第二章 13
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以前?
何があったのかは、少し振り返らなくてはならない。
それは、リンが21歳の、あの日本での一件。
日本から本部に戻された時に始まる。
リンがクレイ達と本部に戻って来た時、出迎えたのは、フェルデ・チームのフェルデだった。
冷ややかな表情と視線、冷たく突き放つ言葉。
何をとっても、明らかな敵意。
それしかなかった。
「お疲れさん。クレイ、ここからは私達が引き受けるよ」
フェルデと同じチームのホイソンとサミーが、クレイからリンを受け取った。
その後、クレイはリンの様子を見に行ったが、
どうにも納得のいく取り調べの雰囲気はなく、正直目を覆いたくなる光景しかなかった。
だから、という訳ではないが、徐々に足が遠のいた。
リンが地下室の取調室に入れられてすぐ、フェルデにきつく念を押された。
「分かっていると思うが、ここでは何も手加減はしない。
もし、言いたいことがあるなら、どんどん言うんだな。
もし、黙秘しようなんて考えなら変えた方がいいだろう。
さっさと話したら、我々も何もしない。
ただし、何か抵抗しようとするなら、それなりに覚悟しておけ。
そうでなければ、耐えられないだろうからな」
軽い口調で、人を馬鹿にでもしているかのような、そんな言い方だった。
当然、リンは好きになれなかった。
リンは椅子に座らされ、フェルデと向かい合った。
最初に話したのは、意外にもリンだった。
「私は、何もしない。
なのに、なんでこうなってるのか分からないんだけど……」
そのいかにも軽い言い方が気に障ったのか、フェルデは鼻で笑ってから、
「そうか? だったら、教えてやるよ」
異様な迫力があった。
リンは、一瞬その迫力に飲まれそうになって、
「なにを?
私は何もしてない。レイミアンから何を聞いてるか知らないけど、何もしてないよ。
そりゃ、……ちょっとばかり、外の空気を吸いたいとは思ったけど、
……でも、何もしてないから」
「ほ~、そうか、……外の空気ね。
それを言いかえると、何になるか知ってるか?」
「…………」
「返事は無しか?」
リンが返事に困っていると、フェルデはリンの横に立っていたサミーに合図を送った。
「あっ、……!」
リンの体は机に強く押し付けられた。
いきなりだったため受け身は取れず、呻くしかできなかった。
「返事をしろと言ったはずだ。違うか?」
「わ、分かった。でも、……」
「でも、だと?
逃げたかったんだろう?」
「違う。そうじゃない」
「そうか?
もう少し、きちんと話してほしいものだな!」
そう言うと、押さえつけたリンの視線の先に、一本の注射器を置いた。
それを見たリンは、体を強張らせた。
無意識のうちに……。
フェルデは、鼻で笑った後、
「はっきり言っておく。
これは、今まで使った自白剤みたいなものとは、違う。
一度使ってみれば分かるはずだ。
その効果は絶大だとな。
さっさと話せ。そうすればこれに拮抗する薬を打ってやる。いいな?」
冷たい、あくまで冷たい一言だけだった。
ホイソンは注射器を手に取り、サミーに押さえつけられて、身動きの出来ないリンの手に注射した。
これからリンの過去と現在が行ったり来たりします。よろしくお願いします。




