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ダークファンタジア十五部 番外編  作者: ノクターン


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2/23

2 今はそれどころではないのだけど

海側の神殿である。

海の神々は海のパトロールを交代で続けていた。海の上を飛んでいる魔物を倒したり、海岸に近い場所に出た魔物退治もしている。そして神殿の広間にて、魔法の鏡で戦場の様子をみんなで眺め、応援していた。


「アー疲れた。今どんな様子?」

よろよろしながら海の女神セスティナが広間に戻ってきた。


「あーなんてことだー」

「うわーん」

「わーん」

鏡の前には20人ほどいたが、みんなが泣きわめいている。セスティナの母エキドナはハンカチで顔を覆っていた。


「一体何があったの?」

「カ、カサンドラ様が、カサンドラ様が消滅してしまったんです」

海の妖精の一人が言った。

「はあ!?」

「若い男の子をかばって。でもその男の子も消滅してしまって」

「若い男の子って」


「まさかそんな……」

「あ、ああ、ヤツがまた!」

「逃げて!」

「逃げてー!」

「やめてー!」


鏡に映る魔物は、人のような姿をしていた。かなり重い魔の力を持っている。鏡ごしで見るだけで、セスティナはぞっとして腰をぬかすほどだった。見るだけでわかる。この魔物はかなり強い。しかも高位の女神であるカサンドラを消滅させてしまうなんて。その魔物が、キュリアに迫っていた。


「やめてくれー!!!!」

「だれか助けて!」


みなキュリアを心配して泣き叫んでいたが、あの魔物を倒せる者がいるとすれば、ハロルドぐらいしかいないだろう。

「ハロルド早く来てよ。何してるのよ!」

キュリアの顔が恐怖で引きつっている。周りの神々は助けようと魔物を攻撃していたが、その魔物は武器でその攻撃をかわしていた。


その時、キュリアと魔物の間にすっと入った神がいた。神々しいまでの光を放つ男の神は、魔物に攻撃し、足を止めていた。魔物は苦しんでいた。さらに、なんとカサンドラとジュリアンが復活したのである。


「おっ!?」

「え?」

「ええ?」

「おおー」

「おおおおー!?」


海の連中は涙を拭いて拍手喝采を送っていた。

「えーと、あれはだれかしら。あの髪、ルチアっぽいけど」

セスティナが聞いた。

「ルチアね」

エキドナが言った。

「え? ルチアって、男だったの?」

鏡に映る神は、どこからどう見ても男である。

「え? ええええ?!」

「でも、さっきルチアちゃんは大人の女性でしたよ」

海の妖精が言った。

「そうでしたよね。さっきは大人の女性でしたよ」

「どーいうこと?」

「もしかしたら、ルチアは男にもなれるのかもね」

エキドナが言った。

「えー?」


鏡にはルチアがいろいろする場面が写されていた。

「かっこいい。ルチアが男ってことは、私とルチア、結婚できるってこと!?」

セスティナが目を輝かせて言っていた。

「だって、ルチア私のこと好きだし、私たちって、相思相愛じゃない!!」

「セスティナってば、今はそれどころじゃないわよ」

「そうだけど」

「それにこれが終わればまた子供に戻ると思うわよ」

「そうだとしても、結婚できるってことでしょ? ね? ね?」

セスティナは周りのみんなに同意を求めたが、みんなは正直それどころではない。

「がんばれ!」

「がんばれー!」

鏡に向かって応援を続けていた。


「元々ルチアが男だったらいいなって思ってたのよ。そのうち大人になれば結婚できる・・・ククク」

「男になるのは今だけかもよ」

母のエキドナは冷静に返していた。

「男になれるんだから頼んだらなってくれるかもしれないでしょ?」

「いつ大人になるかもわからないし」

「どっちみち、しばらく結婚しないからいいもーん」

(まあ、人間の男にうつつを抜かすよりいいかも)

エキドナはそう思い黙っていた。


「がんばって、ダーリン!」

セスティナはかなり盛り上がっていた。


「あのー」

その場にやってきた男がいたが、みんな鏡に目が釘付けだった。

「あのー」

男はもう少し大きな声をかけてみた。エキドナが男に目を向けた。

「あら、ニイニじゃない?」

「え? ニイニ?」

みんながちらっと男を見た。

かなりきれいな顔をした妖精がそこにいた。


「ほんとだ。ニイニだ」

「ニイニも大きくなったんだ!」


ニイニは男らしい男ってわけではなく、ジュリアンのようにきれい系だった。


「え? かわいい。ニイニもいい! でも私にはルチアがいるし……」

セスティナは一人でぼそぼそ言っている。

エキドナは、ガーベラの子供達がみんな大人になったようだとニイニに説明した。

「そうなんですね。ちょっと水の神殿に行って来ます」

ニイニは妹達が気になったのか去って行った。


「ってことは、ユリアナ&イオナちゃんも大人になったのかな」

「レヴァーン様が知ったら騒ぎそうだけど」

レヴァーンはこの場にはいなかった。知っていたら大騒ぎしているはずだ。


「ランスロット様もすごいですよ。かっこいい!」

「技がすごい!」

「キュリアちゃん、すごく美人!」

「新しい女神がきた。あれはだれだ?」

「すごい美人だ!!!」


「ルチアは頼りになるところがいいのよね。やっぱりルチアしかいないわ。ダーリンがんばっ!」

セスティナはいろいろ想像して盛り上がっていたが、周りは無視してそれぞれ応援していたのだった。

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