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ミラピュア~転生令嬢の破滅回避への物語  作者: たかくん
初等部5年生編
353/356

349.美織と敦鳥の気持ち


第349話



「その...わざわざ敦鳥ちゃんも来てくれたのですか...」



私の口から思わずそんな言葉が漏れてしまうのも無理はないだろう。仮に私が護衛の人達が敦鳥ちゃんをホラーハウスの外に留まらせる判断をしていたからだ。



リスクを犯してまでわざわざ爆破される寸前のホラーハウスに連れていくなんて愚かな真似は絶対にしない...



「...はい、確かに玲奈お姉様の護衛の人達からは再三のように引き留められました...ですが、少し無理を言って同行させてもらいました...」



「そうなのですか...」



まぁ、敦鳥ちゃんの性格的に自分も同行したいと言い張るのも無理はない...と、私は頭の中で必死に自分で自分を納得させていた。



「玲奈お嬢様、申し訳ございません。私どもも当初はこの屋敷の中は危険と判断して長寿院様を外に留めおこうと考えていたのですが...長寿院様は『自分も連れて行かないならこの場で自ら命を断ちますから!』と言い張って聞く耳を持っていただけなかったのです...そのため、仕方がなく...」



「なっ...!?敦鳥ちゃん!それは本当なのですか?」



「.........」



敦鳥ちゃんが私の問いに無言を貫きながら悲しげな表情をしている時点で護衛達の話は事実と見ていいだろう。



まさか、自分の命を盾にしてまで私と美織ちゃんの救出に同行したがるなんて...もはや私に対する好意というよりも依存と言ってもいいのかもしれない。



「...どうして、そんな事を言ったのですか?少し無理を言ったどころではありませんよ!?」



「.........」



私は更に問いかけるがそれでも敦鳥ちゃんは無言のままで悲しげな表情をしているだけだった。



「敦鳥ちゃん!何とか言ってください!私達のために自分の命を無駄にしようだなんて私はとても悲しいので...」



「ふざけないでくださいっ!!!悲しいのは私の方ですっ!!!」



「...!?」



無言だった敦鳥ちゃんが急にホラーハウス内に響くほどの大声をあげた事に私は思わずビクッとしてしまった。



「今城様が引き連れてきた人達が全部吐きました...今回の肝試しの裏で今城様が何をしようとしているのか、今城様のご家族がどうなったのか...他にも色々とぜ~んぶです!」



どうやら、護衛の人達が美織ちゃんが引き連れた来た連中を死なない程度に痛めつけて無力化した後、全ての計画を吐かせたらしい...



「玲奈お姉様!あなたはこうなる事を察して私を逃がすという選択肢をなさったのですよね?私が肝試しで無理をしているからなんて嘘までついて...」



「えぇ、その通りです。敦鳥ちゃんに万が一の事があってはまずいと...」



「やっぱり、私...そんなに頼りになりませんかっ!?」



「えっ...」



私が戸惑うのもお構い無しに敦鳥ちゃんは怒りをぶつけてくる。



「さっきも言いましたよね!?私は玲奈お姉様のために尽くすと!そのためだったら命なんて惜しまない覚悟なんです!それなのに玲奈お姉様はっ...!」



「ちょっ...長寿院先輩、玲奈様が困っているので少し落ち着いてくだ...」



「何を他人事のように言っているんですかっ!?私は今城様にも怒っているんですよ!!」



「ううっ...」



やっぱり、敦鳥ちゃんは美織ちゃんにも怒っていたか...



それも無理はないか...何せ、結果的に美織ちゃんは私を裏切っていたも同然だったからね...



「その...本当にごめんなさ...」



「先に言っておきますが、私はあなたが玲奈お姉様を裏切っていた事に怒っているのではありません。」



「えっ...」



...ん?だとしたら、敦鳥ちゃんは美織ちゃんの何を怒っているのだろうか?



「何で...どうしてっ!こうなる前に玲奈お姉様に助けを求めなかったんですか!?あなたがあの人達にもっと早く見切りをつけて玲奈お姉様を頼っていればあなたのご家族も何かしらの形で救えた可能性だってあったのにっ!」



「.........」



確かにもっと早い段階で美織ちゃんから助けを求められていたら私も美織ちゃんの両親も悪いようにするつもりはなかった。



しかし、美織ちゃん本人は私への崇拝の言動や素振りは見せても今城家そのものを救ってほしいと言ってきた事はなかった。そのため、私の方もそこまで深入りする事はなかったのだが...



「正直、認めたくはありませんでしたがあなたは私に負けず劣らず玲奈お姉様を慕っている同士と認識していました...ですが、結局は玲奈お姉様があの程度の人間に負けると...」



「あのさ!あなたに何が分かるわけ!?私達を裏で操っていた組織の事も何も知らない癖に!あの人達はこれ以前にも玲奈様を消そうと様々な過激な策を仕掛けてくる恐ろしい相手なんだよ!人員も規模も桁違い!私はもちろん、中山家の人間も...ましてや私の監視に当たっていた連中だって上から見れば所詮は使い捨ての道具に過ぎない!」



これ以前にもねぇ...つまり、この一件はもちろんだが高松家の件や菊亭家で私が銃撃された件もその組織の関与があったという事なのだろうか?



「私が裏切れば家族はもちろん、玲奈様や長寿院先輩も私への見せしめとして酷い目に遭わされるんじゃないかって!ずっと不安だったのっ!だからっ...!?」



「美織ちゃん、落ち着いてください...」



涙目になって声を荒げて感情的になっている美織ちゃんに私は思うところがあったのか、彼女の事をそっと抱き寄せて優しく頭を撫でていた。



「玲奈様...」



「形はどうであれ、あなたは組織とやらのために貢献していたのは確か...ですが、その組織とやらはあなたに見切りをつけて切り捨てた...こんな状態で死を選ぶとしたらそれは負け逃げも同然ですよ?死んだご両親が浮かばれません...」



「別にろくに私を愛してくれなかった両親なんて...」



「嘘ですね。先程のあなたは【家族はもちろん】と口にしていた...つまり、心のどこかでは組織のために貢献して結果を出す事でご両親から褒められたかった...そして、愛されたかった...そんな気持ちがあったのではありませんか?だからこそ、無意識に出てしまったワードだと私は思うのですが...」



「.........」



私の言葉に美織ちゃんも思うところがあったのか、無言で俯いてしまった。



「今城様、私からも言わせてもらいます。私もかつて親友を失った身として理由に関しては多少は同情できます...ですが、結果的に玲奈お姉様を裏切った事には変わりありません。そんなあなたが罪を償う事もなく、このまま死んで逃げようなんて私は絶対に許すつもりはありません!無理矢理にでも引っ張っていきますからっ!」



「長寿院先輩...」



敦鳥ちゃんの言葉に美織ちゃんが顔を上げたその時だった...



「お嬢様方、大変です!爆弾処理班からの連絡なのですが...あの爆弾は設計が異常で自分達でも処理は不可能、あと3分足らずで爆発するとの事です!」



「なっ...!?」



まずい!このままだとここにいる全員の命が危ない...



「皆さん、早く脱出しましょう!手の空いている方、美織ちゃんを無理矢理にでも引っ張ってください!」



「玲奈お姉様!そのお役目は私が務めます!ほらっ!今城様、立ってください!」



「ううっ...」



こうして、私達はこの地獄と化したホラーハウスからの脱出を始めたのだった...




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