バッティングセンター、その打席に立つのは
あるバッティングセンターの店主が考えごとをしていた。
近くの学校で本日、野球部が廃部になったらしい。
野球部の部員たちは週に数回、このバッティングセンターを利用してくれていたのだが・・・・・・。
廃部になった以上、「利用者の減少」が予想される。
今回の廃部、その理由には、「少子化」が関係しているそうだ。生徒の数が減ってきているので、「団体競技の部活動を廃止して、個人競技の部活動を優先させる」という、学校側の方針変更。
野球部だけでなく、サッカー部、ラグビー部、吹奏楽部などが廃部になったとか。
その一方で、陸上部、水泳部、テニス部、卓球部、柔道部、剣道部、相撲部などは、予算が増えたらしい。
店主はしばらく考えたあとで、バッティングセンターの打席に向かった。
手にしているのは、バットではない。テニスのラケットだ。
野球部の利用が見込めなくなった今、新たな客層の可能性を探るべきだろう。
店主はテニスのラケットで、機械から飛んでくる球を打ってみる。飛んでくる球の速さは、時速一二〇キロだ。
一か月後、このバッティングセンターにはテニス部の部員たちがやって来ていた。
ここでテニスの練習をするのだ。テニスのラケットで、機械から飛んでくる野球の球を打ち返す。この練習をしていれば、自然と手首が鍛えられるはず。
また、卓球部の部員たちの姿もあった。
卓球のラケットを手に、打席に入る。機械から飛んでくる野球の球を打ち返すことで、手首を鍛えるのだ。
彼らが一生懸命に練習している様子を眺めながら、店主はふと考えた。
さすがに、柔道部や相撲部は来ないよな。
そう思っていたら、数人の学生たちがバッティングセンターの中に入ってきた。
剣道部だ。全員が防具を着用して、竹刀を持っている。
「ここで練習して、目指すぞ全国大会!」
「おー!」
止めた方がいいんだろうか。店主は迷った。
次回は「高校野球、最後の試合」のお話です。




