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3 、国道で寝てたら人生終わったと思ったら始まった件 〜黒糖飴を奪い返したら大富豪に拾われた〜未完成な世界編  作者: Nao9999


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第71話:北へ

人は時々、


進まなければならない。


答えが無くても。


不安でも。


怖くても。


立ち止まれば、

何も変わらないからだ。


だから人は、

震える足で前へ進む。

夜風が吹いていた。


燃え続けていた街も、

少しずつ落ち着きを取り戻している。


だが。


誰も安心はしていなかった。


北。


その言葉だけが頭に残っている。


主人公は瓦礫へ腰を下ろした。


「結局」


ため息を吐く。


「また面倒事か」


“失敗作”が笑った。


「お前の人生、


ずっと面倒事だろ」


「否定できねぇな」


教育係は端末を睨んでいた。


何度も。


何度も。


通信記録を確認している。


だが結果は同じだった。


「本物です……」


主人公が見る。


「何が」


「大富豪です」


教育係の顔は少し青い。


「しかも予想以上です」


「どういう事だ?」


教育係は息を吐く。


そして。


ゆっくり言った。


「旧世界最高権限者の一人です」


沈黙。


“失敗作”が吹き出した。


「は?」


主人公も固まる。


「は?」


教育係は真面目な顔のまま続けた。


「管理者と同格です」


さらに沈黙。


主人公が空を見る。


「……あのジジイが?」


「はい」


「黒糖飴で揉めてたぞ?」


「信じられませんが事実です」


“失敗作”が腹を抱える。


「ははははっ!!


最高だろそれ!!」


教育係も少しだけ笑った。


ありえない。


だが。


主人公なら納得できる。


あの男はそういう人間だった。


その時。


近くで小さな声がした。


「おにーちゃん」


振り向く。


あの少女だった。


炎の中から助け出された子。


E-01へ近付いている。


E-01は少し困った顔をしていた。


最近よく見る表情だ。


少女は黒糖飴を差し出した。


小さな包み紙。


E-01が固まる。


「質問」


「なーに?」


「何故渡す」


少女は首を傾げた。


そして。


当たり前みたいに答える。


「だって」


笑顔だった。


「好きだから」


空気が止まる。


教育係が吹き出しそうになる。


“失敗作”が腹を押さえている。


主人公は顔を背けた。


E-01だけが固まる。


完全停止だった。


少女は続ける。


「助けてくれたもん」


E-01が黒糖飴を見る。


小さい。


軽い。


価値は低い。


合理性は無い。


だが。


なぜか。


胸が熱くなる。


「……理解不能」


少女は笑った。


「またそれ言ってる」


周囲から笑い声が起きる。


小さな笑いだった。


でも。


数日前なら存在しなかった笑い。


壊れた街の中で。


人は少しずつ生き始めていた。


その光景を見ながら。


主人公は空を見上げた。


黒い夜空。


その向こう。


北。


大富豪が待つ場所。


そして。


新たな脅威。


主人公は立ち上がる。


「行くか」


教育係が頷く。


“失敗作”が肩を鳴らす。


E-01も少女から黒糖飴を受け取った。


ぎこちなく。


本当にぎこちなく。


だが。


確かに受け取った。


主人公は少し笑う。


「似合わねぇな」


E-01が見る。


「否定しない」


一同が吹き出した。


その時だった。


教育係の端末が反応する。


警告音。


全員の表情が変わる。


教育係が画面を見る。


そして。


凍り付いた。


「そんな……」


主人公が覗き込む。


画面には。


衛星写真。


北方地域。


そして。


巨大なクレーター。


その中央に立つ一体の影。


識別コードが表示されていた。


教育係の唇が震える。


「旧制圧兵器……」


E-01の瞳が揺れる。


“失敗作”から笑みが消える。


教育係が呟いた。


「Eシリーズより前の世代……」


主人公が眉をひそめる。


「強いのか?」


沈黙。


教育係は答えた。


震える声で。


「最悪です」


その写真には。


人型とも機械とも言えない存在が映っていた。


そして。


識別名。


そこに記されていた名前は――


《E-00》

今回のテーマは、


「前へ進む」


でした。


街は少しずつ復興し始めています。


笑顔も戻り始めています。


ですが。


世界全体で見れば、

まだ混乱は始まったばかりです。


そして今回、

ついに新たな脅威が姿を現しました。


E-01より前に造られた存在。


E-00。


未完成の世界編は、

ここから次の大きな局面へ入っていきます。

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