第111話 読めることと読んでいいこと
リブランを出た列車は、しばらく灰色の霧の中を走った。
窓の外で、本棚の塔が少しずつ小さくなる。
運河も、栞飾りも、静かな拍手も、後ろへ流れていく。
でも、リブランで得たものは列車に残っていた。
ノルの部誌。
灰栞旗セリオが残した灰色の線。
補足記録の写し。
忘れたものも、なかったことにはしない。
その一文。
そして、次に向かう場所。
研究特化都市アストラム。
魔法研究校、アストラム高等魔法理論学院。
名前からして、少し胃が重い。
理論。
高等。
研究。
俺たち第七魔法競技部に似合う言葉ではない。
少なくとも、第一印象では。
「名前だけで落ちこぼれを殴ってくる感じがありますね」
リリィが窓際で言った。
彼女の膝の上では、グレイが丸まっている。
迷子一号は鞄の底で石らしく沈黙している。
「殴ってはこないだろ」
ジャックが言う。
「理論で殴ってくるかもしれません」
「理論で殴るな」
「研究校ならやりかねません」
リリィは真面目な顔だった。
冗談に聞こえるが、半分くらい本気なのだろう。
アストラム高等魔法理論学院。
連盟直属の研究部門と近い学校。
現代魔法理論、欠陥魔法分類、競技旗解析、古代術式の再現研究。
そういうものを扱う場所だと、昨日リブランで聞いた。
そして、そこで焦点になるのはたぶんクララだ。
クララ・ヴェルム。
現代魔法の成績は悪い。
でも、古代旗の術式を読める。
読めてしまう。
リブランで、クララは灰栞旗セリオの文字を一部だけ読んだ。
名を、閉じるな。
そこまでで止めた。
許可を取り、途中で止まった。
それができるクララだからこそ、次の街では危ないのかもしれない。
「クララ」
俺が呼ぶと、向かいの席で本を開いていたクララが顔を上げた。
「はい」
「大丈夫か?」
「何についてですか」
「研究校」
クララは一度だけ瞬きをした。
手元の本に、細い栞を挟む。
リブランで買った栞だ。
灰色ではなく、青い。
「大丈夫かどうかは、まだわかりません」
「そうか」
「ただ、緊張はしています」
クララがそう言うのは珍しい。
彼女は普段、自分の不安を理論で包む。
でも、今はその包みを少しだけ外している。
リブランの影響かもしれない。
保留。
余白。
今は十分。
そういう言葉を覚えた後だと、無理に平気と言う必要がない。
「研究校は、現代魔法理論の中心です」
クララは窓の外へ目を向けた。
「私が読めないものを、全員が読める場所です」
現代魔法。
標準術式。
教科書の図式。
授業の板書。
クララはそれを読めない。
文字としては読めても、魔法式として意味が入ってこない。
そのせいで、カルミアでも落ちこぼれ扱いされていた。
でも、古代旗や地域魔法の根にある古い術式なら読める。
他の誰も読めないものが、彼女には読める。
欠陥魔法。
そう呼ばれていた力。
「逆に、クララが読めるものを、向こうは読めないかもしれない」
ネルが言った。
クララは少し困った顔をする。
「そうだとしても、読めるから偉いわけではありません」
「それはそうだけど」
「読めることと、読んでいいことは別です」
その言葉に、列車の中が少し静かになった。
クララは自分で言って、少しだけ目を伏せる。
リブランで何度も確認したこと。
灰栞旗セリオの文字。
黒い布の記録。
旧代表候補選抜戦の照合。
読めるからといって、全部読めばいいわけではない。
読むことで、人を閉じることもある。
読むことで、重くなることもある。
クララはそれを知った。
だから、次の街が怖いのだろう。
読めることを求められる場所。
読めるものを読まない理由を、欠陥や怠慢と見なされるかもしれない場所。
「研究校の人って、許可とか気にするんですかね」
リリィが言った。
「気にするだろ」
ロイが答える。
「研究には倫理がありますし」
「ロイさん、世の中への信頼が厚い」
「えっ」
「私は薄めです」
リリィは堂々と言う。
レイナが苦笑した。
「でも、リリィさんの警戒は必要だと思います」
「でしょう」
「研究校が悪いという意味ではありません。ただ、分類する人は、分類される人の痛みを見落とすことがあります」
レイナの言葉に、俺は頷いた。
欠陥魔法。
その言葉自体が分類だ。
できないもの。
標準から外れたもの。
失敗。
俺たちはそう呼ばれてきた。
でも、旅の中で少しずつわかってきた。
それは単なる失敗ではない。
古代魔法の名残。
地域魔法。
旗との相性。
中央基準では測れないもの。
研究校は、それをどう見るのだろう。
理解しようとするのか。
分類し直そうとするのか。
それとも、便利な研究対象として扱うのか。
「研究対象にされたら、嫌ですね」
リリィが言う。
「まだ何も言ってないぞ」
ジャックが返す。
「先に嫌がっておくのは自由です」
「自由だけどな」
グレイが小さく震える。
リリィはグレイの頭を撫でた。
「あなたも研究対象にされそうですね。低精度召喚獣。拒否反応低。追い詰めない追跡能力あり」
グレイはさらに震えた。
「怖がらせるな」
ガレスが言う。
「すみません。でも、本当にありそうなので」
ガレスは少し考え、グレイの前に小さな水皿を置いた。
「水だ」
「グレイ、水飲みます?」
グレイは水皿を見て、鼻先を近づけ、くしゃみをした。
水面が揺れる。
少しだけ笑いが起きた。
重い話の中でも、こういう小さな揺れがある。
第七部は、たぶんそれで保っている。
「クララさん」
ロイが真面目な声で言った。
「もし研究校で、読めと言われたらどうしますか」
クララは答えない。
すぐに答えないところが、リブラン後のクララらしかった。
彼女は栞を挟んだ本の表紙を指でなぞる。
「許可を確認します」
「誰の許可ですか」
「読む対象の許可。記録なら、閲覧権限。旗なら、旗の反応。人に関わる術式なら、その人の同意」
「相手が、それを必要ないと言ったら?」
ロイの質問は素直だ。
だからこそ、時々まっすぐ核心へ行く。
クララは少しだけ息を吸った。
「読まない、と思います」
「思います?」
「はい。読まない、と言い切りたいです。でも、私は読めるものを前にすると、読みたくなります」
その告白は、とても静かだった。
でも、俺には少し重く聞こえた。
クララは堅物で、真面目で、いつも自分を律している。
だから、読んではいけないものを絶対に読まない人に見える。
でも、そうではない。
読めるから、読みたい。
わからないものを知りたい。
古代術式の線を追いたい。
旗の中にある言葉を読みたい。
それはクララの欲だ。
悪いものではない。
でも、危ない。
「じゃあ、手順を作ろう」
俺は言った。
クララが顔を上げる。
「手順ですか」
「リブランで、ノルの伝達手順を作っただろ。重い記録を渡す時の。今回は、クララが読まないための手順」
ノルが、眠そうに部誌を開いた。
いつの間に起きていたのか、いや、そもそも寝ていたのか。
「読む前手順」
ノルが書く。
「そのままだな」
「わかりやすい」
ノルは眠そうに頷く。
クララは少し戸惑っていた。
「私のために、そこまでしなくても」
「そこまでしないと、研究校で全部向こうの手順になる」
アルフが言った。
冷静な声だった。
「相手の場で、相手の規則で、相手の分類を受ける。こちら側の確認手順がないと、主導権を失う」
アルフらしい。
情ではなく、戦術として言う。
でも、その戦術がクララを守る。
「読む前手順」
ノルがもう一度言った。
「一、クララが『読みます』と言う」
「言うんですか」
クララが少し恥ずかしそうにする。
「言う」
「二、誰の許可か確認する」
レイナが続けた。
「人、旗、記録、学校。対象によって違います」
「三、読める範囲を決める」
コレットが言う。
「全部読んだ未来と、途中で止めた未来が違うことがある」
「怖いですね」
クララが呟く。
「怖い」
コレットは否定しない。
「四、止める合図」
ガレスが水筒を持ち上げる。
「水?」
リリィが聞く。
「クララは水じゃないかもしれない」
ガレスはクララを見る。
「止まれるもの、何だ」
クララは考えた。
少し長く。
列車の車輪の音が続く。
「栞」
クララは言った。
「本に栞を挟む動作なら、止まれると思います」
「いいですね」
レイナが頷く。
「読むのを終えるのではなく、途中に印をつける」
リブランで覚えた栞の意味。
閉じるためだけではない。
また戻る場所を残すため。
クララに合っている。
「五、読んだ後、すぐ結論にしない」
ネルが言った。
「一旦、仮ってつける」
「仮説」
ロイが言う。
「研究校っぽいです」
「向こうの言葉をこっちで使うのね」
ネルは少し笑った。
ノルが部誌にまとめる。
一、クララが「読みます」と言う。
二、誰の許可か確認する。
三、読める範囲を決める。
四、栞を挟んだら止まる。
五、読んだ後は仮説として扱う。
ノルは最後に一行足した。
読めることと、読んでいいことは別。
「これで」
ノルは部誌をこちらへ向けた。
クララはその文字を見つめる。
そして、小さく頷いた。
「ありがとうございます」
「クララの章だから」
ノルが言った。
クララは驚いた顔をした。
「私の章?」
「そう」
「いつ決まったんですか」
「今」
「今」
クララは困ったように眼鏡を直した。
「では、ちゃんとしないと」
「ちゃんとしすぎない」
ノルがすぐ言う。
「章が硬くなる」
リリィが笑った。
「ノルさん、編集者みたいですね」
「部誌係」
「似たようなものです」
クララは少しだけ笑った。
その笑いは小さかったけれど、列車に乗ってから初めて、緊張だけではない顔だった。
昼過ぎ、霧が晴れた。
窓の外の景色が変わる。
リブランの石と水の街から、乾いた白い平原へ。
遠くに、細い塔がいくつも見えた。
塔というより、針だ。
空へ向かって、銀色の針が何本も立っている。
その間を、薄い光の線がつないでいる。
魔法式。
たぶん、街全体に張られた観測網。
「あれがアストラム」
コレットが言った。
「見えるのか?」
「見えるというより、負け方が細い」
「また変なことを」
「今回は、紙じゃなくて線で負ける」
コレットの表現は相変わらずわかりにくい。
でも、完全に無視できない。
線。
術式。
観測。
研究校に近づいている。
クララは窓に近づき、銀色の塔を見た。
「あの接続線、現代魔法式です」
「読める?」
俺が聞くと、クララは少し眉を寄せる。
「読めません。構造はわかります。意味は入ってきません」
現代魔法式。
クララが読めない文字。
彼女の目の前に、それが街ひとつ分広がっている。
つらいだろうか。
悔しいだろうか。
俺にはわからない。
でも、クララは目を逸らさなかった。
「ただ」
彼女が言う。
「土台に、古い線があります」
「古い線?」
「塔の根元です。現代式の下に、別の構文がある。とても古い。たぶん、都市の観測網を安定させる基礎術式」
ロイが感心して窓へ寄る。
「見えるんですか」
「少しだけ」
クララは、そこで言葉を止めた。
胸元の栞に触れる。
青い栞。
読む前手順。
まだ許可はない。
だから、これ以上は読まない。
クララは窓から一歩下がった。
「到着してから確認します」
セリオなら逃げなかっただろう。
そう思える止まり方だった。
列車はアストラム駅に入った。
駅舎は白い石と透明な板でできている。
屋根の内側には、細かな魔法式がびっしり走っていた。
文字というより、計算。
図形というより、命令。
光の線が、乗客の荷物や切符や魔力反応を読み取っている。
リブランが記録する街なら、アストラムは測定する街だった。
見ている。
測っている。
分類している。
そんな感じがする。
「嫌な感じ」
リリィが小声で言った。
「まだ何もされてないぞ」
ジャックが返す。
「される前からわかる嫌さがあります」
俺も少しわかる。
リブランの静けさは、人が声を落とす静けさだった。
アストラムの静けさは、機械が人を測る静けさだ。
駅の出口で、白い研究服を着た教師が待っていた。
背が高く、細い男。
髪は銀色に近い灰。
片眼鏡をかけている。
手元の板には、すでに俺たちの名前が表示されていた。
「カルミア魔法学園、第七魔法競技部の皆さんですね」
男は笑った。
笑ったが、目は板を見ている。
「アストラム高等魔法理論学院、欠陥魔法分類研究室の主任、ディオン・アルグレイです」
欠陥魔法分類研究室。
いきなり嫌な言葉が出てきた。
リリィが俺の横で「ほら」と言いそうな顔をする。
俺は目で止める。
まだ早い。
「ルカ・ヴァレンです。よろしくお願いします」
「ええ。あなたの事例は非常に興味深い」
ディオン主任は俺の顔を見た。
今度は板ではなく。
でも、その目は人を見るというより、資料を見る目だった。
「風属性反応の薄化、存在認識の揺らぎ、旧代表候補選抜戦記録との欠落一致。素晴らしい研究価値です」
素晴らしい。
研究価値。
俺の中で、少しだけ何かが冷える。
悪意はないのかもしれない。
でも、これは嫌だ。
「主任」
レイナが静かに言った。
「本人への挨拶としては、少し不適切かもしれません」
ディオンは瞬きをした。
怒ったわけではない。
本当に不思議そうだった。
「失礼。研究者の癖です」
謝罪は早い。
でも、たぶん理解は浅い。
俺は水筒に触れた。
飲まない。
触れるだけ。
クララが俺の横に立つ。
「クララ・ヴェルムです」
ディオン主任の目が、今度はクララへ移った。
板を見る。
名前を確認する。
そして、少しだけ眉を上げた。
「ああ。現代魔法式読解不能の事例ですね」
クララの肩が、わずかに固くなる。
「はい」
「古代式に偏った読解感応。分類上は、読解対象偏向型欠陥。標準教育では扱いにくいでしょう」
扱いにくい。
クララが、そう言われ慣れている顔をした。
慣れている顔。
それが一番嫌だった。
「ただ」
ディオン主任は板を操作した。
「リブランからの速報記録では、灰栞旗セリオの古代構文を一部読解したとか。正確ですか」
クララは一瞬だけこちらを見る。
読む前手順。
今は読む場面ではない。
でも、読んだ事実を答える場面だ。
クララは胸元の青い栞に触れた。
「一部のみです。旗の反応を確認し、許可を取った範囲で読みました」
ディオン主任の眉がまた動く。
「旗の許可?」
「はい」
「興味深い表現です。旗を主体として扱うのですね」
「扱うというより、確認します」
「なるほど。非標準的ですが、リブラン的ではある」
非標準的。
また分類された。
クララは少しだけ息を吸う。
でも、崩れない。
「研究校では、旗をどう扱うんですか」
俺が聞いた。
ディオン主任は笑った。
「観測対象です」
短い答え。
とても研究校らしい。
でも、その短さに、俺は少しだけ警戒した。
観測対象。
セリオなら、たぶん逃げる。
旗は試合を覚える。
旗は人の重さを測らない。
記録係が測る。
では、研究者は何を測るのか。
そして、測られる旗はどうなるのか。
「こちらへ」
ディオン主任は駅の外へ歩き出した。
白い街が広がっている。
道はまっすぐ。
建物は直線的。
壁には魔法式の光が流れている。
リブランの本棚のような温度はない。
すべてが整理され、分類され、番号を振られているように見える。
通りの先に、巨大な研究校があった。
銀色の塔が何本も立つ校舎。
中央には、円形の競技場。
その上空を、黒い小さな影が飛んでいる。
旗だろうか。
遠くてよく見えない。
ただ、その影の周りを、光の文字が流れていた。
文字は旗へ近づき、触れた瞬間に消える。
食べられたように。
クララが足を止めた。
「今の」
ディオン主任が振り返る。
「ああ、見えましたか」
「文字が、消えました」
「我が校の競技旗です」
彼は少し誇らしげに言った。
「字喰旗グラマ。投射された魔法文字を摂取し、解析負荷を変換して逃走する性質があります」
字喰旗。
グラマ。
文字を食べる旗。
コレットが列車で言った通りだった。
読んだものを食べる感じ。
「作戦書も食べるんですか」
リリィが聞いた。
ディオン主任は楽しそうに笑う。
「条件が合えば」
「最悪ですね」
「競技的には、非常に高度です」
「言い方でだいぶ違いますね」
リリィは小さく呟いた。
クララは字喰旗グラマを見上げている。
黒い影。
周囲を流れる光の文字。
食べられて消える文字。
彼女の目に、何が見えているのだろう。
読めるのか。
読めないのか。
読みたいのか。
読んではいけないのか。
俺にはわからない。
でも、クララは胸元の青い栞を握った。
そして、小さく言った。
「まだ読みません」
誰に向けた言葉かは、たぶん本人にもわからなかっただろう。
俺たちへ。
自分へ。
旗へ。
研究校へ。
その全部に向けた言葉だった。
ディオン主任は少し興味深そうにクララを見た。
「読めるのに?」
クララは顔を上げた。
「読めることと、読んでいいことは別です」
その言葉が、研究校の白い道に落ちる。
リブランで得た言葉。
クララのための手順。
第七部の共有財産。
ディオン主任は、しばらく黙った。
理解したのか。
興味を持っただけなのか。
わからない。
やがて彼は、口元だけで笑った。
「面白い。では、その倫理ごと観測しましょう」
また、観測。
クララの指が栞を握る。
俺は一歩だけ前へ出た。
「観測するなら、こちらの手順も記録してください」
ディオン主任が俺を見る。
「手順?」
「クララが読む前には、許可と範囲を確認します。栞を挟んだら止まります。読んだ後は、すぐ結論にしません」
ノルが後ろで部誌を開く音がした。
ぱらり。
「読む前手順」
ノルが言った。
「第七部側の条件」
ディオン主任は少しだけ目を細めた。
「条件提示ですか」
「はい」
俺は答えた。
「俺たちは研究対象として来たわけではありません。試合に来ました」
少し強い言い方だったかもしれない。
でも、必要だった。
アストラムの白い街は、何でも測ろうとする。
測られる前に、こちらの立ち位置を置いておく必要がある。
ディオン主任は板に何かを入力した。
「了解しました。第七部側条件として記録します」
本当に了解したのかはわからない。
ただ、記録はされた。
リブランで学んだことが、ここでさっそく役に立った。
クララが小さく息を吐く。
「ありがとうございます」
「クララの章だからな」
俺が言うと、クララは少し困った顔で眼鏡を直した。
「その言い方は、少し落ち着きません」
「ノルに言ってくれ」
ノルは眠そうに頷く。
「章」
「決定事項みたいに言わないでください」
それでも、クララの口元は少しだけ緩んでいた。
研究校の門が開く。
白い校舎。
銀の塔。
光の文字。
その上を飛ぶ、文字を食べる黒い旗。
第12章が始まる。
読めない現代魔法の街で。
古代魔法だけが読めるクララのために。
そして、読めることと読んでいいことを、もう一度間違えないために。




