第二章 12
リンの取り調べの話になります。少し過激な表現がありますが、よろしくお願いします。
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捜査官に抱えられたまま、地下の取調室に連れて来られたリンは、全身を震わせていた。
体中を駆け巡る痛みに、どうにかなってしまいそうだった。
そんな中でも、リンはたどり着いた部屋の前で、立ち止まった。
基本的にここは嫌いだ。
調子が良かろうが悪かろうが、悪ければ特に、嫌なものは嫌だ。
入りたくない。
なのに、連行してきた捜査官に、無理矢理押し込まれた。
入ると、部屋の中にはすでに捜査官が準備していた。
何をって? 当然、取り調べの。
「久しぶりだな。リン、元気にしてたか?
その様子では素直には話してないようだが、立ってないで座ったらどうだ?」
なれなれしい口をきくのは、リンの取り調べ担当フェルデ・チームのリーダー、
フェルデだった。
フェルデ・チーム。
このチームは、多くの捜査官が所属している中で、
一番、最強、最も厄介…
いや、優秀な成績を収めている。
相手にする者、言い方を変えると犯罪者に対する処置が、一番乱暴、いや、なんでもあり。
成果が挙げられたらそれでいい。
と、いう考え方の元、様々な取り調べが行われている。
それが、拷問まがいのものであることは、捜査官の中では暗黙の了解であるのも、事実。
それに文句の言える者は存在しない。
なぜなら、ここの長官である、マラホイア自身が認めてしまっている。
と、いうより。大乗り気。
フェルデ・チームにとって、これ以上心強いものはない。
だからこそ、マラホイアにとって、気がかりなリンの担当に充てた。
「何をしてもいいから、聞き出せ」
至上命令だった。
そのフェルデ・チームでさえ、聞き出せていない物があった。
それが例の六年前と、三年前に関係している。
「今日は、色々聞きたくてね。リン。しかも、またやっただろう?
まさか、またやるとはね。
ところで、リン、IDチップにどんな細工をしたのかな?」
「……ッ……」
「返事しないと。
これはどこにいようと、絶対だ。
返事をしないなら、それなりの処置をさせてもらわないとね」
全身の激痛で、返事どころかじっとしていることも難しいリンには、酷というもの。
分かっていて、それでも、
「返事は無しか。それでは、」
そう言うと、同じチームの捜査官、ベナスとニールに合図を送り、
リンを尋問専用の椅子に座らせ、体を固定した。
その上で、手首と足首に電極の付いたベルトを巻きつけた。
「何も、何もしてない。……本当に何も、して…ない」
リンの力ない声が漏れた。
「では、なぜリンのチップだけが確認できないんだ?
何かしたんだろ?
素直に認めたらどうだ? やりました。と」
荒い息と、椅子に預けられた体で抵抗を試みるが、なんの効果もなく、
「やって、ない。……何もしてない」
焦点は何とか合っている状態。
表情は、厳しいとかいうレベルではない。
もう、限界は超え切っている。
その答えを聞いて、ニールはフェルデの指示で、電極のスイッチを入れた。
ほんの数秒。
すると、リンは悲鳴を上げた。
どれほどのショックがあったか。
「どうかな? 何か認める気にはなったかな? リン!」
「はぁ、はぁ……グッ……ぅぅぅ」
「どうした?
返事。忘れてないか? それとも……」
「やってない、……本当に、何も……」
「また、それか?
そうそう、ここのカメラについてるマイクは、切ってある。
ここで大声出しても指示はどこにも届かない。以前のような事態は、もうない!
いい加減に自分のした事実を認めるんだ。
そうでなければ、……ニール!」
ニールは、再度、スイッチを入れた。また、リンの……。
次回リンの過去についての話になります。
まだまだ続きます。よろしくお願いします。




