34.異世界広告だ!
宿の事件を終えて、二人は新たな依頼を探しがてら街に繰り出した。
「こんな所に広告会社ができてるね」
リナが看板を見つけた。
「”異世界広告株式会社”か。何を広告するんだろう」
「新聞に載せたり、看板を立てたり?」
店の窓には、”広告魔法で集客アップ”とか、”異世界の可能性が無限大”と書かれたポスターが貼ってある。
「異世界に広告会社が必要か? 魔王軍とか邪教とかのプロパガンダに使われたら嫌だな」
「うん、魔王軍が世界を救う、なんて広告で洗脳されたら怖いよね」
「今回は社会派的な話だな」
「今回って?」
「なんでもない。しかし、ポスターに書かれてる”広告魔法”っていうのが気になるな」
「うん」
数時間後。
二人は薬草探しの依頼を受け、草原に向かっていた。
「出たよ! ストーンゴブリンだよ!」
あっさりモンスターと遭遇する。
「石でできてるのか? だとすると防御が硬そうだが」
「ううん、石を投げて攻撃してくるの」
「納得しがたい名前の付け方だ……」
その法則だと、ボールを投げてきたら名前がボールゴブリンになるのだろうか、とカナタは思った。
「うおっ、やっぱり石を投げてきた」
ゴブリンの投石をカナタがすんでの所でかわす。
「次の石を持たれる前に接近して倒すぞ……うん?」
なんと、カナタとゴブリンの間の空中に、ウインドウが開き始めたではないか。
「あん? ”本日のオススメ! 回復ポーションが初回限定半額! マジカルクラフト社”だと!?」
キラキラと輝く文字とエフェクトが、ポーション安売りの内容を伝えてくる。
カナタはぽかんとそれを読んでしまった。
「これが広告魔法なの!?」
リナの声で我に返る。
ストーンゴブリンは、頭にはてなマークを浮かべたように虚空に浮かぶウインドウを上から下へと見ている。
いきなりこんなものが表示されたら、冒険者側の魔法かと思ったことだろう。
「混乱してるみたいだな。気が引けるが、今だっ!」
カナタの剣が一閃。ストーンゴブリンを撃破した。
「なんだったんだこれは」
「ウインドウがまだ表示されてるね。次に表示されてるのは、広告会社の宣伝みたい」
「”広告魔法を使って、戦闘中に人間とモンスターの両方に広告を見せることができます。異世界広告株式会社”だと?」
唖然とするカナタ。
「広告効果はあるのかな?」
「割とやり方がアホっぽいから、広まらない気がするな」
原理がわからないが、戦闘中にいきなりこういう広告が出るかもしれない、ということはわかった。
「”プレミアムユーザーの方へは広告を表示させないこともできます”だって」
「見せられる俺たちは契約してねえのに、何がプレミアムだ」
怒りが湧いてくるカナタであった。




