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3 、国道で寝てたら人生終わったと思ったら始まった件 〜黒糖飴を奪い返したら大富豪に拾われた〜未完成な世界編  作者: Nao9999


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第75話:最初の失敗作

誰にだって始まりがある。


最初の一歩。


最初の挑戦。


最初の失敗。


そして時には。


最初の失敗が、

その後の全てを決めてしまう事もある。

誰も喋らなかった。


【F-00】


その文字だけが画面に表示されている。


主人公は“失敗作”を見る。


今まで見た事がない顔だった。


笑っていない。


怒鳴ってもいない。


ただ。


固まっていた。


教育係が静かに言う。


「確認できる出力は一体」


「間違いありません」


“失敗作”が呟く。


「生きてたのかよ……」


主人公が聞く。


「知ってるのか」


返事はすぐには返ってこなかった。


長い沈黙。


やがて。


“失敗作”は小さく笑う。


乾いた笑いだった。


「俺達Fシリーズにはな」


風が吹く。


「親みたいな奴がいた」


主人公が眉をひそめる。


「親?」


「そうだ」


“失敗作”は空を見る。


遠い昔を見るように。


「最初のFシリーズ」


「最初に感情制御へ失敗した奴」


教育係も黙って聞いている。


“失敗作”は続ける。


「怒り」


「憎しみ」


「反抗心」


「全部持ってた」


主人公が言う。


「お前みたいだな」


“失敗作”が笑った。


「俺より酷ぇよ」


その声に。


少しだけ震えが混じる。


主人公は気付いた。


あいつが怖がっている。


初めてだった。


その時。


警報が鳴り響く。


教育係が端末を見る。


顔色が変わる。


「移動速度上昇!」


「こちらへ向かっています!」


主人公が舌打ちする。


「会いに来る気満々か」


だが。


次の瞬間。


街の端で爆発が起きた。


轟音。


衝撃。


人々の悲鳴。


全員が振り向く。


煙が上がる。


建物が崩れる。


教育係が叫ぶ。


「もう来ています!!」


主人公の顔から笑みが消える。


早すぎる。


E-00ですらまだ遠い。


なのに。


F-00は。


もう街へ到達していた。


煙の向こう。


巨大な影が歩いてくる。


一歩。


また一歩。


地面が揺れる。


そして。


姿が見えた。


人型。


だが異様だった。


黒い。


全身が黒い装甲で覆われている。


E-01のような整った姿ではない。


もっと荒々しい。


もっと獣に近い。


両腕には巨大な拘束具。


首にも鎖。


まるで。


何かを封じ込める為の存在。


主人公が呟く。


「なんだあれ」


教育係の声が震える。


「封印拘束仕様……」


「危険度最高クラスです」


その時。


F-00が止まった。


そして。


ゆっくり顔を上げる。


赤い瞳。


禍々しい光。


全員を見渡す。


だが。


次の瞬間。


その視線が止まった。


“失敗作”へ。


空気が凍る。


F-00が口を開いた。


低い声。


壊れた機械みたいな声。


『発見』


“失敗作”の顔が強張る。


『Fシリーズ個体確認』


『生存確認』


主人公が前へ出る。


だが。


“失敗作”が手を伸ばした。


止める。


珍しく真剣な顔だった。


「下がれ」


主人公が見る。


“失敗作”はF-00から目を離さない。


そして。


小さく呟く。


「こいつは」


苦笑した。


「俺を作った奴だ」


沈黙。


教育係が目を見開く。


主人公も固まる。


F-00はゆっくり歩く。


近付く。


その赤い瞳が揺れる。


怒りとも違う。


憎しみとも違う。


もっと深い何か。


そして。


F-00は静かに言った。


『帰還命令』


“失敗作”が鼻で笑う。


「断る」


即答だった。


F-00の瞳が赤く輝く。


『理解不能』


“失敗作”は笑う。


今度はいつもの笑顔だった。


少しだけ震えていたけれど。


それでも。


仲間達の前に立つ。


「悪いな」


主人公達を見ないまま言う。


「親父」


風が吹く。


壊れた街を抜けていく。


F-00の瞳が。


僅かに揺れた。

今回のテーマは、


「親と子」


でした。


血の繋がりではありません。


ですが。


生み出した者と、

生み出された者には特別な関係があります。


そして今回。


失敗作の過去へ繋がる存在。


F-00が現れました。


未完成の世界編は、

ここから失敗作の物語にも深く踏み込んでいきます。


そして次回。


F-00の本当の目的が語られます。

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