第16話 針千サボテンと大惨事!
バァァァン!!
またか!!
「おいリリィ!! 今日こそ、すっげぇ野菜を持ってきたぞ!!」
登場したのは赤ら顔でガタイのいい野菜屋当主、ガルド。
「はいはい、今度は何よ?」
「針千サボテンだ!!」
ドンッ!!
カウンターに置かれたのは、普通のサボテンとは一線を画す、無数の極細の針に覆われた代物。遠目にはふわふわの毛に見えるが、実際は地獄のトゲトゲ地帯。
「ちょっと待って、これ……どう見ても触っちゃダメなやつじゃない!?」
「バカ言え!! こいつは砂漠の王者・針千サボテン!! 針が千本生えてるけど、中の果肉はとんでもなく美味い!!」
「だったら針のない状態で持ってきなさいよ!!」
「いや、それがな……こいつの針、抜こうとすると倍に増えるんだ。」
「……何それ!?」
「いやいや、大丈夫だ!! 水につけると針が一瞬で抜ける!!」
「最初からそう言えぇぇぇ!!!」
仕方なく、水にサボテンを浸ける。
「おお!! ほんとに針が全部抜けた!!」
「だろ!? これで安全に調理できるぜ!!」
「……そもそも、こんな危険な野菜を普通は料理しないでしょ!?」
「細かいことは気にすんな!! とにかくうまいんだ!!」
「はいはい、もうやるしかないわね!」
針千サボテンの調理開始。皮をむくと、ぷるんとした透明なゼリー状の果肉が現れる。ほんのり甘く、かすかにシトラスのような香りが漂う。
「へぇ…見た目はデザート向きね。」
「だろ!? しかも、こいつは加熱するととろみが増して、さらに甘くなる!!」
「じゃあ、焼いてみるわね!」
バターを溶かしたフライパンで、針千サボテンをじっくりキャラメリゼ。そこに少しの塩とスパイスを加え、表面をパリッと仕上げる。
「はい、針千サボテンのキャラメリゼグリル、完成!!」
外はカリッ、中はとろっとしたゼリー状。甘みとスパイスの香ばしさが絶妙に絡み合い、見た目も黄金色に輝く。
「おぉぉぉ!! こりゃあすげぇ!!」
「ほら、食べてみなさいよ!」
ガルドが勢いよくひとくち――
「トロトロなのに、外はパリッとしてる!! 甘みとスパイスのバランスが最高だぁ!!」
そして酒の出番!!このサボテンのトロッとした甘みとキャラメルの風味に合わせるなら、スッキリしたカクテルがいい!!テキーラをベースに、ライムとハチミツを加え、さらに針千サボテンのエキスを混ぜてシェイク!!
「はい、デザートサボテン・マルガリータ!!」
「おお!? こいつは……!?」
「ライムの酸味とサボテンの甘みが絶妙に合わさった、スッキリした一杯!! 甘いけど飲みやすい、大人のデザートカクテル!!」
「ゴクッ……おぉぉぉ!!サボテンと酒の新時代が来たぁぁ!!」
「でしょ?」
「くぅぅぅぅ!! 針千サボテン、最強だぁぁ!!」
ガルドが感動で拳を握りしめた、その瞬間――
ブワァァァァァ!!!!
「えっ?」
カウンターの上の針千サボテンの残骸が、突然、針を生やし始める。
「ちょっ!? なんで針が復活してるの!!?」
「乾燥すると、針がまた生えてくるんだった!」
「ガルドぉぉぉ!! なんでそんな重要なこと、後で言うのよ!!!?」
「忘れてた!!」
バチバチバチ!!
「えっ、ちょっ…この針、弾けてない!?!?!?」
「お、おい!!周囲に針をばら撒くんだ!!!」
「最初に言えぇぇぇぇ!!!!!」
バシバシと針が飛び散り、客たちが悲鳴を上げながらテーブルの下に隠れる。
「やばいやばいやばい!! 完全に爆発するトゲトゲ爆弾じゃない!!」
「リリィ!! 水をかけろ!! 水をかければ針が抜ける!!」
「そんなの余裕ないわよ!!!」
最終的に、ドラコが水をかけてなんとか針の発生を抑え、酔いどれ小屋は「史上初の飛び道具被害」を受けることに。
そして後日……
「リリィ……もう針千サボテンは仕入れねぇ……」
「当たり前よ!!!!」
こうして、針千サボテンは「厨房に持ち込むだけで負傷者が出る野菜」として、語り継がれることになったのだった。
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