてもらえるのが嬉しいのだろう。
「でも、この旧客室の床下には、それより古い契約文があります。現代契約に上書きされず、残っている。おそらく初期巡業列車時代の契約です」
「何て書いてあるんだ」
俺が聞くと、クララは鏡を調整した。
「全文は読めません。揺れるし、暗いし、床下だし、文字が摩耗しています。でも、一部は読めます」
彼女は手帳を開いた。
そこには、昨夜から書き写した古い文字が並んでいる。
クララの字はいつもより乱れていた。
興奮がそのまま出ている。
「一つ目。『後ろに置くもの、捨てるにあらず』」
旧客室が静かになった。
後ろに置くもの、捨てるにあらず。
低優先参加校。
後部補助車両。
残された校の客室。
それらが、また少し別の意味を持つ。
「二つ目。『敗れし旗、名を失いし旗、道を失いし旗、最後尾にて記す』」
コレットの指先が、手帳を握る。
敗れし旗。
名を失いし旗。
道を失いし旗。
最後尾にて記す。
昨日のノル先輩の夢とつながる。
第七、最後。
落としたものを拾う。
「三つ目」
クララは少し息を吸った。
「『第七の座、勝者の前にあらず。帰る者の後ろにあり』」
ロイが小さく言った。
「第七」
「はい」
クララの声も少し震えている。
「第七、という語が契約文にあります。部活動の第七ではなく、列車編成上の役割かもしれません。初期巡業列車には、勝者を前へ、敗者を後ろへ配置する儀礼があった可能性があります。その最後尾に、第七の座があった」
「それが、今の第七部と同じ名前なのは偶然か」
アルフが聞いた。
「分かりません」
クララは即答した。
興奮しているのに、そこは慎重だった。
「偶然かもしれません。後世に名前だけが残り、カルミアの部活動名に使われた可能性もあります。あるいは、カルミアには古い第七の役割が残っていて、それが再編後の部名に混ざった可能性もあります」
「つまり」
ネルが言う。
「分かんないけど、怪しい」
「はい」
クララは力強く頷いた。
「とても怪しいです」
そのまとめでいいのか。
だが、分かりやすい。
「四つ目は、ほとんど読めません。ただ、単語だけ拾えます」
クララは手帳を見た。
「『忘却』『証人』『戻る』『白い手』『印を奪う』」
俺の背中が、冷えた。
忘却。
証人。
戻る。
白い手。
印を奪う。
昨夜のノル先輩の夢。
白い手袋。
判子の音。
旗を見ない人。
リメルの名前がまだ名前ではなかったこと。
俺の記憶が失われること。
線が増えていく。
でも、まだ絵にならない。
「ルカ」
ネルが俺を見た。
「顔」
「どんな顔だ」
「また、自分だけで何か考えようとしてる顔」
「便利だな、その顔判定」
「便利。だから言う」
俺は息を吐いた。
胸の前には、今日は記録箱をかけている。
ミラの結び方で。
肩と手、半分ずつ。
強く抱え込まない。
でも、離さない。
俺は箱に軽く触れた。
「忘却って単語があるからって、俺のこととは限らない」
「そうですね」
クララが言った。
「限りません。でも、無関係とも言えません」
「正直だ」
「正直でないと、古代文字に嫌われます」
「古代文字って感情あるのか」
「あります。読めない人には冷たいです」
クララの個人的感想のような気もする。
だが、彼女にとっては本当なのだろう。
コレットが手帳を閉じた。
「今の情報を整理します」
彼女は旧客室の小さな机に紙を広げる。
いつもの負け筋表ではない。
今回は、契約文の整理だ。
一、旧客室には初期巡業列車の古代契約が残っている。
二、後ろに置くものは捨てるものではない。
三、敗れた旗、名を失った旗、道を失った旗を最後尾で記す役割がある。
四、第七の座という語がある。
五、忘却、証人、戻る、白い手、印を奪うという単語がある。
六、リメルは列車に「待ってた」と記録された。
コレットはそこまで書いて、顔を上げた。
「これは、まだ作戦には使えません」
「え、使わないんすか」
ロイが意外そうに言う。
「使えません。意味が分からないものを、勝手に都合よく使うのは危険です」
その通りだった。
古い契約。
列車の記憶。
リメル。
俺の忘却。
すべてが関係しているように見える。
だが、見えるだけで飛びつくと、たぶん痛い目を見る。
「ただし」
コレットは続ける。
「守ることには使えます」
「守る?」
「リメルに記録を背負わせすぎない。ノルさんに夢を見せすぎない。クララさんに一人で読ませすぎない。ルカさんに忘却という言葉を一人で抱えさせない」
最後の一つが、少し痛い。
でも、ありがたかった。
「情報の背負い方も決めます」
コレットは言った。
「ミラさんの荷物表と同じです」
ミラが真面目にうなずく。
「情報も荷物」
「はい」
コレットは紙に新しい表を書いた。
契約文記録。
担当。
クララ、読解。
ノル、夢断片。
リメル、記録は一つ。
コレット、整理。
アルフ、危険判断。
ルカ、単独判断禁止。
「ちょっと待て」
俺は言った。
「俺の欄だけ命令じゃないか」
「必要なので」
コレットは真面目だった。
ネルが笑う。
「単独判断禁止」
「笑うな」
「いいじゃん。あんた向き」
「向いている禁止って何だ」
レイナ先輩が言う。
「自覚があるなら従いなさい」
「全員で包囲してくる」
ガレス先輩まで静かに頷いた。
ジャックが鼻を鳴らす。
「勝手に魔法使うやつにはちょうどいいだろ」
「君に言われると納得しづらい」
「俺も撃つ前に言うようになった」
それはそうだ。
撃たない宣言。
撃つ宣言。
ジャックは少しずつ変わっている。
なら、俺も単独判断禁止くらい受け入れるべきなのかもしれない。
「分かった」
俺は言った。
「契約文や忘却絡みで何かあったら、一人で決めない」
「そこそこ絶対?」
ネルが聞く。
「そこそこ絶対」
変な合言葉になってしまった。
リメルが旗布を揺らし、表の横に小さな文字を浮かべた。
みんなで持つ。
ミラが満足そうにうなずく。
「いい」
「リメル、最近かなり要約がうまいっすね」
ロイが言った。
「部長の影響かしら」
レイナ先輩が言う。
コレットは少し照れた。
クララはまだ床下を見たい顔をしている。
だが、コレットが先に釘を刺した。
「クララさん、床板を外すのは禁止です」
「まだ何も言っていません」
「顔に書いてあります」
「古代文字で?」
「普通にです」
クララは少し肩を落とした。
「せめて、床下の写しを取るための道具を作ってもいいですか」
ガレス先輩が顔を上げる。
「作れる」
ジャックも工具箱を見る。
「鏡と細い支柱があればいけるな」
クララの目が輝く。
「いいんですか」
「床を壊さないなら」
コレットが言う。
「壊しません」
クララが即答する。
全員の視線がガレス先輩とジャックへ向く。
「壊さない」
ガレス先輩が言った。
「壊すなって顔すんな」
ジャックが言う。
結局、旧客室の中で床下読取器を作ることになった。
名前はまだない。
ロイは「床下のぞき君」と提案し、即座に却下された。
リリィは「品性が床下ですわ」と言った。
レイナ先輩は「契約読取鏡」と言った。
クララは「古代契約文床下反射式読解補助具」と言った。
長い。
ミラは「読む棒」と言った。
結局、現場では「読む棒」になった。
クララは少し不満そうだったが、使いやすさには勝てなかった。
読む棒は、ガレス先輩が支柱を作り、ジャックが曲げ角を調整し、レイナ先輩が布巻きで持ち手を整え、アルフが安全な使用角度を決めた。
リリィがなぜか小さな羽根を召喚したので、それを目印に付けた。
羽根は役に立たないようで、棒の向きが分かりやすくなった。
リリィは胸を張った。
「予定外の装飾ですわ」
「便利」
ミラが言う。
「褒められましたわ」
リリィは少し嬉しそうだった。
クララは読む棒を床板の隙間へ入れた。
全員が見守る。
彼女は慎重に角度を変え、床下の文字を反射させる。
小さな鏡に、かすかな線が映った。
クララの表情が変わる。
「読めます」
声が震えていた。
「さっきより、読めます」
コレットが記録の準備をする。
「ゆっくりでいいです」
「はい」
クララは息を整えた。
「『第七は、勝者を裁かず、敗者を笑わず、落ちた旗の名を問う』」
レイナ先輩の目が細くなる。
リリィの指が、小石に触れる。
ロイが小さく息を吸う。
勝者を裁かず。
敗者を笑わず。
落ちた旗の名を問う。
それは、今の第七部の空気に近かった。
負け筋を見る。
残ったものを拾う。
迷子の小石に名前をつける。
失敗を一度目と呼ぶ。
音を黙らせず、届く場所を探す。
「第七」は、もともとそういう役割だったのか。
「次」
クララは続ける。
「『名なき旗を用具と呼ぶな。旗は道具にあらず。証人なり』」
リメルが大きく揺れた。
旗は道具ではない。
証人。
俺たちはもう、リメルをただの道具だとは思っていない。
でも、契約文にそう書かれていた。
古い時代に。
「証人って、何の証人だ」
ジャックが言った。
クララは首を横に振る。
「そこは読めません。続きが摩耗しています」
「証人」
コレットが繰り返す。
「負けた旗が、何かを証言するのでしょうか」
「可能性があります」
クララは読む棒を少し動かす。
「あ、別の断片があります」
全員が息を詰める。
「『忘れた者に、忘れたことを責むな。戻る道を問え』」
その瞬間、旧客室の音が遠くなった。
忘れた者に、忘れたことを責むな。
戻る道を問え。
胸の奥に、何かが落ちた。
俺の欠陥魔法。
魔法を使うたび、大事な記憶を失う。
忘れたことを責められるのは、つらい。
でも、忘れた側も、責められないことがつらいときがある。
忘れた自分を、どう扱えばいいのか分からなくなる。
戻る道を問え。
戻る。
完全に思い出すことではないのかもしれない。
戻る道。
誰かが教えてくれる道。
リメルの記録。
ネルの「言うから」。
ミラの荷物表。
コレットの整理。
ロイの帰る音。
ノル先輩の夢。
そういうもののことかもしれない。
「ルカ」
コレットが静かに呼んだ。
「一人で考えない約束です」
早い。
さっきの表がもう効いている。
俺は苦笑した。
「考えたばかりだ」
「言ってください」
全員がこちらを見ている。
逃げ道がない。
でも、嫌ではなかった。
「忘れたことを責められないのも、つらいときがある」
俺は言った。
声に出すと、思ったより生々しかった。
旧客室が静かになる。
「忘れた俺が悪い。魔法を使った俺が悪い。そう思うほうが簡単なときがある。でも、誰かに責められないと、どこへ戻ればいいのか分からない」
ネルがじっと俺を見ている。
俺は続けた。
「戻る道を問え、っていうのは、たぶんありがたい。忘れたことをなかったことにするんじゃなくて、どこへ戻るかを聞いてくれるなら」
言い終えると、息が少し軽くなった。
単独判断禁止。
悪くない。
ネルが小さく言った。
「じゃあ、忘れたら聞く」
「何を」
「どこに戻る? って」
「答えられなかったら」
「あたしが決める」
「急に怖い」
「冗談」
少し間を置いて、ネルは付け足した。
「半分」
「半分か」
ロイが手を上げる。
「俺、戻る音出すっす」
「それは助かる」
ミラも言う。
「戻る荷物表、作る」
「何でも表にするな」
「便利」
便利なのは分かる。
レイナ先輩は腕を組んだ。
「戻る道にも、見苦しくない案内が必要ね」
「そこも美意識なんですか」
「当然よ」
リリィが小石を転がす。
「迷子は道案内が必要ですわ」
ノル先輩は寝ながら言った。
「夢で、道聞く」
ガレス先輩が短く言う。
「壊れた道、直す」
ジャックが鼻を鳴らした。
「邪魔な壁なら、壊す」
アルフがまとめる。
「戻る道を守る」
クララは、泣きそうな顔で手帳を抱えていた。
「古代契約、すごいです」
「それが結論でいいのか」
俺が言うと、彼女は真剣にうなずいた。
「すごいです。だって、読めるんです。わたしが読める文字で、今のわたしたちに必要なことが書いてあるんです」
その言葉に、俺は返す言葉を失った。
クララは現代魔法が苦手だ。
古代文字しか読めない。
欠陥と呼ばれてきた。
でも、その古代文字が今、第七部の足元を照らしている。
列車の床下に隠された契約文。
誰も読まなくなった文字。
読めるのは、クララだ。
「クララがいなかったら、これ読めなかったな」
俺が言うと、クララは固まった。
「え」
「いや、事実だろ」
「事実ですけど、改めて言われると困ります」
クララは手帳で顔を半分隠した。
耳が赤い。
リリィが微笑む。
「褒め言葉に弱い方が増えましたわね」
「あなたもだろ」
ネルが言う。
「わたくしは強いですわ」
迷子一号がころりとリリィの足元へ戻る。
「石には弱そうだ」
リリィは小石を拾った。
「これは例外です」
例外が増えている。
悪くない。
読む棒による読解は、そこで一度止めることになった。
理由は単純だ。
クララの目が限界だった。
古い文字は読める。
だが、揺れる列車の床下を鏡越しに読むのは、普通に疲れる。
コレットは強制的に休憩を宣言した。
クララは不満そうだったが、ノル先輩が寝言で「読める目、大事」と言ったので従った。
どういう説得力だ。
午後、クララは読んだ契約文を整理した。
題名は「後部客室床下古代契約文一次読解」。
ロイは「また役所っぽいっす」と言った。
レイナ先輩が「正確さが先よ」と言った。
コレットはそれを部の公式記録に加えた。
リメルは旗布に一つだけ記録を残した。
みんなで持つ。
昨夜の「待ってた」と並んで、その文字が揺れる。
クララはそれを見て、静かに笑った。
「契約文も、そう言っています」
「どこが?」
ネルが聞く。
「後ろに置くもの、捨てるにあらず。最後尾にて記す。証人。戻る道。全部、一人で持つ言葉ではありません」
彼女は床を見た。
「車輪の下に、こんな契約文が残っていたんです。誰にも読まれなくても、列車は走るたびにその上を通っていた。踏みつけていたのではなく、運んでいたのかもしれません」
車輪の下の契約文。
踏まれているようで、支えている。
見えないのに、走り続けるための根になっている。
クララの古代文字も、たぶん同じだ。
普段は見えない。
現代魔法の表舞台では役に立たないと言われる。
でも、床下に隠れたものを読むには、彼女が必要だった。
「クララ」
コレットが言った。
「第七部の契約担当をお願いします」
クララが目を丸くした。
「契約担当」
「はい。古代契約、旗の術式、列車の記録路。クララさんが読めるものを、部として扱えるように整理してください」
「わたしが」
「お願いします」
クララは手帳を胸に抱いた。
少しだけ、泣きそうだった。
でも泣かなかった。
「はい」
声は小さい。
けれど、はっきりしていた。
「読みます。読めるものは、わたしが読みます」
リメルが一回跳ねた。
迷子一号が床を転がり、読む棒の近くで止まった。
ロイが小声で言う。
「契約担当クララ、かっこいいっす」
「はい」
クララは珍しく、素直にうなずいた。
「少し、かっこいいです」
旧客室に笑いが広がる。
クララは照れたように、でも嬉しそうに、床下の契約文の写しをそっと撫でた。
列車は走る。
車輪の下に、古い契約を抱えたまま。
後ろに置くものは、捨てるものではない。
敗れた旗の名を問う。
忘れた者に、戻る道を問う。
その言葉が本当に何を意味するのか、まだ分からない。
でも、第七部はそれを一人に背負わせないことにした。
契約文は車輪の下にある。
見えない。
読みにくい。
けれど、確かに列車を支えている。
俺たちの旅も、たぶんそういう見えないものに支えられている。
クララが読めるもの。
ノル先輩が夢で見るもの。
リメルが一つだけ記録するもの。
誰かが忘れたとき、戻る道を聞いてくれる声。
旧客室の床下で、古い文字が静かに揺れている。
列車の振動に合わせて。
まるで、まだ読まれるのを待っているみたいに。




