第二章 14
しばらくして薬が効いてくると、リンは全身で震わせだした。
椅子に座っていられず、ずり落ちるように床に倒れこんだ。
表情は険しく、ガクガクと痙攣でもしているかのように。
震えは次第に激しくなるが、フェルデ達はそれを見ているだけで、介抱しようとはしない。
それどころか、見下したように冷たい視線を送るだけだった。
リンは、訳も分からず、全身を駆け巡る強烈な痛みに耐えていた。
その口からは、今までのような声ではなく、何とか振り絞った震える声だった。
「た、助けて……助けて。……くっ。……お、ねがい……」
消え入りそうな、そんな声だった。
しかし、それにもフェルデは冷たく、
「言っただろう?
きちんと話してくれれば、楽にしてやる。
そう言った以上、リンもきちんと話してもらわないと、何もしてあげられない。
それどころか、もっと痛い思いをしてもらうんだよ」
口調はのんびりと、それも、極めて冷たく言うことで、
リンにはこれ以上ない程の、恐怖を与えた。
これ以上何があるのかと。
「例の椅子に、座らせてやれ!」
それを合図に、ホイソンとサミーでリンを「例の椅子」に座らせた。
これには、両腕と両足、胸と腰を固定するベルトが付いていて、今のリンでも座れた。
ただ、リンは体中で心臓が拍動しているのではないかという、
非常に強い痛みを何とか耐えている状態だ。
両腕をいきなり持ち上げられて、ただで済むわけがない。
全身に新たな激痛が走る。
声を出すとか、生易しいものではない。
思いっきり叫んだ。
「! いや、やめて! いたいっ! やめて!」
椅子に座らされて、体を固定されても痛みは和らぐどころか、
時間が経つにつれ、激しくなっている。
終始息があがり、呻くような声が出ている。
「どうかな? リン。
この薬はね、人の感覚の中で痛覚を敏感にしてくれるんだよ。
だから、今、リンの体で、痛くない場所なんてないはずだ」
リンの様子を確認しながら、満足そうな顔で、
「そこで改めて聞く。
我々から逃げ出して、何がしたかった?
それとも前にもしたように、我々と取引をするつもりか?
あの時は、メインシステムから重要なファイルを盗み出してくれたんだったな?」
「…………」
「リン?
話してくれないと、今のままじゃ済まないよ」
「ちがう。逃げない……」
小さく、弱く、そんな声。
しかし、フェルデが聞きたい答えではなかった。
「私が訊いてるのは、銃口を向けられても尚、なぜ抵抗したか。
そうまでして逃げようとした理由を聞きたいんだ!
今更、「逃げません」そう言われて、信じられると思うのか!
……まあいい、答える気がないなら、答える気にさせるまでだ。
ニール、……やっていい」
フェルデは、ニールに指示をだした。
リンは気づいていなかったが、椅子に座らせられベルトで固定された時、
右手首と両足首に電極の付いたベルトを巻かれていた。
そのベルトからは、いくつかのコードが伸びていて、部屋の隅にある大きな機械に繋がっていた。
以前、クレイが使っていた物よりも大きく、パワーがありそうだった。




