↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
なんなんだこの異世界は、常識ないんか  作者: 嵐山ノキ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
31/41

31.問題の宿に宿泊だ!

「はいどうも皆さんこんにちは、カナタです。今日は幽霊が出るという噂の部屋に泊まってみます。それでは張り切って参りましょう」


「誰に言ってるのよ」


 宿の廊下から動画撮影風に始めてはみたが、周囲の反応は悪い。

 

「とりあえず俺がこの部屋で一晩過ごす。一応、寝ないつもりではいる」


「で、あたしは隣の部屋にいるわけね」


「いろいろあって疲れただろうし、寝てもいいぞ。しっかり休んでくれ」


 急に気遣う素振りを見せたカナタに、リナは少し驚いた。

 

「うん……疲れてるのはカナタもだし、幽霊に襲われるかもって心配だよ」


「大丈夫大丈夫。確認するだけだから。ただ、おかしな物音がしたのに気づいたら、こっちの部屋に来てくれ」


「わかったよ」


 廊下でリナが隣の部屋に入ったのを確認し、カナタは自分に割り当てられた部屋へ戻った。


「21時か……そろそろ出てもおかしくはないかな。時間までは決まっていなかったと思うが」


 カナタはベッドに腰掛け、雑誌を読み始めた。”週刊異世界女性芸能セブンマックスレッド”だ。宿の受付のマガジンラックにあったのを持ってきたのだ。


「統合を繰り返した企業みたいなタイトルだな」


 パラパラとページをめくり、気になる見出しの記事を読むことにする。


「”次期参謀長の息子のイケない趣味”?……誰だよこいつ。飛ばそう。次は”美人モンスター総選挙、カエルウーマン4連覇なるか”?……どういう奴が支持してんだカエルを」


 ターゲット層がバラバラな雑誌を読んでいると、徐々に眠気が来た。


「ん?」


 背後に、気配を感じた。衣擦れの音はない。ただ、部屋にじめりとした空気が漂う。


「……」 

 

 後ろをゆっくりと振り向く。


 いない。あるのは白い壁だけだ。


「ふう」


 カナタが前に向き直る。


 黒い髪の女が、カナタの持つ雑誌を覗き込んでいた。

 

「うわああっ!!!」


 慌てて雑誌を放り投げてしまう。


 女の幽霊が、カナタの方に向かってくるのかと思った。カナタは慌てて壁に立てかけておいた剣をとろうと、ジリジリ移動する。


 しかし黒髪の女は、なぜか雑誌の方を見ていた。それからカナタの方へ向き直る。


「え……」 

 

 なぜか悲しそうな顔をした女は、そのまま壁の方へ浮いたまま動いていく。


「ま、待ってくれ、聞きたいことが……」

 

「カナタ、大丈夫!?」 


 扉が大きな音を立てて開き、リナと宿の主人が入ってくる。


「……!」


 リナは驚きその場で硬直する。逆に主人の方は前に出てきた。


「今ですっ! その剣でぶった切っちゃって下さい」


「いや、あ、はい、でも」


 カナタが判断を迷っているうちに、女の幽霊は壁の向こうへ消えてしまった。

 

「消えた……あっちは、隣の部屋か?」


「ううん、宿の外だよ」


「何だろうな、消えるならわざわざ移動しなくてもこの場で消えても良さそうなもんだが」


「宿のご主人にびびって逃げようとしたのかも」


 軽口を叩くカナタとリナ。だが宿の主人の目には怒りが宿っていた。


「倒してくれることを期待したのですが、なぜ切ってくれなかったのですか。そのための依頼ですよ」


「しかし、危害を加えられたわけでもないので……相手の目的がわかれば解決法も考えられるかもと」


「そんなことでは依頼料は考え直させてもらいますぞ」


「……わかりました。あと、僕には幽霊の目的がわかった気がします。そして、真相も」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。