いいこと
男は地面に落ちているゴミを拾った。
そのあと自動販売機でお茶を買うと、近くのお地蔵さんにおそなえする。
これからプロ野球の試合を見にいくのだ。こうやって、「いいこと」をしておけば、野球の神さまが「勝利」をプレゼントしてくれるかも。
コンビニを見つけたので、中に入る。何も買わずに、募金箱にお金を入れた。
こんな感じに、「いいこと」を積み重ねていく。
自分の経験上、「いいこと」をしていると、贔屓のチームが少し勝ちやすい気がするのだ。
で、今日の試合もめでたく勝利する。リーグ優勝を達成した。野球の神さま、本当にありがとう。
しばらくして、日本一決定戦が始まった。
さらに数日が経ち、ここまで三勝三敗だ。今日の試合で勝った方が日本一になる。そんな大一番だ。
贔屓のチームには絶対に勝って欲しい。
そこで男は考えた。いつも以上に、「いいこと」をしなければ。
しかし、個人の力では限界がある。試合が始まるまでに、たくさんの「いいこと」をするためには・・・・・・。
「集合っ!」
男はグラウンドに、野球部の部員たち三〇人を呼び集めた。
この男、関東の中学校で、野球部の監督をしているのだ。
「今から学校周辺の清掃活動を行う」
部員たちを使って、地面に落ちているゴミを拾ってまわった。これで良し。
さらに、お地蔵さんには高級ワインをおそなえする。
そして、日本一決定戦だ。
野球の神さまは微笑んでくれた。
部員たちの多くが、「監督が応援しているのとは逆のチーム」を応援していたのだ。
で、そっちのチームが勝利する。
清掃活動をした部員たちは大喜びだ。
やったね! 野球の神さま、ありがとう!
次回は『夢の技術』というお話です。




