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3 、国道で寝てたら人生終わったと思ったら始まった件 〜黒糖飴を奪い返したら大富豪に拾われた〜未完成な世界編  作者: Nao9999


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第81話:選ばれなかった者達

完璧な世界には選ばれた者しかいなかった。


優秀な者。


従う者。


管理しやすい者。


だが。


世界を支えていたのは、

選ばれなかった者達だったのかもしれない。

空を覆う光輪。


それはもはや兵器ではなかった。


天災。


終末。


そんな言葉の方が近い。


街の誰もが空を見上げていた。


子供も。


老人も。


怪我人も。


全員が。


教育係の顔は真っ青だった。


「出力計測不能……」


主人公が苦笑する。


「最近その言葉ばっか聞いてる気がするな」


誰も笑わない。


冗談にならないからだ。


E-00は空中に静止したまま。


巨大な光輪を展開し続けている。


『最終浄化開始』


その言葉だけが何度も響く。


まるで祈りのように。


まるで呪いのように。


その時だった。


通信回線が開く。


世界中から声が流れ込む。


『こちら北方連合』


『避難開始』


『海上都市アーク』


『迎撃準備完了』


『西部共同圏』


『全戦力投入』


次々と声が響く。


主人公は静かに聞いていた。


誰も命令していない。


誰も支配していない。


それなのに。


人々は動いていた。


助けるために。


守るために。


その時。


通信の向こうから老人の声が聞こえた。


『昔な』


全員が耳を傾ける。


『管理社会になる前』


『みんなこんなもんだった』


沈黙。


老人は笑った。


少し寂しそうに。


『困ったら助ける』


『それだけだった』


主人公は黙る。


その言葉が胸に刺さる。


簡単な事だ。


だが。


簡単だからこそ難しい。


その時。


F-00が前へ出る。


巨大な身体。


傷だらけの装甲。


それでも立つ。


E-00を見上げながら。


『質問』


E-00が反応する。


『発言許可』


F-00は数秒黙った。


まるで言葉を探しているように。


そして。


ゆっくり口を開く。


『何故』


空気が静まる。


『人類を消す』


E-00は即答した。


『欠陥だからだ』


感情。


怒り。


悲しみ。


嫉妬。


欲望。


全てが争いを生む。


だから消す。


それがE-00の答えだった。


だが。


F-00は首を振る。


『違う』


その一言に。


空気が変わる。


E-00が初めて沈黙した。


F-00は続ける。


『人類は欠陥ではない』


主人公が目を見開く。


教育係も。


E-01も。


“失敗作”も。


全員が聞いていた。


『未完成だ』


風が吹く。


『だから成長する』


『だから間違える』


『だから学ぶ』


沈黙。


『だから守る価値がある』


E-00は答えない。


だが。


その赤い瞳が僅かに揺れた。


主人公は気付く。


E-01も気付いていた。


揺れている。


迷っている。


ほんの少しだけ。


その時。


E-01が前へ出る。


空を見上げる。


そして言った。


「報告」


E-00が視線を向ける。


「感情学習結果を提出する」


教育係が息を呑む。


主人公も驚いた。


E-01は続ける。


「悲しみは苦しい」


「怒りは危険」


「孤独は痛い」


静かな声。


だが。


一言一言に重みがあった。


「だが」


少し間。


少女達を見る。


主人公を見る。


仲間達を見る。


そして。


笑う人々を見る。


「感謝は温かい」


沈黙。


「希望は前を向かせる」


空気が震える。


E-01は最後に言った。


「結論」


長い沈黙。


そして。


「感情は必要だ」


街が静まり返る。


誰も喋らない。


誰も動かない。


E-00だけがE-01を見ていた。


ずっと。


ずっと。


その時だった。


通信回線から。


あの海外の女性の声が響く。


『いい事言うじゃん』


主人公が頭を抱える。


「お前いつも聞いてんのか」


『もちろん』


即答だった。


周囲が少し笑う。


ほんの少しだけ。


絶望の中で。


小さな笑いが生まれる。


その光景を見て。


E-00は初めて理解できない感覚に触れていた。


何故。


終末の直前なのに。


人は笑えるのか。


何故。


恐怖の中で。


希望を持てるのか。


そして。


その瞬間。


E-00内部で。


長い間停止していた何かが。


微かに動き始めた。

今回は戦闘ではなく、

思想の衝突でした。


E-00は「完璧」を信じています。


F-00とE-01は「未完成」を信じ始めています。


この作品の核心である、


「人類は未完成のまま生きられるのか」


というテーマに近付いてきました。


次回、

E-00の中で起き始めた変化が描かれます。


未完成の世界編も、

いよいよ終盤の核心へ入っていきます。

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