雄一はスキル適合者か
「雄一がスキル適合者?」
愛の突如の進言に俺は驚いていた。
雄一は誰よりも練習熱心だ。
小柄だがそれを余りある筋力がある。
ただ、確かに野手の間に落ちるヒットが多かったし、相手の失投も多かった。
「なんでそんな事言いきれるんだ?」
俺は逆に問う。
確かに雄一は小兵だが、金属バットで失投を強打すればホームランに出来る。
野球強豪校の一軍とはそういうものだ。
愛は割り切ったように切り出した。
「黄昏京子、私のルームメイトなの」
さらりと言われた事実に俺は仰天した。
「る、る、る、ルームメイトだぁ!? なんで今まで黙ってたんだよ!」
「個人的に興味が湧いてね。ちょっと話してみたくなった。そしたらぽつりとこぼしたのよ。春武より雄一の方が凄くなるって」
「それは……あいつが言うと意味深だな」
それにしても、ルームメイトだとは。
なんて危険な真似をするのだろう、この姫君は。
「雄一は努力してるよ。誰よりも早くグラウンドに来てバットを振ってる」
「うん、わかるよ。一般人の肉体じゃない。けどね、前回の試合で変な失投があったのは事実なんだよ」
俺は黙り込む。
相手ピッチャーは大したレベルではなかった。
しかし、雄一に都合の良い展開だと言える。
「わかった。確認してみるよ。雄一に」
俺はそう言うと付け加えた。
「これで借り一つチャラな」
どさくさに紛れて浮気を許された借りを相殺しようとしたちゃっかり者の俺なのだった。
嘘をついていたのはお互い様ということだ。
つづく




