第10話
己の馬鹿さのせいで魔王種への進化のためにより多くの魔物を狩る必要ができた俺は翌日になりゴルドーたちの案内のもと森を歩いている。
「この先は危険だから村の奴らには近づかないように言ってある。俺たちも極力向かわないようにしてるぐらいだしな」
「ただのスライムの群生地ってだけだろ?そんなに危険なのか?」
「まあ体験すりゃあわかる」
どうやらこの先にある危険な場所というのがスライムが多く存在するような場所らしい。しかし俺としてはスライムはゴブリン以上の最弱の魔物の筆頭だという認識のためゴルドーから説明を受けても半信半疑となっている。
「……」
「……」
この一行は話しているのは俺とゴルドーだけだがほかにもゴルドーの眷属であるソリューとザーノもともに歩いている。しかし先ほどから2人とも一向にしゃべらない。ザーノはともかくソリューも俺を見るだけでしゃべろうとしないのは気になる。
「どうしたソリュー?気になることがあんならいやあいいじゃねえか」
どうやらゴルドーも気づいているらしくそうソリューに語り掛ける。
「……いえ……わたしは別に……」
ゴルドーから指摘されたソリューはごもごもとして話そうとしない。するとザーノが代わりにしゃべった。
「……ずるい……」
そういいながら俺に対して指をさすザーノ。その視線は俺を見てソリューを見て。それに慌てたのはソリュー。
「ざ!?ザーノ!?こういう時に気を利かせなくていいのよ!?」
どうやらソリューは村で先ほどエリーも含めて伝えた俺自身についてを聞いて納得がいっていないらしい。
そう……俺はエリーの約束を果たすために自身が転生者でありオリジンスキル「学ぶ」というチートスキルが存在することを明かした。
「(まあ……そりゃあずるいってなるよな~。他人が一生懸命に鍛えてきたスキルを俺は見ただけで習得するんだから。ハイスキルでさえも習得しちゃうし……我ながらずるい……)」
そんなことを考えているとソリューが口を開いた。
「……わかってるんです……この気持ちが卑しい不必要な感情であることは……魔物は生まれながらに強者のドラゴンとかもいる……生まれは平等じゃない……それでも……見ただけでなんて……」
自身の気持ちを吐露するソリュー。するとゴルドーとザーノから視線が送られる。その目からは"お前がなんか言え"という意思が伝わってくる。
「(ここで俺が言うの?当事者の俺が何言えってんだよ?ここはゴルドーの役目でしょ!)」
その思いで睨むと折れたのはゴルドーだった。
「はあ……ソリューは気にしすぎなんだよ。俺だってこいつのチートを聞いた時には死ねって思ったんだ。誰でも思うだろそんなもん」
「……ゴルドー様……」
ちょっと待ってほしい……ゴルドーはそこまで思ってたの?それはそれで怖いんだけど?ふと隣を見るとザーノもうなづいている。どうやら俺が打ち明けたチートに関しては快くは思われていなかったらしい。
「ソリューは心もキレイすぎるんだ。もっと汚くたっていいんじゃねえか?」
「……ありがとうございます……ゴルドー様……」
そのゴルドーの言葉でソリュー吹っ切れたのかゴルドーに感謝のため頭を下げた。その際にボソッとつぶやいた言葉が俺にだけ聞こえてきた。
「……心もキレイ……それって……」
どうやら吹っ切れたのは別の要因らしい。
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そんなこんなで歩くこと数十分。道中で魔物を倒しながら進んでいるとゴルドーの足が止まった。
「この先にスライムがワラワラといやがる。まずはユウジが行ってみな」
「わかった。それじゃあ行ってくるよ」
俺が先頭を歩き先に進む。その後ろをゴルドーたちはただついてくるだけ。
「(スライムか。ゴルドーがここまで言うぐらいだから俺の想像を超えるなにかがあるって考えておいた方がいいよな)」
ゴルドーの感じからもたかがスライムと侮ることなく警戒して進むとすぐに視界の中にはスライムしかしないほどにスライムの群生地にたどり着いた。
「ここか……一応万全を期しておいた方がいいよな……」
そう感じて俺はゴルドーの時には封印していた水魔法を解禁。水の球体を手のひらに浮かべた。
「てめぇまだそんな手を隠してやがったのか」
なぜか悔しそうな声が後ろから聞こえてくる。それを無視しながら片手には折れた剣を握る。それでスライムの群れに進むとスライムたちも俺に気がつく。
ぽよーん。ぽよーん。
一斉に跳ね出すスライムたち。パッと見では20に迫るほどのスライムたちが目の前で跳ねているため壮観さはある。
「水光線」
ピジュン!
前で跳ねるスライムたちに気を取られていたら右側からスライムが飛びかかってきた。しかし俺には察知スキルがあるためすぐに気がつき反射的に水のレーザー光線を放つ水光線を放つことで対処できた。
「これはスライムの連携か?スライムに頭脳を使うイメージがなかったんだけど?」
それは倒したと判断しての油断だった。俺の水光線はスライムの魔石を撃ち抜きはしていなかったようだ。
ジュウ!
「くっ!?オーラスピア!」
パリーン!
俺は腹にモロにスライムの溶液を喰らう。その痛みに顔を歪めながらも剣の先を伸ばして槍としてスライムの魔石を貫く。そうすることでようやくスライムは溶けて消えた。
「そうか……スライムは魔石を破壊しないと再生し続けるのか……」
しかしそれがキッカケとなったか20を迫るスライムたちが一斉に俺に襲いかかる。
「うおーーー!?」
一斉に迫る多くのスライムの魔石を確実に壊さなくてはスライムたちは永遠と再生を続ける。中には身体を破壊されながらも勢いを落とさずに突進してきたり溶液を吐き出してきたりするスライムも。俺は怪我を負いながらもなんとかスライムの集団を全滅させることができた。
まさかスライムの集団がここまで厄介だとは思ってなかった。どんな相手でも油断大敵だな。
・槍術B(1)new
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