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3 、国道で寝てたら人生終わったと思ったら始まった件 〜黒糖飴を奪い返したら大富豪に拾われた〜未完成な世界編  作者: Nao9999


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第65話:選ぶという痛み

自由は、

綺麗なものじゃない。


迷う。


間違う。


傷付ける。


それでも。


誰かに決められる人生より、

自分で選ぶ痛みを、

人は望んでしまう。

ベルゼは動かなかった。


燃える街の中心で。


巨大な兵器は、

ただ黒糖飴を握り締めている。


赤い単眼は、

何かを探すように揺れていた。


『……理解……不能……』


苦しそうな機械音。


教育係が警戒を解かない。


「油断しないでください……

内部出力はまだ危険です」


“失敗作”が肩を回す。


「クソデカ兵器が悩み始めるとか、

時代変わったなぁ」


主人公は黙ったまま、

ベルゼを見ていた。


その時だった。


遠くから、

怒鳴り声が響く。


「いたぞ!!」


武装した集団が現れる。


十数人。


粗雑な防具。


奪った軍用装備。


目だけが異様に荒んでいた。


周囲の人々が怯える。


教育係が小さく呟く。


「略奪集団……」


男達は、

ベルゼを見るなり顔色を変えた。


「旧兵器だと!?」


「撃て!!」


即座に発砲。


銃声が夜へ響く。


だが。


ベルゼは動かない。


弾丸が装甲へ弾かれる。


それでも。


反撃しない。


『……』


男達が更に撃とうとした瞬間。


主人公が前へ出た。


「やめろ」


「はぁ?」


リーダー格の男が睨む。


「どけよ」


主人公は動かない。


「これ以上、

無駄に壊すな」


男が鼻で笑った。


「綺麗事か?」


「違う」


主人公は静かに言う。


「もう十分壊れただろ」


空気が止まる。


男の顔が歪む。


「……俺達だって、

好きでこうなった訳じゃねぇ」


震える声。


「全部めちゃくちゃになったんだよ!」


怒鳴りながら、

銃を向ける。


「奪わなきゃ生きてけねぇ!」


主人公は黙って聞いていた。


否定しない。


説教もしない。


ただ。


少し疲れた顔で言った。


「分かる」


男が止まる。


主人公は続けた。


「腹減るのも」


「惨めなのも」


「誰かのせいにしたくなるのも」


風が吹く。


燃えた臭い。


鉄の臭い。


主人公は小さく笑う。


「でもな」


黒糖飴を一つ取り出す。


「あんたら、

そのままだと戻れなくなるぞ」


男達が黙る。


その時。


後ろにいた小さな子供が、

倒れ込んだ。


「おい!」


仲間の一人が駆け寄る。


子供は酷く痩せていた。


教育係が息を呑む。


「栄養失調……」


略奪集団の空気が揺らぐ。


リーダーの男が、

悔しそうに拳を握った。


「……クソ」


主人公は静かに近付く。


そして。


持っていた袋を投げた。


保存食だった。


教育係が驚く。


「全部渡すんですか!?」


“失敗作”も呆れる。


「お前、

マジで損得で動かねぇな」


主人公は肩を竦める。


「ガキは放っとけねぇ」


リーダーの男が固まる。


「……何でだ」


主人公は少し空を見る。


街灯の無い夜空。


遠い煙。


そして。


小さく呟く。


「助けられなかったからだろ」


その一言だけ、

どこか重かった。


教育係が主人公を見る。


だが。


主人公はそれ以上話さない。


ベルゼは、

そのやり取りを見ていた。


『……理解不能』


だが。


以前とは違う。


その声には、

迷いが混じっていた。


E-01が静かに言う。


「それでいい」


ベルゼの単眼が揺れる。


『……?』


E-01は、

人々を見る。


泣く者。


怒る者。


助け合う者。


奪う者。


全部、

未完成だった。


「迷うのが、

人間だ」


沈黙。


ベルゼは、

握っていた黒糖飴を見る。


小さい。


脆い。


非効率。


だが。


その小さな存在が、

人間達を繋いでいた。


その時だった。


教育係の端末へ、

突然ノイズが走る。


全員が振り向く。


「通信……?」


画面が乱れる。


砂嵐。


そして。


低い声が響いた。


『――E-01確認』


空気が凍る。


E-01の瞳が細くなる。


『感情汚染個体、

発見』


教育係の顔色が変わった。


「この識別コード……!」


“失敗作”が舌打ちする。


「マジかよ……」


通信の向こうで。


無機質な声が続く。


『処分を開始する』


その瞬間。


遠くの夜空で、

巨大な光が点灯した。


まるで。


新たな“執行者”が、

目を覚ましたみたいに。

今回のテーマは、

「選ぶという事」でした。


自由は、

正しい選択だけを生みません。


間違いも、

暴力も、

後悔も生む。


ですが。


それでも人は、

自分で選びたがる。


誰かに決められた人生ではなく。


傷付いても、

迷っても、

自分の意思で進もうとする。


今回、

主人公は略奪集団を否定しませんでした。


なぜなら、

自分も“そちら側”へ落ちかけた人間だからです。


そして最後。


ついに、

E-01以外の旧兵器群が動き始めます。


未完成の世界編は、

次の段階へ入っていきます。

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