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ダークファンタジア十五部 番外編  作者: ノクターン


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悩むな

「うーん、悩むな……」


神の国である。火の神殿にて、火の神サラディンは悩んでいた。目の前にあるのはクローゼット。中にはサラディンの服が並んでいる。もちろんすべて赤系統である。他の色は一切ない。


「うーんうーん……」

「どうしたの?」

サラディンの娘、ルティアナがやってきた。

「実は、人間に私の服をあげる約束をしたのだが、どれをあげようか迷っているんだ。どれがいいと思う?」

サラディンはルティアナに聞いた。ルティアナは衣装を眺めて、

「どれでも一緒じゃない?」

と言った。

「一緒じゃない。デザインが違うだろう。こっちは袖が少しあり、こっちはない。これは長袖だ」

「たいした違いはないよ」

どれも似たようなローブ状の服である。

「そうか? じゃあどれがいい?」

「お父さんが着ないヤツをあげたら? 全部着てないでしょ?」

「着ていないのを私の服だとあげていいのか?」

「別にいいじゃない。お父さんの服だし」

「うーん……」

サラディンは二十着ほどある服を一つ一つ出して考えていた。これだけあっても気に入ってる服というものがあり、あまり着ていない服もある。服の素材は同じなのだが。ちなみにサラディンの服は火に強い加工がされていて、それはジェラルドじゃないとできない。

「ねえお父さん、たまにはズボンはかない?」

「ズボン」

「違う格好のお父さんがみたいの」

「昔作ってくれたのがあるぞ。ズボン」

サラディンはクローゼットの横にあるタンスの引き出しをあけた。折りたたまれたズボンがそこに入っている。

「はいてみて!」

娘に要求されて、サラディンはズボンに履き替えた。上は赤のチュニックである。

「……なんか違う。お父さんじゃないみたい。でもマントとかつけたらかっこいいかも」

「邪魔だからいい。腰帯はどれをあげようかな」

「腰帯もあげるの? これがいいんじゃない?」

ルティアナは適当に一本取って渡した。腰帯も、赤で似たようなものである。

「火の神様だからって、赤じゃなきゃいけないってことないと思う。たまには青とかどう?」

「いやだ。落ち着かない」

「たまにはいいのに。はい、じゃこれとこれね」

ルティアナは袖がある衣装と腰帯を選んでサラディンに渡し、去って行った。

「……これでいいか」

サラディンはそう口にしたものの、まだ悩んでいるのか他の衣装を見ていたのだった。

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