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3 、国道で寝てたら人生終わったと思ったら始まった件 〜黒糖飴を奪い返したら大富豪に拾われた〜未完成な世界編  作者: Nao9999


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第57話:命の重さ

第57話です。


燃え続ける街。


崩れ落ちる建物。


その中で、

執行者は初めて“命”と向き合う。


完璧だった存在は今、

誰かを救う為に炎の中へ踏み込む。

炎が渦巻いていた。


熱い。


息が苦しい。


崩れた建物の中は、

黒煙で前が見えない。


「ゲホッ……!」


教育係が口を押さえる。


「奥だ!!」


“失敗作”が叫ぶ。


小さな泣き声。


瓦礫の向こうから聞こえてくる。


「ママぁ……」


胸が痛くなる。


執行者は、

煙の中を真っ直ぐ見つめていた。


「生命反応を確認」


静かな声。


そして――


迷わず炎の中へ入っていく。


「おい!!」


俺も追う。


床が焼けている。


天井が軋む。


ミシ……ミシッ……


今にも崩れそうだった。


その奥。


小さな女の子がいた。


瓦礫に足を挟まれている。


涙で顔がぐしゃぐしゃだった。


「た、助けて……」


執行者が近付く。


女の子がビクッと震えた。


白と黒の姿。


以前なら、

恐怖の象徴だった。


「……怖い」


女の子が震える。


執行者が止まった。


その瞳が揺れる。


「私は」


小さな声。


「怖がられている」


胸が締め付けられる。


でも。


女の子は泣いていた。


助けを求めていた。


執行者は、

ゆっくり膝をつく。


「安心しろ」


静かな声だった。


「助ける」


女の子が涙目で執行者を見る。


「……ほんと?」


「肯定」


執行者は瓦礫へ手を掛ける。


ミシッ!!


周囲が大きく揺れた。


「ヤベェ!!」


“失敗作”が叫ぶ。


「崩れるぞ!!」


天井が割れる。


炎が吹き上がる。


だが執行者は止まらない。


「っ……!」


瓦礫を持ち上げる。


重い。


普通の人間なら無理だ。


だが。


執行者の身体が軋んでいた。


感情を得た影響か。


以前ほど絶対的ではない。


「執行者!!」


教育係が叫ぶ。


執行者は歯を食いしばる。


そして――


瓦礫を投げ飛ばした。


ドゴォン!!


女の子を抱き上げる。


その瞬間。


天井が崩れた。


「危ねぇ!!」


俺は反射的に飛び込む。


執行者を押す。


轟音。


崩落。


炎。


瓦礫。


世界が揺れる。


「っ……!」


背中に激痛。


熱い。


煙で視界が霞む。


「対象!!」


執行者の声。


女の子の泣き声。


遠くなる意識。


その時だった。


執行者が、

初めて叫んだ。


「死ぬな!!!」


空気が震える。


感情。


恐怖。


焦り。


全部混ざった叫び。


次の瞬間。


白と黒の光が爆発した。


轟音と共に、

瓦礫が吹き飛ぶ。


外の夜空が見えた。


冷たい風。


「ゴホッ……!」


俺は地面へ転がる。


執行者が、

女の子を抱えたまま立っていた。


全身ボロボロだった。


だが。


その腕は、

しっかり命を守っていた。


女の子が震えながら呟く。


「……ありがとう」


執行者が止まる。


初めて向けられた。


恐怖じゃない感情。


感謝。


執行者の瞳が大きく揺れた。


「……これが」


小さな声。


胸へ手を当てる。


激しく鳴っている。


「命の重さ」

読んでいただきありがとうございます。


第57話では、

執行者が初めて“命を守る意味”を知りました。


恐怖されていた存在が、

感謝を向けられる。


これは執行者にとって、

世界そのものが変わる瞬間です。


次回、

世界は少しずつ“希望”を見始めます。


引き続きよろしくお願いします。

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