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なんなんだこの異世界は、常識ないんか  作者: 嵐山ノキ


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23/44

23.ドラゴンとの戦いだ!

「ど、どうする」


「こっちを見てるよ……」


 ドラゴンの光る眼がカナタたちの方を捉えている。


 なぜこの森にドラゴンがいるのかわからない。依頼のランクはFだったはずだ。


「依頼はタイスマリーさんを街まで送り届けることだ……ドラゴンを倒すことじゃない」


「う、うん、でも……」


 逃げるか戦うか、選択を迫られる。カナタが何かを口にしようとしたその時。


 草を焼き払う火炎がドラゴンの口から放たれた。


「こりゃまずいな」


 わかっていることを口に出してしまった。


「いったん逃げますか?」


 そう聞いてきたタイスマリーの顔にもさすがに緊張感がある。


「それも選択肢の……」


 カナタが答える前に、ドラゴンが火炎を彼らの後方に放った。退路にしようと思った道に炎が広がる。

 

「こいつ、森を全部焼き払う気か?」


 これで引き下がれなくなった。カナタの目が据わり始める。


「全員で攻撃して倒す、それしかないでしょう」


「……やってみましょうか」


「あたしも……やるだけやってみる」


 覚悟が決まった。カナタは剣を、リナは弓を持って戦闘開始する。タイスマリーは何やら詠唱を始めていた。


「おらっ! くそ、硬いっ」


 カナタの剣はドラゴンの鱗に弾かれた。その背後から放たれた矢も、ドラゴンの身体に当たった瞬間に黒く焦げて崩れ落ちた。


「防御力がかなり高いようですね……! こちらの物理攻撃はほとんど通じないでしょう」


 タイスマリーの声が飛ぶ。


 その直後にドラゴンの口が大きく開いた。熱エネルギーが高まっているのがわかる。


「来るぞ!」


 轟音と共に、炎が一直線に吐き出される。


 カナタは咄嗟に近くの大岩の陰へ飛び込んだ。


「なっ……!」


 岩が溶けていた。表面から赤く染まり、それが広がっていく。ドロドロに溶けていく岩は粘り気を帯び、形を失いつつある。


「なんなのこれ……」

 

 少し離れていたリナだが、その場に座り込んでしまう。

 

 あまりの攻撃力の差。絶望しかけたその瞬間、カナタの脳裏に閃きが走った。


「これは、岩が溶けて……」


 カナタは一歩、溶けた岩へ踏み出した。じゅっと音がしたが、熱は感じない。足も燃えていない。


 溶岩の上を歩けるスキルが発動したのだ。溶けた岩は流れとなり、地面に広がっていく。


 次の狙いを探していたドラゴンの動きが止まる。


 溶けた岩の上を歩きながら迫ってくるカナタの行動が理解できないようだった。


「これぞ溶岩の道だ!」

 

 カナタにははっきりと道が見えていた。溶けた岩はドラゴンの方へ向かって流れている。

 

 そしてカナタは新たな岩の上によじ登る。何が起きているのか把握したドラゴンが炎を吐こうと息を吸い込む。


 しかし、その前にカナタが跳躍した。


「うおおおおっ!」


 剣を握ったまま飛び上がる。狙いは一点だった。


「くそったれ異世界め、思い知れ」


 刃がドラゴンの片目に突き刺さった。鈍い感触が手に伝わる。


 ウオオオオオオンッ!


 怒りの咆哮が森を震わせた。カナタは剣を抜き、慌てて離れる。


「すごい……異世界に復讐したいと言ってたのを、ドラゴンにやるなんて」

 

 異世界まんじゅうで腹を壊した恨みがこもった。カナタの意外な行動に、リナは感嘆の声を上げる。


 ドラゴンは狂ったように暴れ、炎を乱射する。無差別な焼き尽くしが始まった。


「隙ができましたね。皆さん下がってください」


 タイスマリーが両手を掲げる。魔力の高まりが外から見ていてもわかる。


 空間が歪み、上空に無数の岩が出現した。

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