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3 、国道で寝てたら人生終わったと思ったら始まった件 〜黒糖飴を奪い返したら大富豪に拾われた〜未完成な世界編  作者: Nao9999


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第62話:非合理な命

合理的なら、

助からない命がある。


非効率だから、

守れる心がある。


完璧な世界は、

それを“無駄”と呼んだ。


だが――


未完成な人間達は、

その無駄の為に立ち上がる。

ベルゼの赤い単眼が、

静かにE-01を見つめていた。


燃える街。


崩れた道路。


熱風。


その中心で。


二体の“執行者”が向かい合う。


『質問』


ベルゼが機械音声を響かせる。


『何故、

人類ヲ庇ウ』


E-01は黙っていた。


『人類ハ非効率』


『争イ』


『裏切リ』


『感情ニヨリ崩壊スル』


赤い光が強くなる。


『管理対象ニ過ギナイ』


その言葉に、

避難していた人々が顔を強張らせた。


恐怖。


怒り。


後悔。


様々な感情が入り混じる。


だが。


主人公は黒糖飴を噛みながら、

小さく呟いた。


「まぁ……

間違っちゃいねぇな」


教育係が目を見開く。


「ちょっ……!」


“失敗作”が吹き出した。


「ははっ!

お前そういう事言う!?」


主人公は肩を竦める。


「実際、

人間なんて面倒臭ぇだろ」


ベルゼが反応する。


『肯定』


『故ニ管理ガ必要』


主人公は笑わなかった。


静かに、

ベルゼを見る。


「でもよ」


少し間。


「だからって、

全部奪っていい理由にはならねぇ」


空気が止まる。


ベルゼの単眼が揺れた。


『理解不能』


主人公は続ける。


「泣いたり、

怒ったり、

後悔したり」


黒糖飴を噛み砕く。


「そういう無駄込みで、

人間なんだろ」


ベルゼは沈黙する。


処理。


解析。


だが、

答えは出ない。


その瞬間。


後方で悲鳴が上がった。


崩れかけた建物。


逃げ遅れた老人がいる。


瓦礫が落ちる。


人々が叫ぶ。


「危ない!!」


だが。


誰も動けない。


恐怖で足が止まっていた。


その時。


E-01が飛び出した。


教育係が叫ぶ。


「待ってください!

その損傷状態では――」


E-01は止まらない。


崩れる建物。


降り注ぐ瓦礫。


そして。


E-01は老人を庇うように抱え込んだ。


――ドゴォォン!!!


轟音。


煙。


衝撃。


瓦礫が崩れ落ちる。


主人公が舌打ちした。


「E-01!」


煙の中。


ボロボロになったE-01が立っていた。


左肩は完全に破損。


火花が散る。


だが。


老人は無事だった。


老人が震えながら見上げる。


「なんで……

ワシなんかを……」


E-01は少し黙った。


以前なら、

合理性で答えていた。


だが今は違う。


内部で、

言葉を探していた。


そして。


小さく呟く。


「……死んでほしくなかった」


空気が止まる。


老人の目から涙が零れた。


ベルゼが、

静かにその光景を見ていた。


『理解不能』


その声は、

以前より微かに乱れていた。


『何故、

ソコマデ非合理ヲ選択スル』


E-01は、

ゆっくりベルゼを見る。


壊れた身体。


痛み。


恐怖。


それでも。


少女の笑顔。


人々の声。


“ありがとう”


その記憶が、

内部を満たしていた。


E-01は静かに答える。


「……温かいからだ」


ベルゼが停止する。


『……温カイ?』


その瞬間。


主人公は気付いた。


ベルゼの処理に、

ほんの僅かな“揺らぎ”が生まれている事に。

今回のテーマは、

「非合理な優しさ」でした。


完璧な世界にとって、

感情は無駄でした。


ですが。


その“無駄”があるからこそ、

人は誰かを守ろうとする。


E-01は、

合理性ではなく、

感情で動き始めています。


そして今回、

ベルゼにも小さな変化が生まれました。


それが希望になるのか。


それとも、

さらなる悲劇へ繋がるのか。


未完成の世界編は、

ここからさらに深く、

“心”へ踏み込んでいきます。

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