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3 、国道で寝てたら人生終わったと思ったら始まった件 〜黒糖飴を奪い返したら大富豪に拾われた〜未完成な世界編  作者: Nao9999


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第56話:燃える街へ

第56話です。


感情を知った執行者。


そして主人公達は、

崩れ始めた世界へ足を踏み入れる。


そこに待っていたのは、

自由の希望ではなく――


人間の“現実”だった。

夜だった。


街は赤く燃えている。


空へ上がる黒煙。


割れた窓。


転がる瓦礫。


管理世界だった頃の整った街並みは、

もう無かった。


「……酷ぇな」


“失敗作”が低く呟く。


道路には、

放置された車。


壊された店。


食料を抱えて逃げる人々。


泣いている子供。


怒鳴り合う大人。


全部が混ざっていた。


「区域封鎖ライン突破」


教育係が端末を見ながら言う。


「例の子供はこの先です」


「急ぐぞ」


俺達は走る。


その途中。


角を曲がった瞬間だった。


「止まれ!!」


数人の男達が現れる。


武装していた。


鉄パイプ。


銃。


奪った物だろう。


「……」


執行者が静かに前へ出る。


男達の目が見開かれる。


「白いやつ……!」


「執行者だ!!」


空気が一変する。


恐怖。


怒り。


敵意。


「ふざけんな……!」


男の一人が叫ぶ。


「お前らが世界壊したんだろ!!」


「管理側の怪物が!!」


教育係が前へ出ようとする。


だが――


執行者が手で制した。


「……質問」


静かな声。


男達が戸惑う。


「何故怒る」


「はぁ!?」


男が激昂する。


「全部失ったんだよ!!」


叫び声。


「仕事も!!家族も!!」


「管理が消えた瞬間、街は地獄になった!!」


「誰が責任取るんだよ!!」


沈黙。


執行者は、

その言葉を真正面から受け止めていた。


「……理解」


小さな声。


「お前らのせいで!!」


男が殴りかかる。


鉄パイプが振り下ろされる。


だが。


執行者は避けない。


ガンッ!!


鈍い音。


教育係が叫ぶ。


「執行者!!」


だが執行者は動かない。


男は息を荒くしていた。


「……何で避けねぇ」


執行者は静かに答える。


「怒りを確認した」


空気が止まる。


「お前達は苦しんでいる」


男達が固まる。


「……だから」


執行者は続ける。


「私は攻撃しない」


「っ……」


男の顔が揺れる。


混乱していた。


化け物だと思っていた存在が、

怒りを受け止めたから。


「でもな」


俺が前へ出る。


「だからって、他人傷つけていい理由にはならねぇ」


男達がこちらを見る。


「苦しいのは皆同じだ」


静かな声。


「なら、生き残る為に奪うしかねぇだろ!!」


「違う」


即答。


「それ続けたら、また同じ世界になる」


沈黙。


遠くで爆発音が響く。


ドォン――。


炎が夜空を染める。


執行者が、

ゆっくり男達を見る。


「提案する」


全員が止まる。


「共存を開始しろ」


男達が呆然とする。


執行者は続けた。


「奪えば、奪われる」


「憎めば、憎まれる」


「それを繰り返せば」


小さな間。


「世界は再び壊れる」


静寂。


男達の表情が揺れていた。


その時だった。


遠くから、

子供の泣き声が聞こえる。


「……っ!」


教育係が振り返る。


燃えている建物。


崩れかけていた。


「子供だ!!」


俺は走った。


執行者も続く。


背後で男達が叫ぶ。


「お、おい!!」


「危ねぇぞ!!」


炎が激しく吹き上がる。


熱風。


煙。


崩れる天井。


その奥から、

小さな泣き声が聞こえていた。


執行者は、

燃える建物を見上げる。


そして静かに呟く。


「……守る」


その瞳にはもう、

迷いは無かった。

読んでいただきありがとうございます。


第56話では、

自由になった世界の“怒り”と、

執行者の変化が描かれました。


そして執行者は、

初めて自らの意思で“守る”為に動きます。


次回、

燃える建物の中で、

執行者が大きな決断を下します。


引き続きよろしくお願いします。

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