24.火山弾の一撃だ!
「岩を落とします」
タイスマリーの魔法。次の瞬間、空中に出現した岩が雪崩のようにドラゴン目掛けて降り注いだ。
グオオオオオッ!
尻尾を岩が押し潰した。
咆吼と共に火炎が岩を包む。岩を溶かし、巨大な塊が赤く染め上げられた。そして、溶けた。
「なるほど」
カナタの目が鋭く光る。ゾーンに入ったのだろうか、なぜか戦況を俯瞰してみられる。
「これだこれだ……!」
成すべきことが見えた。カナタは再び、先ほどの大岩の上へ飛び乗った。
タイスマリーの魔法は続いている。大小の岩が上空から出現し、ドラゴンに向かって降り注ぐ。
カナタはタイミングを計っていた。
ドラゴンの炎が1つの岩を直撃し、包み込んだと思うとドロドロに溶かしていく。
「行くぞ……!」
大岩の頂上からカナタは飛んだ。空中で身体をひねり、剣を構える。
そして溶岩となった岩の上に乗る。
そのまま、ドラゴンの上に身体もろとも落下していく。
「燃えさかる火山弾!!」
カナタはそのまま、溶岩の勢いを乗せて突っ込んだ。
再びカナタの行動が理解できないドラゴンが一瞬硬直し、避けられなくなった。
ドラゴンの首元に激突する。溶岩がドラゴンの鱗をただれさせる。
その瞬間を待っていたカナタは剣を突き出す。むき出しになった皮膚を剣が貫いた。
裂けた皮膚から吐く寸前の炎が逆流し、内部から弾ける。
一瞬の静寂。そして次の瞬間、爆発が起こった。
轟音と共に、ドラゴンの巨体が崩れ落ちていく。
カナタは地面に降りて息を吐いた。
「やった。うまくいった……」
現実感が乏しい。頭の中はすっきりしているが、体験型アトラクションを終えた直後のような気分でもあった。
背後から、タイスマリーが駆け寄る。
「カナタさん、お見事でした。炎で溶け始めた岩の上に飛び乗るなんて。意味がわからなくて、何をしているのかなこの人と思いました」
表現がおかしいが、称えてくれているようだ。
「いえ、タイスマリーさんこそ、たくさんの岩を空中から落とすなんてすごい魔法じゃないですか。もっと早く使ってくれてれば楽だったのに」
「それだと護衛を雇う意味がありませんし。面倒だったもので」
どこまでが本気かわからないが、結果的に助かった。
「ドラゴンを、倒したの……? カナタとタイスマリーさんが……?」
呆然と佇むリナ。
「あ、火を消さなきゃ」
気づいて、水魔法でまだ地面に残っている火を消していく。
幸いなことに炎はドラゴンの周辺からさほど広がっていなかった。
「さあ、森の出口だ。早くこの依頼を終わらせよう」




