表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3 、国道で寝てたら人生終わったと思ったら始まった件 〜黒糖飴を奪い返したら大富豪に拾われた〜未完成な世界編  作者: Nao9999


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
14/37

第64話:触れた事のない温度

誰かに触れる事。


誰かに触れられる事。


それだけで、

救われる夜がある。


完璧な世界は、

そんな“非効率”を切り捨てた。


だが――


未完成な人間達は、

その温もりの為に生きている。

ベルゼの赤い単眼から、

火花が散り続けていた。


巨体が揺れる。


警告音。


異常処理。


『理解……不能……』


機械音声が乱れている。


教育係が険しい顔をした。


「感情処理に、

内部演算が耐えられていません……!」


“失敗作”が目を細める。


「無理やり完璧に作ったツケか」


ベルゼは、

なおもE-01を見ていた。


『質問』


「……何だ」


『温カイ……トハ何ダ』


その瞬間。


周囲の空気が静まった。


E-01は少し黙る。


温かい。


その感覚を、

まだ完全には説明できない。


少女が、

そっとE-01の手を握った。


小さな手。


柔らかい温度。


E-01の壊れた指が、

微かに震える。


少女は笑った。


「これ!」


ベルゼが停止する。


『……接触行為』


『非効率』


少女は首を傾げた。


「でも安心するよ?」


その言葉に、

ベルゼの単眼が大きく揺れた。


処理。


解析。


だが、

答えが出ない。


主人公は、

その様子を静かに見ていた。


そして。


黒糖飴を一つ取り出す。


「おい」


ベルゼへ向かって投げた。


教育係が叫ぶ。


「な、何してるんですか!?」


“失敗作”が吹き出す。


「ははっ!

また始まったぞ」


黒糖飴は、

ベルゼの装甲へ当たって転がった。


ベルゼが見下ろす。


『……物体確認』


主人公は肩を竦めた。


「甘ぇぞ」


『……?』


「食ってみろ」


教育係が頭を抱える。


「兵器に飴を勧めないでください……!」


だが。


ベルゼは、

本当に困惑していた。


『何故』


主人公は静かに言う。


「知らねぇなら、

知ればいい」


風が吹く。


燃える街。


壊れた世界。


その中で。


ベルゼは、

ゆっくり黒糖飴を拾い上げた。


『解析開始』


数秒の沈黙。


そして。


『……糖分』


“失敗作”が腹を抱えて笑う。


「はははっ!

そりゃそうだろ!!」


主人公も笑った。


「まぁ、

最初はそんなもんだ」


ベルゼは止まる。


だが。


単眼は、

黒糖飴を見つめたままだった。


E-01が静かに言う。


「質問」


『……何ダ』


「お前は、

何の為に存在している」


ベルゼは即答する。


『秩序維持』


『世界正常化』


『感情排除』


E-01は、

小さく首を振った。


「違う」


『……?』


E-01は、

少女を見る。


老人を見る。


助け合う人々を見る。


不完全で、

騒がしくて、

面倒で。


でも。


そこには確かに、

“生きている”空気があった。


E-01は静かに言った。


「存在理由は、

誰かに決められるものじゃない」


主人公が少し驚いた顔をする。


教育係も、

目を見開いていた。


E-01は続ける。


「俺は今、

自分で選びたい」


沈黙。


ベルゼの処理音だけが響く。


『選択……』


『個体意思……』


その瞬間。


ベルゼの巨体が、

大きく揺れた。


赤い単眼が激しく明滅する。


警告音。


異常発熱。


教育係が叫ぶ。


「まずい!

自己崩壊を始めています!!」


人々が後退する。


だが。


ベルゼは攻撃しなかった。


ただ。


黒糖飴を握ったまま、

立ち尽くしていた。


『理解……不能……』


その声は、

どこか苦しそうだった。


E-01は、

ゆっくりベルゼへ近付く。


そして。


壊れた手で、

ベルゼの装甲へ触れた。


『……接触確認』


E-01は静かに呟く。


「これが、

温かいだ」


その瞬間。


ベルゼの単眼から、

初めて一筋の液体が零れ落ちた。

今回のテーマは、

「温度」でした。


この作品で描いている感情は、

派手な愛や友情だけではありません。


誰かに触れる事。


名前を呼ばれる事。


隣に誰かがいる事。


そういう、

小さな温もりです。


ベルゼは、

完璧に作られた兵器。


だからこそ、

“温かい”を理解できなかった。


ですが今回、

初めてその概念へ触れました。


黒糖飴も、

少しずつ作品の核心へ近付いています。


そして次回。


未完成の世界編は、

大きな転機へ入っていきます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ