第26話 列車が見る夢
ノル・フェイン先輩は、眠る場所を選ばない。
長椅子。
床。
荷物棚の下。
ミラが作った荷物止めの横。
リメルの旗金具の下。
クララの紙束の上。
最後の場所だけは、クララが本気で止めた。
「紙は寝具ではありません」
「夢では、紙もふとん」
「現実では資料です」
「現実、厳しい」
ノル先輩はそう言って、資料から三センチだけ離れて眠った。
三センチでは不十分だったので、クララがさらに動かした。
巡業列車に乗ってから、ノル先輩の睡眠時間は増えた。
いや、もともと多い。
だが、質が違う。
ただ眠いから寝ているというより、列車の揺れに引っ張られて眠っているように見えた。
車輪の音が変わると、彼女の呼吸も変わる。
トンネルに入ると、眉が動く。
駅に停まると、寝言が増える。
リメルが近くにいると、旗布と同じタイミングで寝返りを打つ。
正直、少し怖い。
「ノル先輩、列車と同期してないか」
俺が言うと、クララが即座に顔を上げた。
「同期! いい言葉です」
「しまった」
研究魂に火をつけてしまった。
クララは手帳を開き、ノル先輩の睡眠位置と列車の揺れを記録し始める。
「列車の古代術式、リメルの記録機能、ノルさんの夢再生。三つが同じ系統なら、夢を介して列車側の記憶を読める可能性があります」
「ノル先輩を実験台にするな」
「実験ではありません。観察です」
「言い方を変えても不安だ」
ノル先輩は床に丸まったまま、片目だけ開けた。
「観察される夢、見たことある」
「起きてるんですか」
「少し」
「嫌なら止めます」
クララが真面目に言う。
ノル先輩は目を閉じた。
「嫌じゃない。列車、うるさいから、誰かに聞いてほしそう」
「列車が?」
「うん」
彼女はそれだけ言って、また寝た。
旧客室に、少しだけ沈黙が落ちる。
列車がうるさい。
ロイの音がうるさい、とは違う意味だろう。
車輪の音や揺れではなく、記憶がうるさい。
そういうことなのかもしれない。
「どうしますか」
クララがコレットを見る。
コレットは手帳を閉じた。
「ノルさんが嫌でないなら、夢の記録を取ります。ただし、無理に起こしたり、夢を引き出したりはしません。ノルさんが見たものだけを、起きたあとに聞きます」
「はい」
「リメルも参加しますか」
リメルが旗金具で跳ねた。
参加したいらしい。
「ロイさん、音は」
「静かな大音量で夢を邪魔しない合図っすね」
「いえ、今回は鳴らさないでください」
「はいっす」
ロイが少ししょんぼりした。
出番がないからだろう。
ミラが彼の肩を軽く叩いた。
「静かなことも、役」
「ミラ先輩、それかっこいいっす」
「そう?」
「はいっす」
ロイは少し復活した。
単純だが、回復が早いのは良いことだ。
ノル先輩の夢を見る準備は、妙に静かに進んだ。
旧客室の灯りを一つ落とす。
荷物を固定し直す。
リメルをノル先輩の近くに置く。
迷子一号は床の中央に置かれ、列車の揺れを見る。
クララは記録係。
コレットは夢の内容を聞く役。
俺は、特に何もできないので、窓際に座った。
ネルが隣に来る。
「あんた、こういうとき本当に何もしない顔するね」
「何もしないからな」
「いつもは余計に何かしそうな顔なのに」
「ひどい評価だ」
「だいたい合ってるでしょ」
合っている。
反論できない。
ノル先輩は長椅子の下に毛布を敷き、そこへ潜り込んだ。
「なぜ下なんですか」
レイナ先輩が聞く。
「列車の夢、下から来る」
「寝台では駄目なの?」
「寝台は、人の夢が多い。床は、列車」
そういうものらしい。
クララは一語一句逃さない勢いで書き留めている。
「眠ります」
コレットが言った。
「いや、寝るのはノル先輩だろ」
「すみません。緊張して」
コレットが少し赤くなる。
ノル先輩はすでに寝ていた。
早い。
呼吸が浅くなり、列車の揺れに合わせてゆっくり深くなる。
リメルの旗布が、同じリズムで揺れた。
旧客室の灯りが、かすかにまたたく。
車輪の音が少し遠くなる。
俺は窓の外を見た。
夜の平原。
遠くに小さな灯り。
列車の一番後ろから見る景色は、いつも過ぎたものばかりだ。
でも、そのときだけ、窓に映る景色が少し違って見えた。
線路の上に、もう一本の古い線路が重なる。
木製の枕木。
短い車両。
旗を掲げた子どもたち。
いや、これは俺が見ているのか。
ノル先輩の夢が、旧客室に漏れているのか。
「見える?」
ネルが小声で聞く。
「何か、少し」
「あたしも」
ネルの声は珍しく静かだった。
旧客室の壁に、薄い光の線が浮かぶ。
クララが息を呑む。
「古代記録路です」
「声を落として」
コレットが言う。
クララは慌てて口を押さえた。
ノル先輩が寝言を言った。
「……旗台、寒い」
クララが書く。
「風、強い。歌、下手」
ロイが反応しかける。
ミラに肩を押さえられた。
「歌ってる人、泣いてる」
ノル先輩の声は、いつもより幼かった。
夢の中の誰かの声に近づいているのかもしれない。
「学校、三つ。残された校、三つ。前に乗れない。後ろでも、歌う」
旧客室の空気が冷える。
残された校。
この客室の古い文字。
リメルが反応する。
旗布が青白く光り、壁の文字に応える。
ノル先輩は続けた。
「第七、最後。いつも最後。最後だから、落としたものを拾う」
俺は息を止めた。
第七。
それは、カルミアの第七魔法競技部のことか。
それとも、もっと古い何かか。
クララのペンが震えている。
書く速度が追いつかない。
コレットの顔が強張る。
「ノルさん」
彼女が小さく呼んだ。
ノル先輩は返事をしない。
「旗、忘れた。名前、取られた。席、後ろへ。後ろ、まだ見える」
リメルの旗布に、文字が浮かびかける。
だが、すぐにはっきりしない。
ノル先輩の夢は、まだ断片だ。
「誰が名前を取った?」
クララが思わず聞いた。
コレットが止めようとする前に、ノル先輩の眉が歪んだ。
「白い手袋」
彼女が言った。
「紙の匂い。判子の音。笑わない人。旗を見ない人」
連盟職員か。
そう思ったが、断定はできない。
百年以上前の話かもしれない。
今の連盟とは違うかもしれない。
でも、似た匂いがある。
紙。
判子。
旗を見ない人。
「リメルは?」
俺は気づけば聞いていた。
ネルが俺の袖をつかむ。
聞くな、と言いたかったのかもしれない。
だが、ノル先輩は静かに答えた。
「リメル、まだ名前じゃない」
旗布が強く揺れた。
「白い旗。汚れた旗。最後の旗。忘れ物の旗」
リメルが跳ねようとして、跳ねられなかった。
旗布が重い。
記録しようとしている。
また、全部を背負おうとしている。
「リメル」
コレットが呼ぶ。
「一つだけです」
リメルは震えた。
ノル先輩の夢が続く。
「置いていかないで、って言った。列車、聞いた。だから、後ろの部屋を残した」
旧客室の壁が、ぎしりと鳴った。
ただの揺れではない気がした。
列車が反応している。
「列車が部屋を残した?」
アルフが低く言う。
「規定ではなく?」
クララが震える声で答える。
「分かりません。でも、もし旧客室が改装されず残ったのが、列車側の古い契約によるものなら」
「低優先参加校の待機場所、ではなく」
レイナ先輩が言った。
「残された校の客室」
昨日の言葉が戻る。
残り物ではなく、残ったもの。
この車両は、ただ余っていたのではない。
残された。
列車が、何かを覚えるために。
ノル先輩の寝言が、急に小さくなった。
「名前、隠した。道、隠した。勝った学校だけ、前へ。負けた学校、後ろへ。でも、後ろは見てた」
「何を」
俺の声がかすれる。
「落ちた旗。壊れた支柱。泣いた部長。戻れない子。忘れた子」
忘れた子。
その言葉が、胸に触れた。
俺のことではない。
たぶん、昔の誰かだ。
でも、俺に似ている。
魔法を使うたび記憶を失う俺と。
名前を取られた旗と。
忘れた子。
リメルが、俺のほうを向いた。
旗布に、文字が浮かんだ。
まだ、ひらがなのように揺れている。
おかえり。
俺は呼吸を忘れた。
21話の列車出発時に見た文字。
見間違いかもしれないと思った文字。
今、はっきり浮かんでいる。
おかえり。
誰に向けて。
リメルに。
カルミアに。
残された校に。
忘れた子に。
それとも、俺に。
「ルカ」
ネルが小さく呼んだ。
「大丈夫?」
「分からない」
正直に答えた。
大丈夫ではないかもしれない。
でも、魔法を使ったわけではない。
記憶が失われたわけでもない。
ただ、知らないはずの言葉が、胸の奥に引っかかっている。
おかえり。
帰ってきた覚えはない。
でも、どこかで聞いたことがあるような気がする。
それが怖い。
「ノルさん」
コレットが慎重に呼ぶ。
「夢から出られますか」
ノル先輩は少し眉を動かした。
「まだ」
「危ないですか」
「少し。列車、もっと見せたい」
リメルの旗布が重く垂れる。
情報が多すぎる。
記録しすぎる危険がある。
「止めるか」
ジャックが言った。
いつもの荒い声ではない。
かなり抑えている。
「どうやって」
アルフが聞く。
「音で起こす」
ロイが口を開く。
だが、すぐに自分で口を押さえた。
夢を壊す大音量。
それは危険かもしれない。
ノル先輩の夢も、列車の記録も、リメルの記録も、全部乱れる。
「静かな大音量」
ミラが言った。
ロイが彼女を見る。
「夢を邪魔しない合図」
昨日、ロイが少し落ち込んだときに言われた言葉だ。
静かなことも役。
ロイは深く息を吸った。
「やります」
コレットが迷う。
けれど、うなずいた。
「ノルさんを起こすのではなく、戻る道を知らせてください」
「はいっす」
ロイは旧客室の後ろへ立つ。
前方へ音を漏らさないよう、アルフが結界を張る。
ガレス先輩が反響布の金具を押さえる。
クララが古い音路を指す。
リリィが迷子一号を床に置く。
小石が列車の揺れでわずかに転がり、床の低い方向を示す。
「音、下へ」
ミラが言う。
ロイがうなずいた。
喉が震える。
音はほとんど聞こえない。
でも、床が小さく震えた。
リメルの旗布が、ふわりと軽くなる。
ノル先輩の呼吸が変わる。
「……後ろ、音」
寝言。
「帰る音。小さい。うるさくない」
ロイの目が少し潤んだ。
彼は音を続ける。
静かな大音量。
列車の後ろへ流すのではなく、床を伝ってノル先輩の夢に道を作る。
ノル先輩の手が、毛布をつかんだ。
「旗、またね」
誰に言ったのか。
リメルか。
列車の中の古い旗か。
それとも、夢の中の誰かか。
ノル先輩は長く息を吐いた。
そして、目を開けた。
「おはよう」
第一声がそれだった。
旧客室の全員が、一斉に力を抜く。
ロイはその場に座り込んだ。
「よかったっす」
「音、よかった」
ノル先輩が言う。
ロイは床に座ったまま、口を押さえた。
嬉しすぎて音が出そうなのだろう。
リメルがノル先輩のそばへ跳ねた。
旗布には、まだ「おかえり」の文字が薄く残っている。
ノル先輩はそれを見て、眠そうに目を細めた。
「リメル、列車に覚えられてる」
「リメルが列車を覚えているのではなく?」
クララが聞く。
「両方」
ノル先輩は体を起こす。
毛布を頭に乗せたまま。
「昔、後ろの部屋に旗がいた。名前を取られた。部も消えた。でも列車は、その旗を降ろさなかった」
「降ろさなかった?」
「夢だから、たぶん。でも、そう見えた」
彼女の夢の言葉は、いつも断定と曖昧の間にある。
だからこそ、怖い。
完全な記録ではない。
でも、ただの想像とも言い切れない。
「第七って言いました」
クララが自分の記録を見ながら言う。
「第七、最後。いつも最後。最後だから、落としたものを拾う」
コレットはその言葉をじっと見ていた。
小さな部長の顔が、少し青い。
「第七部は、昔からあったのでしょうか」
「カルミアの記録では、現在の第七魔法競技部は再編後の部活動です」
クララが言う。
「でも、古い競技体系に第七という役割があった可能性はあります。最後尾で落とした旗や記録を拾う部。あるいは、負けた学校の旗を保管する係」
「負けた学校の旗を」
コレットの声が震えた。
敗北幻視しか見えない彼女にとって、その言葉は重い。
負けた学校。
落とした旗。
最後尾で拾う役割。
それは、今の第七部と不気味なくらい重なる。
「部長」
俺が呼ぶ。
コレットは顔を上げた。
「大丈夫です」
大丈夫ではなさそうだった。
でも、逃げてもいなかった。
「もし第七が昔から負けた旗を拾う役割なら、わたしたちの負け筋を潰す戦い方ともつながるかもしれません。負けを見て、拾って、残す。勝つためだけではなく」
彼女は自分で言いながら、少しずつ落ち着いていく。
コレットは、怖いものを言葉にすると少し強くなる。
負け筋を机に広げたときと同じだ。
「今は、断定しません」
コレットは言った。
「夢の記録として残します。クララさん、後で整理をお願いします。ノルさん、無理のない範囲で、覚えている断片を教えてください」
「うん」
ノル先輩はうなずいた。
「でも、今は眠い」
「今も寝ていたのでは」
レイナ先輩が言う。
「夢を見るのと、眠いのは別」
ノル先輩の理論は難しい。
とりあえず、彼女には温かい飲み物が渡された。
ガレス先輩がいつの間にか用意していたものだ。
湯気が立っている。
ノル先輩は両手でカップを持ち、目を細めた。
「列車の夢、古かった」
彼女はぽつりと言った。
「でも、怖いだけじゃない」
「どうしてですか」
コレットが聞く。
「待ってた」
ノル先輩はリメルを見る。
「ずっと、誰かが後ろの部屋に戻るのを待ってた。だから、おかえり」
旧客室が静かになった。
おかえり。
その言葉の意味が、少しだけ形を持つ。
列車はリメルを待っていたのか。
カルミアを。
第七部を。
残された校の誰かを。
まだ分からない。
でも、待っていた。
そう言われると、この古い客室の軋みが、ただの劣化ではないように思えてくる。
長く待ったものの声。
ロイが小さく言った。
「俺たち、一番うしろに回されたんじゃなくて」
彼は言葉を探した。
「戻ってきた、んすかね」
誰もすぐには答えなかった。
それは、希望にしては重い。
偶然にしてはできすぎている。
コレットは手帳を閉じた。
「今は、そう思い込まないようにしましょう」
部長らしい慎重さだった。
「でも、そういう可能性があることは、忘れないようにします」
「忘れる担当がいるからな」
ジャックがぼそりと言った。
俺を見るな。
「俺か」
「お前だろ」
「自覚はある」
「ならいい」
ジャックの言い方は雑だったが、以前ほど刺々しくはなかった。
忘れることを茶化しているようで、たぶん茶化しきっていない。
リメルが俺の足元へ来る。
旗布の「おかえり」が、ゆっくり薄れていく。
一つだけ記録するなら、何を残すのか。
リメルは迷っているように見えた。
俺はしゃがんだ。
「全部じゃなくていい」
前にも言った言葉だ。
リメルの旗布が揺れる。
「今日残すなら、一つでいい」
リメルはしばらく動かなかった。
そして、旗布に新しい文字を浮かべた。
待ってた。
おかえりではなく。
残るでもなく。
待ってた。
ノル先輩がそれを見て、小さくうなずいた。
「うん」
クララは涙目になりながら、その文字を書き写している。
レイナ先輩は「字形が少し幼いわ」と言ったが、声は優しかった。
ロイは静かな大音量を出さないよう、両手で口を押さえていた。
ネルは窓の外を見ている。
ミラは荷物表に小さく、夢のあとノルを起こす係、と書き足していた。
リリィは迷子一号をノル先輩のカップの横に置いた。
「夢から戻る目印ですわ」
「石、やさしい」
ノル先輩が言う。
「小石が褒められていますわ」
「リリィも、やさしい」
ノル先輩は眠そうに追加した。
リリィは固まった。
最近、褒め言葉への防御が追いついていない。
良い傾向だと思う。
その夜、旧客室では全員が少し静かだった。
怖かったからではない。
いや、怖くもあった。
列車が記憶を持つ。
リメルを知っている。
古い第七の役割があったかもしれない。
白い手袋の誰かが、旗の名前を取った。
重い情報ばかりだ。
でも、それ以上に、誰かに待たれていたかもしれないという事実が、俺たちを黙らせていた。
待ってた。
その言葉は、柔らかい。
柔らかいのに、重い。
俺は窓際に座り、過ぎていく線路を見ていた。
ネルが隣に来る。
「あんた、また難しい顔してる」
「してるか」
「してる。忘れそうなことを覚えようとしてる顔」
「そんな顔の種類があるのか」
「あんたにはある」
ネルはリメルを見る。
「待ってた、だって」
「そうだな」
「あたしたちのことじゃないかもしれない」
「そうだな」
「でも、ちょっと嬉しいの、腹立つ」
「分かる」
俺も同じだった。
待たれていたと決まったわけではない。
何かの偶然かもしれない。
列車の古い記録が、リメルに反応しただけかもしれない。
でも、嬉しい。
腹立たしいくらいに。
居場所がなかった部に。
低優先参加校の後部補助車両に。
おかえりと言うものがあった。
待ってたと言うものがあった。
それだけで、少しだけ足元が変わる。
「ルカ」
ネルが言う。
「忘れたら、言うから」
「何を」
「待ってたって」
俺は返事に少し詰まった。
軽く流すこともできた。
冗談にすることもできた。
でも、できなかった。
「頼む」
俺は言った。
ネルは満足したようにうなずいた。
「そこそこ絶対」
「それ、まだ使うのか」
「便利だから」
リメルが旗金具で揺れる。
待ってた。
その文字は、夜が深くなっても、しばらく消えなかった。
ノル先輩は再び眠った。
今度は穏やかだった。
列車の夢を見ているのか、ただの夢を見ているのかは分からない。
ただ、寝言は一つだけ聞こえた。
「次は、名前」
クララが反応しかけたが、コレットに止められた。
今は寝かせておく。
列車は夜の線路を走る。
一番うしろの旧客室で、俺たちはまた一つ、知らなかった荷物を背負った。
列車が見る夢。
残された校の客室。
名前を取られた旗。
そして、待っていた誰か。
重い。
でも、ミラが言った通り、荷物は背負い方で少し変わる。
今は全員で持つ。
誰か一人が抱え込まない。
リメルだけに背負わせない。
ノル先輩だけに見せない。
俺だけが忘れないと誓わない。
みんなで、待ってたという言葉を持つ。
それが第七部の、次の荷物になった。




