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ダークファンタジア十五部 番外編  作者: ノクターン


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工房のマスコットガール

「布ができたー!」

工房で喜んでいたのは、妖精メリーアンである。


「おおー!」

と工房にいた妖精達が声をあげた。


戦の最中、メリーアンは一時大きくなり、糸を出しまくった。その糸から銀色に光る布ができたのである。

つるつるとした光沢がある薄めの生地である。

「綺麗な布ですね」

ジェラルドが言った。

「でも……これだけかあ。まあ予想はしていたけど、服を作るのは無理ね」

メリーアンはかなりたくさんの糸を出したが、布にしてみると、1メートル半ほどだった。

「飾りでも作りますか? 布の神力補助力は、素晴らしいですよ」

ジェラルドが言った。ジェラルドが鑑定してみたが、この布は神力の回復を高め、同時に、神力を1割増す力がある。かなりすごい布だった。ジェラルドの蜘蛛の糸の布くらい素晴らしい。

「うーん」

メリーアンは腕を組んでうなっていた。


(面白い子だな)

ジェラルドは面白そうな目でメリーアンを見ている。彼らのような職人にとっては、刺激というのはかなり重要である。退屈は思考回路を停滞させ、物を作る力を奪ってしまうのである。メリーアンはここにいるだけで彼らの想像力を働かせる。今や重要な工房のメンバーである。服作りではない妖精達も、たまにこちらにやってくるほどである。メリーアンがくるまでは静かな作業場だったが、今では、時折笑い声がする作業場になった。


「ボス、アシュラン様って、パンツははくの?」

メリーアンは真面目な顔で聞いた。

「はきますよ」

「じゃあパンツを作ろうかな。神力回復パンツ、いいんじゃない?」

「メリーアンが作りたいのならそれでもいいですけど、私の布と合わせて服を作ることもできますけど」

「パンツって重要でしょ? アシュラン様の下半身を守れるのなら、それもまたいいかなって」

「はあ」

「ぷぷっ」

元人間のジャックスが吹き出していた。

「私は真面目よ」

「肌さわりが良いので喜ばれますよ」

とジェラルド。

「そうよね。よーし、素敵なパンツをつくるぞー!」

メリーアンは張り切っていた。

「と、その前に、みんなはどんなパンツはいてるの? いいパンツってどんなパンツ?」

メリーアンは工房の男性達にアンケートをとった。下半身の収まりが良いパンツが良いパンツらしい。


メリーアンは違う布で試作品を作り、工房の男性陣にはかせてみた。様々なタイプのパンツを作り、その中でも全員が良いといった型を選び、ついにアシュランのパンツ制作に取りかかることにした。

「ボス、アシュラン様のお尻のサイズとかはかったことある?」

「博物館にいいものがありますよ」

ジェラルドは、メリーアンをこっそりと聖地の博物館に連れて行った。そこには、昔アシュランが一度だけ全身の型を取った時の石膏の像があるのだ。博物館では、服を着せて展示されている。

ジェラルドはアシュラン像の服を脱がせてメリーアンに見せた。こんなことができるのはジェラルドだけである。他の誰かがやったらまず捕まる。メリーアンは職人の目でアシュランの下半身をじろじろと眺めた。

「おおー! さすがアシュラン様だわ!おしりの形もきれいだわ!」

メリーアンは素早くメジャーでサイズを測り、服を元通りにして博物館を後にした。


こうして作られたアシュランのパンツは、メリーアンとジェラルドによってアシュランに献上された。その後アシュランはさっそくパンツをはいてみた。

「ほう、なかなか収まりがいいな」

ジャストフィットしていたらしく、アシュランからは気に入ったとの言葉があった。

工房で、メリーアンは工房のメンバーとハイタッチして喜んだのだった。

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