8.初めての依頼だ!
リナに連れられてきたギルド。
カナタはここに登録して依頼を受けるか悩んでいた。
「とにかく登録して、依頼をこなす方がいいかと思ってるんですが……」
カナタがそう言うのを、受付の女性がさえぎった。
「すみませんが、初めての冒険者の方はまず実力を見せてもらうことになっています」
「というと?」
「まずはこちらのDランクの依頼の中から1つ受けていただき、それを問題なくこなせれば、晴れてギルドへの登録となります」
受付の女性が指し示した壁には、Dと大きく書かれた紙が貼ってある。
そしてその下にはいくつかの依頼書が貼られていた。
「なるほど、これらがDランクってわけなのね」
リナが納得する。
「よし、どれにしようかな」
「初心者だと最初はおつかいとかが無難じゃない?」
「そうだな。この、クーパーさんの家に行って金貨を受け取るって依頼にしよう」
カナタは依頼書をつかんで受付に手渡した。
「わかりました。あら、この依頼は期限が今日中ですね。遅れないようにお願いします」
「え、もう午後だぞ。急がないと」
「急いでください。急がないとなんか嫌な感じになります」
「どういうことですか、それ」
「ふふふ」
答えがない。つかみどころがない受付だ。このくだりでリナが無表情なのも気になった。
二人はそのまま店を出る。
「よし、じゃあ行くか」
「あたし、あの受付の人嫌い。ふざけてるし」
お前も十分ふざけているぞと言いたかったカナタだが、黙っておいた。
「さて、依頼書にあったクーパーさんの家はここだ」
古そうな家があった。
ノックして、ギルドからの依頼だと告げて中に入る。
60代か70代だろうか。
カナタが思ったよりも年配の男性が、二人の姿を見てすぐに金貨の入った袋を差し出してきた。
周囲を何度も気にしている。
「あ、これ、これを、お願いします」
なぜか焦っているように見えた。
「よし、金貨100枚を受け取ったぞ。次は町外れのロッカーへ行こう」
「異世界にもロッカーってあるんだね」
時間が限られているため、カナタたちは早足で向かう。
「ロッカーはこれだな」
「うん」
「えーと、金貨3枚がこちらの報酬で」
「うん」
「残り97枚をロッカーに入れて、指定の暗証番号をセットして……」
「ねえ……この依頼って、ギルドで紹介したら駄目なやつじゃない?」
「……え?」
戦慄する二人。
結局、暗証番号をセットする前に金貨を取り出し、報酬として抜いた3枚とともにクーパー氏へ返した。
「ふう、こんな依頼を受け付けているギルドは信用できない」
「そうなの?」
「あとからきっとトラブルになるぞ。ここは要注意だな……」
「覚えておこうね」
「このギルド、名前なんていうんだ?」
カナタは店の前に立ち、改めて看板を見た。
最初訪れたときは旗に隠れていてよく見えなかったが、そこにはこうあった。
【GUILD ”闇”】
「やってることが名前の通りすぎるだろ」
名は体を表すものだと思ったカナタだった。




