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3 、国道で寝てたら人生終わったと思ったら始まった件 〜黒糖飴を奪い返したら大富豪に拾われた〜未完成な世界編  作者: Nao9999


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第73話:追われる者

逃げる事は弱さじゃない。


生き残る為に逃げる事もある。


守る為に逃げる事もある。


だが。


いつかは振り返らなければならない。


向き合わなければならない。


自分自身とも。

朝日が昇り始めていた。


壊れた街。


焦げた建物。


崩れた道路。


それでも。


人々は動いていた。


瓦礫を運ぶ者。


怪我人を助ける者。


食料を分ける者。


完璧ではない。


混乱も残っている。


だが。


確かに生きていた。


主人公はその光景を見ていた。


「少しずつだな」


教育係が頷く。


「はい」


静かな返事だった。


その時。


E-01は遠くを見ていた。


北。


誰にも見えない場所を。


主人公が声を掛ける。


「気になるか」


「肯定」


即答だった。


E-01は続ける。


「E-00」


主人公は隣に立つ。


「兄弟みたいなもんか」


少し考えて。


E-01は答えた。


「不明」


だが。


珍しく言葉を続けた。


「しかし」


風が吹く。


「近い感覚はある」


教育係が聞いていた。


そして静かに言う。


「製造番号だけなら」


少し間。


「あなた達は兄弟です」


E-01は黙る。


主人公も何も言わない。


その時だった。


遠くで子供達の笑い声が聞こえた。


少女だった。


昨日のあの子。


数人の子供達と遊んでいる。


その中心にいるのは――


“失敗作”。


主人公が吹き出す。


「何やってんだあいつ」


教育係も笑う。


「人気者ですね」


“失敗作”は肩車をしていた。


完全に遊ばれている。


「おら落ちんなよ!」


「もっと高くー!」


「無茶言うな!」


周囲の大人達も笑っていた。


数日前なら考えられない光景。


主人公は目を細める。


こういうのでいい。


派手な奇跡じゃなくて。


こういう小さな日常が。


その時。


警報が鳴った。


全員の顔が変わる。


教育係が端末を見る。


血の気が引いた。


「反応です!」


主人公が立ち上がる。


「E-00か!?」


教育係は首を振った。


「違います!」


画面には複数の光点。


一つではない。


十。


二十。


三十。


“失敗作”が笑顔を消した。


「おいおい……」


教育係の声が震える。


「旧制圧兵器群です」


沈黙。


主人公が画面を見る。


大量の識別コード。


見た事もない番号。


「まさか……」


教育係が呟く。


「同時起動……?」


ありえない。


そんな顔だった。


E-01が前へ出る。


「数は」


「現在確認できるだけで二十七」


主人公が頭を抱える。


「増えてるじゃねぇか」


“失敗作”が笑う。


乾いた笑いだった。


「最悪だな」


だが。


その時。


新しい通信が入る。


全員が振り向く。


大富豪だった。


『ようやく気付いたか』


主人公が言う。


「説明しろ」


通信の向こうでため息。


『予想より早い』


教育係が聞く。


「何が起きているんですか」


沈黙。


そして。


大富豪は静かに言った。


『誰かが起こしている』


空気が変わる。


主人公の眉が動く。


「誰か?」


『そうだ』


『E-00ではない』


教育係が凍り付く。


“失敗作”も笑わない。


主人公が低い声で聞く。


「つまり」


大富豪は答えた。


重く。


静かに。


『兵器を目覚めさせている人間がいる』


誰も喋れなかった。


旧世界の亡霊。


感情を憎む者。


それとも。


感情に絶望した者か。


分からない。


だが一つだけ確かな事があった。


敵は兵器だけではない。


人間も動いている。


その時。


E-01が空を見上げた。


誰にも聞こえないほど小さく。


呟く。


「……何故だ」


その問いに答えられる者は。


まだ誰もいなかった。

今回のテーマは、


「人が選ぶ理由」


でした。


兵器は命令で動きます。


ですが人間は違います。


だからこそ難しい。


だからこそ恐ろしい。


今回で、

新たな敵の存在が示唆されました。


E-00だけではありません。


この世界には、

感情を否定したい人間もいます。


未完成の世界編は、

ここから人間同士の思想へも踏み込んでいきます。

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