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その後、八代さんが佐々木さんについて警察に通報したが、厳重注意で終わった。

私はもう、佐々木さんとは口を聞く事もなかった。佐々木さんは、以前より私の顔色を伺い、世間話を持ちかけるようになったが、私は無視を決め込んだ。


あの日のトラウマのせいか、部屋の前に行くと生ゴミの匂いがする。一刻も早くこのハイツから出ていこうと決めた。多少遠くても構わない。

私は、休みの日にネットで引越し場所を探していた。すると、コンコンとノックをする音がし、部屋着のまま玄関まで行った。

扉を開けると、そこには佐々木さんの姿があった。

「来ないで……!」

私は後ずさってしまった。佐々木さんは、こちらに手を伸ばしながら部屋に入ってくる。

「真澄さん……」

「嫌ぁぁ!」

私は佐々木さんの伸びた手を交わして部屋の奥へと逃げた。それでも佐々木さんは、ゆっくり私に近づいてくる。

ベッドのある部屋に追い詰められた私は、壁を背に、迫ってくる佐々木さんを顔面蒼白になりながら見、壁をドンドン叩いた。八代さんに助けを求めた。

「助けて!助けて!」

「やめなさい!!」

佐々木さんは、私の腕を掴んできた。私は一心不乱に、涙で顔を崩しながら、言葉にならない声を発した。

しかし、佐々木さんは、私の前で倒れた。目の前には、バットを持つ八代さんが息を巻いて立っている。

「無事か?」

そう言って、八代さんは、私の肩を支えた。

「佐々木さんに、殺される……」

私はそれしか言えなかった。八代さんは、私を両腕で抱き上げた。

「ここは危険だ。私の部屋に行って対策しよう」

倒れている佐々木さんを尻目に部屋を出ていった。



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