3.異世界の行動だ!
「でさ」
しばらく走ったのち、疲れたために歩きに変えていた。リナが口を開いた。
「カナタは異世界に来ちゃったけど、これからどうするの?」
「いい質問だな」
カナタは腕を組む。
「俺が調べたところでは、異世界に来た人の行動は大きく3つに分類される」
「それは、どうやって調べたの?」
「体感と偏見だ」
「信用できないけど」
気にせずカナタは続ける。
「1つ。強くなって世界を救おうとする」
「王道だね」
「2つ。元の世界に帰ろうとする」
「現実的」
「3つ。異世界でやりたいことをやって、日常を送り始める」
「スローライフ系ってことね」
リナは頷いた。
「なるほど。私は2番かな。帰れるなら帰りたいし」
「まあ普通はそうだろうな」
「で、あんたは?」
カナタは少しだけ間を置いてから言った。
「俺はどれでもない」
「え?」
「4番だ」
「どうして後から新たな選択肢を持ち出すのですか。それはアンフェアというのではないですか」
リナは口調まで変わっている。怒っているようだ。
「えーと、あの、4番は異世界に復讐する、です」
とりあえず丁寧に言う。
「え、何があったの」
意外な回答に、思わず一歩引くリナ。
カナタは遠くを見る目をした。
「俺はな……異世界の食べ物を食べて」
「うん」
「お腹を壊した」
「馬鹿じゃないの?」
リナのツッコミが草原に響く。
「世界全体を恨んでるのもおかしいでしょ」
指摘に対してカナタは大仰にかぶりを振る。
「いや、あれは許されない。まず、俺が異世界に来たのは昨日なんだ」
「うん。そう言ってたね」
「ちょうどそう、あの辺りに俺は現われた。しかし困った。異世界転移したのはいいが、腹が減っている」
カナタは川の近くを指さした。
「切実だよね」
「そこに地獄に仏、異世界に行商人だ」
よくわからないことわざを口にする。
「歩いていた行商人に頼み込んで、異世界まんじゅうをもらったんだ」
「すんごい名前」
「ありがたいことに、ただでくれたんだ。そしてその中身がな」
「うん」
「何かわからなかった」
「……」
「しかも妙に甘いのに後味が辛い」
「それは本来の味なのかなぁ」
「ただでくれたという事実とこの味を総合すると、異世界許さねえという結論になる」
リナは頭が痛くなってきた。
「それは単なる食あたりでしょ」
「そんなことはない」
カナタは首を横に振る。
「これは、異世界の意思だ。敵意がある」
「ないよそんなの」
リナの言うことに耳を貸そうともしない。頑なだ。
「……で?」
リナが冷静に言った。
「具体的に何するの」
「とりあえず、何か食べに行こうか」
カナタは真顔で言った。
「ナンパされてるみたい……まあいいけど、今度はまともなのを食べれるといいね」
そして、二人は街へ向かって歩き出した。




