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3 、国道で寝てたら人生終わったと思ったら始まった件 〜黒糖飴を奪い返したら大富豪に拾われた〜未完成な世界編  作者: Nao9999


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第76話:壊れた親心

守る方法を間違える人がいる。


愛し方を知らない人がいる。


優しさを伝えられない人がいる。


そして。


大切だからこそ、

壊してしまう者もいる。

風が吹いていた。


瓦礫の街。


崩れた建物。


その中央で。


F-00と“失敗作”が向かい合っていた。


誰も動かない。


誰も口を挟めない。


空気が重い。


まるで。


二人だけ別の時間を生きているみたいだった。


F-00が言う。


『帰還命令』


『再通達』


“失敗作”は鼻で笑う。


「しつこいな」


『帰還』


「嫌だね」


即答だった。


F-00は沈黙する。


主人公は様子を見ていた。


妙だった。


攻撃してこない。


敵なら既に街は消えている。


だが。


F-00は違う。


何かを確かめるように。


ただ“失敗作”だけを見ていた。


教育係も気付いていた。


「攻撃意思がありません……」


E-01が呟く。


「質問」


「何ですか」


教育係が返す。


E-01はF-00を見る。


「何故執着する」


沈黙。


だが。


答えたのはF-00だった。


『保護対象』


その言葉に。


全員が固まる。


主人公が聞き返す。


「は?」


F-00は続ける。


『Fシリーズ』


『保護対象』


『処分禁止』


教育係が目を見開く。


「まさか……」


“失敗作”が苦い顔をする。


「そういう事かよ」


主人公だけが分からない。


「何だよ」


教育係が説明する。


声が少し震えていた。


「F-00は」


「Fシリーズの管理責任者です」


主人公が眉をひそめる。


「管理?」


“失敗作”が笑う。


乾いた笑いだった。


「違うな」


少し間。


「子育て担当だ」


空気が止まる。


主人公が固まる。


教育係も。


E-01も。


数秒後。


“失敗作”が吹き出した。


「ははっ!」


主人公も笑いそうになる。


「お前らの親父役だったのか」


F-00は否定しない。


ただ。


静かに言った。


『保護対象』


その言葉だけを。


何度も。


何度も。


繰り返す。


その姿を見て。


主人公の胸に妙な感覚が生まれる。


この存在。


壊れている。


だが。


根っこにあるものは。


憎しみじゃない。


その時だった。


少女が近付いてくる。


あの子だ。


周囲の大人達が慌てる。


「危ない!」


だが。


少女は止まらない。


真っ直ぐF-00へ向かう。


F-00が視線を向ける。


赤い瞳。


巨大な身体。


普通なら泣く。


逃げる。


けれど。


少女は小さな手を伸ばした。


そして。


こう言った。


「おじちゃん」


空気が凍る。


主人公が吹き出した。


“失敗作”も腹を抱える。


教育係まで肩を震わせている。


F-00だけが固まる。


完全停止だった。


少女は続ける。


「さみしかったの?」


沈黙。


誰も笑わなくなった。


F-00は答えない。


答えられない。


だが。


その赤い瞳が。


僅かに揺れた。


主人公は気付く。


E-01も。


教育係も。


“失敗作”も。


全員が見た。


今。


確かに。


揺れた。


その時だった。


空が震える。


轟音。


全員が空を見る。


北の空。


黒い雲。


その向こうで。


巨大な光が走った。


教育係の端末が悲鳴を上げる。


警報。


警報。


警報。


「反応確認!!」


主人公が顔を上げる。


「今度は何だ!」


教育係の顔から血の気が消えていた。


「E-00です」


沈黙。


教育係は震える声で続ける。


「進路変更」


主人公の嫌な予感が当たる。


「どこへ向かってる」


教育係が答える。


絶望した顔で。


「この街です」


風が止まった。


E-00。


最初の執行者。


感情を憎む者。


そして。


F-00。


壊れた親心を持つ存在。


二つの怪物が。


同じ場所へ向かっていた。

今回のテーマは、


「守り方」


でした。


F-00は壊れています。


ですが。


根底にあるのは支配ではなく、

守りたいという歪んだ感情です。


未完成の世界編では、


感情が人を救う事もあれば、

感情が人を壊す事も描いていきます。


そして次回。


ついにE-00が動きます。


未完成の世界編最大級の転換点が近付いています。

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