25.任務終了だ!
「着いた……デブレイの街だ」
「長かったね……」
ドラゴンを倒し、森を抜けてへとへとのリナとカナタだ。
すでに夜になっていた。空腹ではあるが疲れと安堵感でカナタは少し眠くなっている。
街の入り口で、タイスマリーを護衛する依頼は完了ということになる。
「送り届けていただいてありがとうございました。こちらが謝礼です」
「あ、こちらこそ、助けてもらって」
タイスマリーが袋に入った謝礼を渡してくる。カナタは一瞬受け取っていいものか逡巡したが、そのまま受け取ることにした。
「改めて、タイスマリーさんの魔法がなかったらドラゴンにやられていました……実は歴戦の勇士だったりしませんか?」
「いえいえ、私なんて大したことありませんよ」
「あれだけ強かったら、護衛もいらなかったんじゃ……ドラゴンは予想外だったとはいえ」
リナも疑問を口にする。
「やっぱりもう、自分でモンスターを倒すのも面倒くさくって。皆さんが倒してくれたおかげで楽でした」
「はあ……」
道中のモンスター退治はカナタとリナがすべて引き受けていた。
そのおかげで、ドラゴンを倒した時点でカナタがレベル6,リナが7へと上昇していた。
「お二人とも、きっと強くなれますよ。帰りの道も気を付けてくださいね」
そう言って歩き出したタイスマリーが、ふと足を止めた。
振り返らずに、小さく呟く。
「……あのドラゴン、私一人では倒せませんでした。あなたたちなら、もしかしたら……」
「え?」
カナタとリナが顔を見合わせる。
「ふふ。次からはもっと上のランクの依頼もできそうですね」
それだけ言うと、今度こそ彼女は去っていった。すっすっと歩いていく。どこかあてがありそうな歩き方だ。
「そういえば、エルフの村へ帰るって言ってたね」
「今からまだ移動するってことか? 体力あるな……」
「私たちも休もうよ。宿屋がいくつかあるみたいだし」
二人は歩きながら今晩の宿を見繕う。
「こっちの宿屋に泊まる?」
「待ってくれ。宿ガイドブックで確認する」
「そんなのあるの?」
カナタが雑誌のような本をカバンから出した。
そして宿の名前を確認しながらページをめくっていく。
「おっ、星5つだ。ここにするか」
「いいじゃん、レビューにはなんて書いてあるの?」
「えーと、”鍵が壊れてるし、隠れるところも多く冒険者たちのアイテムを盗みやすいのがいい”だって」
「盗賊向けのレビューじゃん! だめだよここ!」
リナが怒り出す。
「おかしいな」
カナタは本を読みながら別の宿の前まで来た。
「ここの宿屋にするの?」
「……ここはダメだ。評判が悪い。星1つだし」
「なんで?」
「”洞窟のすぐ近くにあるので、やたらと体力満タンになった冒険者が来る。移転してほしい”だって」
「……そのレビュー書いてるの、モンスターじゃないの?」
結局、ここに泊まった。




