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ダークファンタジア十五部 番外編  作者: ノクターン


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1 でかっ

戦は三日目に突入したようだ。ジンラの神殿にいたアマンザとジンラも落ち着かない様子だった。戦前から空はずっと暗い。雨が降りそうで降らないといった日が続いている。二人は、酒蔵にあるお酒が戦が終わった祝いになることを信じて、新たな酒を造っている。

 戦の間はあまり神殿から離れないようにといわれていたので、アマンザもジンラの神殿の周りと畑をうろつくだけだった。

「ああ、みんな無事でいますように」

 この神殿にはガーベラのような魔法の鏡はない。戦の様子を見ることもできなかった。人間界の様子もわからない。

「あっちのお母さんのところも無事だといいけど」


 じっとしていても心配するだけなので、アマンザは畑を耕したりして時間をつぶしていた。そんなとき、何かが背中にぼすっとあたってきた。

「うん?」

 アマンザは振り向いて思わず後ろに尻餅をついていた。

「うおっ……ええ!?」

「グウ~」

 後ろにいたのは金色の毛並みの獣だったが、かなり大きかった。しかも背中には金色の翼がある。

「え。この顔、君はリリーかい?」

 その顔は豹っぽくもある。豹よりも毛は長めだった。

「グルルルル」

 リリーは甘えるようにアマンザのおなかに顔を寄せてきた。

「リリー? ちょっと見ない間に、こんなに大きくなるなんて」

 ちょっと前まで、リリーは豹をちょっと小さくしたくらいの体格だった。今では豹を飛び越している。顔だけでもライオネルの顔くらいありそうだ。背中に大人が三人くらい乗れそうである。

「でかっ。すごいよ。リリー」

 足も太く、体つきも立派だった。リリーはくるりと体を回した。尻尾の蛇たちも健在である。でかい立派な蛇になっていた。

「シャー」

 二匹の蛇はアマンザに何かを訴えるように口を開けていた。

「わかった。お酒だね。すぐに用意するよ!」

 アマンザはいつもの小皿ではなく、小樽を持ってきた。

「わっなんだこりゃ!」

 ジンラがやってきた。酒を一緒に造っている妖精達もリリーを見驚いている。

「すごい」

「でっかい!」

「これがリリーちゃん?」

 リリーは寝そべり、尻尾の蛇たちは小樽に頭を突っ込んでいた。

「リリー」

 アマンザはリリーの首に抱きついた。リリーの首には金色の輪がついたままである。一体どういう神器なのか、まだわからない。

「あったかい」

「リリーは戦に出るためにでかくなったのか?」

 ジンラの言葉にアマンザはどきりとした。

「リリー、戦に行くのかい?」

 リリーはアマンザのほおをぺろっとなめた。

「リリー怪我しないようにね。気をつけるんだよ。無事帰ってくるんだよ」

「グウ」

 ジンラはでかくなったリリーの周りを回っていた。

「しかしすごいな。こんなにでかくなるなんて。もう神殿には入れないな」

「そうですね」

 蛇たちは顔を上にあげていた。

「全部飲んだのか。すごいな」

 ジンラは小樽をのぞいたが、酒は空になっていた。リリーは立ち上がり、ばさっと翼を広げた。

「なんて神々しい生き物なんだ」

リリーはだっと走ると空に舞った。

「あの体で飛ぶとはすごいな」

「無事帰ってくるんだよー!」

 アマンザは涙目で見送ったのだった。


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