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なんなんだこの異世界は、常識ないんか  作者: 嵐山ノキ


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21.森の中だ!

「森に来てから結構戦ったな」


「レベルもちょっと上がったね」


 カナタはレベル4に、リナはレベル5になっていた。


 それぞれの持つメインスキルも2に上がり、カナタは剣技、リナは弓技のサブスキルも習得していた。


「サブスキルは勝手に覚えていくのかな」


「わかんない」


 スキル精霊に聞いておけばよかったと思う二人だが、助け船が入る。


「武器を持つことによってその武器のサブスキルは自動で習得できますよ。スキルの個数に制限はありますが」


 そう言ったのは護衛対象のエルフ、タイスマリーだった。


「そうなんですね。タイスマリーさん、詳しいですね」


「ふふ、昔ちょっとだけかじってたもので」


 歩きながらエルフに説明を受ける二人。やがて目の前に池が広がった。


「森の中の水辺ってことか」


「どこかから水が流れ込んでいるのかもね」


 根を張る木々の間にある小さな池。そのほとりには小さな青い花が咲いている。


 腕を持たない、小さな足だけのトカゲが水を飲んでいた。

 

 それを見て、一同はしばし戦闘を忘れて休憩に入る。


「はいタイスマリーさん、コーヒーです。カナタもどうぞ」


 水筒に入った飲み物を振る舞うリナ。


「ありがとうございます」


 受け取るタイスマリー。一方、カナタはバッタに噛まれていた。


「おいしいですね」

 

「私のスキルで水を出せるようになったんですよ」

 

「うおっ、なんだこいつっ」


 腕を噛まれて懸命に手で払いのけようとするカナタ。お茶の時間を楽しむ女性陣を恨めしそうな目で見る。

 

「あまりに自然に襲われてるから、流しそうだったよ」


「くそっ、でかいバッタモンスターだ、こんなのもいるのか」


 休むために座って剣を置いたところを襲ってくるという、鬼畜のような所業である。


 人の背丈の半分ほどもある巨大なバッタ型モンスター。


 その身体にはうっすらと毛が生え、牙が顔から大きく突き出している。

 

「うわっ!」


 これ以上噛まれまいと後ろに体重をかけ、バランスを崩したカナタがバッタもろとも池に落下する。


 そこまで深くはなかったが、全身がぐしょ濡れだ。

 

 カナタが池から上がってくる。一緒に落ちたバッタ型モンスターは水中で呼吸ができずそのまま絶命し、水面に浮かんできた。

 

「おお、倒してた」


「カナタが池のほとりで待ってて、虫型モンスターが現われたら一緒に落ちたらいいよ」


「毎回楽に倒せますね」


 リナの軽口にタイスマリーまでも同調する。


「いや、意外といけるかも……」

 

「えっ!? やるの?」


 やる気を出すカナタに戸惑うリナ。

 

「そうだ、この池にさ、毒を流しておいたら水を飲みに来たモンスターをまとめて倒せるんじゃないか?」


「え、何この人、普通に怖いんだけど」


「こんな方に護衛されていたなんて、恥ずかしいです」


 女性陣が一歩引く。


(あ、やりすぎた)


 カナタが内心で反省していると――


 ふいに、風が止んだ。


 先ほどまで聞こえていた水音や、遠くの鳥の声も消える。


「……ねえ、今の」


 リナが小さく呟く。


 タイスマリーも、わずかに表情を引き締めていた。


 森の奥――いや、出口の方角から。


 重く、低い何かの気配が、ゆっくりとこちらへ流れてきていた。


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