42.砦の下見だ!
「あいつが言っていた、まず斥候を出して情報収集するという作戦は悪くない」
シベリスたちと決裂したカナタ。リナと二人でいつものように依頼を進めていくことになる。
「俺たちには砦の情報がない。しかも他からその情報をもらえる可能性もない」
「うん」
「自分たちで見に行くしかないよな」
そして2時間後、二人はバイート砦の近くまで来ていた。
城下からは歩いてこられる距離ではある。
それだけにここをモンスターに占拠されているのは、そのまま城下町まで攻め入られる危険性が増した状態ということだ。
草原に立つ石造りの威容は初めて見るカナタにもなかなかの堅牢さを感じさせた。
反対側は川が流れており、正門方向から入る以外に侵入経路はなさそうだ。影となる部分には苔がむしている。
「砦の上、モンスターが歩いてるね」
リナが言う。岩陰に隠れて遠目で砦の様子を確認しているのだ。
「ああ、外から攻めてくる者がいないか見張っているんだろうな」
細かな特徴まではわからないが、何匹かのモンスターが砦の壁の上を歩き回っている。
妙に静かだ。風の音しか聞こえない。
「シベリスが主張していた、旗っていうのはあれか」
砦の上の方から1本の旗が突き出るように掲げられている。
黄色と青で半々に塗り分けられたその旗は──
「あれ、うちの王国の旗だよね」
「旗はモンスターに放っておかれてるってことか?」
モンスターの思惑か、ただ単に彼らに旗を取る概念がないのか、砦に掲げられた旗は元のままであった。
「シベリスたちはこの旗を、新しく持ってきた旗に交換したら勝ちとか言ってるのか」
「クリーニングしただけになるよね」
リナがクスリと笑う。
「さて、砦の場所や大きさはだいたいわかった。ここからだが……」
カナタはしばらく砦を見つめたまま考え込む。
「攻め方もなんとなく頭の中に浮かんできたぞ」
「えっ!?」
カナタの自信に、リナは驚きの声を上げた。
「砦に城の兵士がいたときは、補給部隊から食料が運び込まれていたはずだ。だが今はそれがない」
「そうだね」
「だが、モンスターだって飯は食べるだろ」
「あ、砦にいるモンスターもそのままだと何も食べられないよね」
気づいて納得した様子のリナ。
「そう。モンスター側の補給線を断てばいい。兵糧攻めだ」
「食料を運び込んでくる奴を狙うってことだね!」
「ああ。あるいは奴らが外に何かを食べに出てくるのなら、各個撃破ができる」
これがカナタの作戦だ。
二人は砦から少し離れた場所で、じっと様子を見続けた。
しかし2日後。
「誰も砦に食料を持ってこなかったね」
「……ダメだった。理由はわかったんだがな」
「うん」
「砦にいるのが植物系モンスターばかりだったとは」
「壁の上歩いてたの、光合成してたんだね」
「見張りかと思ったんだがな……」
このままモンスターたちが干上がるのを待つ作戦は使えなくなった。
「あっ、誰か砦に向かってるよ」
リナに言われて入口を見るカナタ。戦士らしき男が砦の入口に立っていたモンスターに切りつけ、倒した。
「正面から行ったか……」




