第17話 レオン・グリモワールの読心術!
バァァァァァン!!
「諸君、待たせたな!! 今宵、私はついに禁断の領域へと足を踏み入れた!!!」
マントを翻し、キラリとウィンクを決めながら店内へと乗り込んできたのは、奇術師レオン・グリモワール。まるで大劇場のステージに立つかのようなノリだが、ここはただの酒場、酔いどれ小屋だ。
「だから!! 今日は平和に終わらせてってば!!」
私はカウンター越しに頭を抱える。絶対にこの後、面倒なことになる。そう確信できるくらいには、この男の奇術にはロクな思い出がない。
「リリィ嬢、君は毎回そう言うが…安心したまえ。今回は本当に大丈夫だ!!」
「それ、毎回聞いてる!!!!」
レオンは満面の笑みで腕を広げる。
「今宵のマジックは……『読心術』!!!」
「……いや、アンタにそんな知性があるの?」
「フハハハ!! 君の心を読み、思考を完璧に当ててみせよう!!!」
「絶対無理でしょ!!!!」
レオンは得意げに手を広げ、店内の客たちを見渡す。
「さあ、誰か私に挑戦したい者はいるか?」
フォルクが腕を組んでニヤリと笑う。
「おいおい、じゃあ俺の心でも読んでみろよ?」
「いいだろう!! では、私の目を見つめ、心に思い浮かべた言葉を念じるがいい!!」
フォルクが真剣な顔を作り、じっとレオンを見つめる。
「……フムフム……」
レオンは額に指を当て、目を閉じる。
「……おお! これは……!!」
「何が見えた?」
「……肉!!!!」
「違う!!!!!!」
店内爆笑。
「待て、もう一度!!!」
レオンは再び額に指を当て、フォルクを凝視する。
「……おお……これは……」
「今度こそ?」
「……酒!!!!」
「違うって言ってんだろ!!!!」
客たちは大笑いしながらグラスを掲げる。
「いやでもフォルク、実際そんなことばっかり考えてるんじゃねえのか?」
ドラコが尻尾を揺らしながらナッツをかじる。
「うるせえ!!!!!」
「いやでも正直、肉と酒以外でフォルクが何考えてるのか、私も気になるわ」
ジーナが腕を組みながら冷静に言う。
「おい!! 俺だってもうちょっと高度なこと考えてるぞ!!!」
「例えば?」
「……焼きたてのステーキと、それに合う黒ビールの――」
「やっぱり肉と酒じゃねーか!!!!」
店内再び爆笑。
レオンはムッとしながら、カウンターを指さした。
「では、リリィ嬢!! 君の心を読もう!!!」
「やめて!! ほんとにやめて!!」
「なぜだ!? 怖いのか!!?」
「違う!! アンタが当てられるわけないからよ!!!!」
「フフフ……では、いくぞ!!!」
レオンは私をじっと見つめる。
「……フムフム……なるほど……」
「何が見えたの?」
「……『マジでこのマジシャン、何とかならないかしら』」
「正解!!!!!」
店内爆笑。
「やった!! 当てたぞ!!!!」
「全然嬉しくない!!!!!」
私は大きくため息をつき、カウンターの奥へ向かった。
「もう、しょうがないわね……ほら、これ飲んで落ち着きなさい。」
ベースは神秘的なアブサン。そこにブルーベリーリキュールを加え、深い紫の輝きを演出。さらに、メントールエキスを加えることで、飲むと一瞬で頭がスッキリするような爽快感を生み出す。最後に金箔をひとふりし、まるで予知能力が覚醒するような幻想的なビジュアルに仕上げた。名付けてサイキック・ブレンド!
レオンは目を輝かせながらグラスを受け取り、一気に飲み干した。
「……っ!!!」
「どう?」
「……くぅ~~~~!! 頭が冴える!! これなら本当に読心術ができそうだ!!!!」
「絶対無理!!!!」
店内大爆笑。
「いや、でもリリィ。これ、すっごい美味いな……!! 俺にも一杯!」
「私も。」ジーナが手を挙げる。
「俺も!」ドラコも勢いよくグラスを差し出す。
「はいはい、分かったわよ!」
店内は再び賑やかに盛り上がり、読心術のことなどすっかり忘れ、全員で「サイキック・ブレンド」を楽しむことになった。
結局、レオンの読心術は 「適当に言ったら偶然正解した」 という結果になり、私はもう二度と読心術マジックをさせないことを心に誓った。
……でも、次こそは本当に成功するのかしらね?
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