驚くガーベラ
「集団巡礼?」
クーリーフンから話を聞いた女神ガーベラは、目を丸くしていた。今この場には二人しかいない。
「しかも明日!? 随分急なのね」
「聖地はまだ巡礼者が少ないから、今だってことになったんだって」
「そうなの。集団って何人かしら?」
「五十人だよ」
「神官にどう説明するのかしら」
「アシュラン様が説明するんじゃない?今回は四カ所だけだから。うちと、ハロルドとアシュラン様とヒルデリア様の神殿」
「4つだけなの」
「買い物もさせてあげるんだって。本当は夢で聖地に行ったようにできないかって彼女と話してたらしいんだけど、カサンドラが、それじゃ買い物ができないってアシュランに言ったらしいよ」
「確かに夢じゃ買い物ができないわね」
「カサンドラによれば、巡礼は、神殿を回って、神殿にあるお守りやらを買って、家に帰ってそれを見て神様をまた思うまでがセットらしいよ」
「そうなの。それで彼女と誰が来るの?」
「彼女は来ないよ。行ったことがない人を入れてあげたいって言ってた。恋人達が来るんじゃない?」
「まあ、まるっきり他人のためのお願いじゃないの」
「彼女らしいよ」
「わたし、いっても?」
「今は神様はなるべく神殿にいるように言われてるからねえ。僕はアシュラン様のお使いだから行ったけど」
「せっかくなのに。ダーリン達がくるかもしれないじゃない」
「ほかの人達も来るからあまり不審なことはできないでしょ」
「ぶー」
ガーベラは口をとがらせていた。
「ここでみーてよ。あ、そうだわ。せっかくだから、私の美容液を作ってあげようかしら。人間が使うのなら即席でもいけるし。あ、瓶が五十個もないわ。ジェラルドのところにもないかしら」
「ないんじゃない?」
「じゃあ花をあげて自分で作ってもらうしかないかしらね。せっかくだもの、来てよかったって思ってもらわないと、彼女の望みだし」
「そう。まあ花くらいの贈り物はいいのかな」
「ハロルドは知っているのかしら。言ったら何かくれるかもよ?」
「何もくれないと思うけど」
「行ってきてよ」
「しょうがないなあ」
クーリーフンは飛んで移動した。
ハロルドの神殿に行くと、ハロルドは寝室で寝転んでいた。戦のせいで神気は薄くなっている。回復中である。クーリーフンはハロルドに話をした。
「そんな話全然知らないぞ。集団巡礼って……ヒルデリアにばれたらなんていいわけするんだろ」
「彼女が魔道具をくれたから、そのお礼って伝えたらしいよ」
「あの女があれをなぜ持っていたかはなんて言ったんだ?」
「精霊王とのやりとりなので自分は知らないってことにしたんだって」
「そうか」
「お願いがヒルデリア様の神殿に行きたいってことだから、ヒルデリア様も悪い気はしないんじゃない? それで、ハロルドの神殿に行ったとき、何かあげられるものないってお母さんが」
「あげられるもの? ……なんもないな」
ハロルドは一応考えたが、何も思いつかなかった。
「それになんで何かやらなきゃならないんだ。人間にこびを売るような発想は私にはないな。あれのお礼なら、サラディンに言ってみたらどうだ? あれがなきゃプータローは死んでいたかもしれない」
「ハロルドの妖精達だって死んでたかもよ」
「私の感謝はガーベラに伝えるからいいんだ」
「サラディンの神殿には行かないのに何かくれってのもなあ……あ、そうだ。彼女神様の服も博物館に飾ってるんだよ。サラディンに服をくれって言ってみようかな。ハロルドの服もくれない?」
「私の服は、人間が着るとまずいことになるからだめだ」
「そうなの?」
「私が着てない服ならいいぞ。たとえば、あのけったいな妖精に私の服を作らせて、それをやれば?」
「それならいいんだ」
「私が着ていないならいい」
「なるほど。わかった。ありがとう」
クーリーフンは去って行き、サラディンの神殿に行った。サラディンは、自分の神殿には来ないことが残念そうだった。
「服か。いいぞ。明日までに用意しておく。クーリーフンに頼んでいいか?」
「うん。じゃあお願いするよ」
クーリーフンは去って行った。
「あの博物館、すごい場所だな。本人が頼まなくても勝手にいろいろ集まってるんだもんなあ」
空を飛びながらクーリーフンは笑っていたのだった。




