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なんなんだこの異世界は、常識ないんか  作者: 嵐山ノキ


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35/44

35.お城だ!

 宿の幽霊事件後、カナタとリナは順調にいくつかの依頼をこなしていた。


 レベルもカナタが15、リナが16。メインスキルもサブスキルもそれぞれレベルが上がり、できることも増えつつあった。

 

「しかしこの前の、雪のスキー場での落とし物探しは参ったな」


 朝のカフェでカナタは、この前の依頼についてしみじみと思い返す。

 

「そうだよね。私スキーするの初めてで、転ぶかと思ったよ」


「最初はみんな転ぶもんだから」


 リナはコーヒーに口を付ける。

 

「うん、周り見てたら皆転んでたし、若い子たちの集団も倒れて呻いてた」


「救助隊の担架が20往復ぐらいしてたよな。現われたモンスターも転んでたけど救助を後回しにされてかわいそうだった」


「あのスキー場、大丈夫なのかな」


「呪われてるんじゃないかと思ったな……さて」


 自分の分の昆布茶を飲み終えたカナタは席を立つ。


「どこか行くの? 今日は一緒にギルドに依頼を見に行こうかと思ってたけど」


「ちょっとお城へ行ってくる」


「ちょっと行く場所じゃないと思うけど……」


 不思議に思うリナ。


「新聞に書いてあったんだけど、今日は一般公開の日なんだ」


「なんでそんなことしてるの?」


「就職活動中の学生歓迎だってさ」


「つまり、職場説明会?」


 合点がいったようだ。リナも異世界に来る前は就職活動して内定ももらっていたらしい。

 

「そういう感じだな。前回はモンスターや悪魔も来て、盛況だったって」


「治安どうなってるの!」


 思わず突っ込みが入る。


「敵になるかもしれないモンスターたちを城に入れちゃうなんて! おかしい!」


「これから少子化で人材不足になるっていうじゃん」


「モンスターは何をする人材なのよ……」


 呆れ顔のリナだが、さっさと行こうとするカナタに着いていこうとする。


 コーヒーの伝票をテーブルの上に探したが、すでにカナタが勘定を済ませているところだった。


「そういうところはきっちりしてるよね」

 

 まんざらでもない気持ちで後を追う。


「でも、お城に行くってことはカナタはお城に就職したいの?」


「どうかな? 一応、どんな求人があるのかは気になるじゃん。高給取りになれるかも」


「まあ、そうね」

 

「王直属の仕事があるかも」


「そう期待しておいて、暑がっている王様をうちわで扇ぐ係とかしかないかもよ。それでもやるの?」


「うーん、給料によるな」


「やるんかい」

 

 そして二人は異世界に来て始めて、王の居城へと足を踏み入れた。


「うわあ……王立就職相談ホールがあるね」


 さっそくカナタはホワイトボードに貼られている求人表に目を通し始めた。


「こ、これは……」

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