27.幽霊退治の依頼だ!
「ほんとだ、どれも同じだね。”幽霊退治”だって」
「まずはこれだ。”屋敷に幽霊が出るから倒してほしい”だって」
カナタが1枚の依頼書を指さして言う。
「お屋敷かあ……ゴシックホラーな感じでいいかも……」
少し笑みを浮かべるリナである。
「憧憬よりも重要なのは倒せるかどうかだが」
「この依頼者は屋敷の持ち主なの?」
そう言われてカナタは詳細を確認する。
「いや、持ち主じゃなくて、遠縁の親戚たち5人だって」
「……じゃあ幽霊って、屋敷の主が化けて出てたりしない?」
「親戚が乗っ取ろうとして?」
「まさか、それを阻止しに化けて……?」
「倒していいのかな。なんだこの依頼者」
「私たち、悪役側の依頼を受けることにならない?」
会話を続けるほどに疑念が深まっていく。
「いったん保留。次のこっちは……」
リナが2枚目を指さした。
「これも幽霊退治の依頼だよね。ええと、どこに幽霊が出るんだろう」
「えーと、洞窟だな」
リナは意外そうな顔をする。
「珍しいね。洞窟に幽霊って。それを倒すんだね」
「依頼主がモンスター一同で、”倒した冒険者の幽霊が洞窟内で暴れ回ってるから助けて”だって」
「それを人間たちに期待するんだ……」
「なんか情けないが……次の依頼を見てみようか」
カナタは3枚目の依頼書に目を通す。
「これも幽霊退治の依頼なんだよな。なんで多いのだろうか」
「依頼にも流行り廃りがあるとか? 今は夏だし」
「夏だっけ? まあいいや。なんだ、依頼者はそこの宿屋だぞ。月影亭だ」
「月影亭!? あたし泊まったことあるよ!」
リナは急に何かを思い出したのか、ブルブルと震え始めた。
そして自分の身体を抱くように手を回し、そのままうずくまる。
「大丈夫か?」
「あ、あたしが泊まったときに、確かに夜、変なのが出たよ……」
「マジ?」
顔色が悪い。カナタは背中をポンポンと叩く。
ギルドの店員も心配そうな視線を向けている。
「出たんだよ。甲冑の騎士。夜中にいつの間にか部屋のドアが開いてて、そこに立ってた」
「怖いな……」
ふらつきながらリナは立ち上がる。
「そいつを倒さなきゃならないって依頼なんだよね?」
「依頼の内容は、えーと、”黒髪の女の幽霊が出るから倒してほしい”だって」
「甲冑はどこ行ったの!?」
リナは叫んでそのまま倒れそうになり、カナタがそれを支えた。
「多分、入れ替え制なのか曜日の担当があるのか……」
適当なフォローを入れようとするカナタをリナは厳しい目でにらむ。
「で、どうするのよ。どの依頼を受ける?」
「うーん、どうしようかな」
カナタはしばし考え、やがて1枚の依頼書を指さした。




