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なんなんだこの異世界は、常識ないんか  作者: 嵐山ノキ


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20/44

20.森に突入だ!

 カナタたち三人は草原を越え、いよいよ森へと足を踏み入れた。


 空気が一段、ひんやりとする。


 鳥の声は聞こえるが、どこか遠い。まるで森の奥に吸い込まれているようだった。


 日の光は木々に遮られ、地面にはまだらに影が落ちている。つまりなかなか暗いところがある。


「森のモンスターは、さっきのネズミより強いのかな?」


「たいしたことなければいいよね」


「うわあ、石につまずいて足を捻った!」


 カナタがいきなり体勢を崩し、その場にしゃがみ込む。


「気をつけてよ!」


 リナが駆け寄ろうとするが、カナタは手で制した。


「これぐらい大丈夫……うわっ! 今度は蜂に刺された! 痛え!」


「森の脅威、地味に多いですね……」


 タイスマリーが少し引き気味に呟く。


「くっそー、思ったより手強い森だぞ。気をつけろ」


「本筋と違うところでダメージ受けないでよ」


 リナは呆れ顔でため息をついた。


 軽く腫れた手を気にしながら、カナタが先頭を歩く。


 後ろをリナ。間に護衛対象のタイスマリーが入る隊列だ。


「あっ、そこの木の根元にスライムがいるよ!」


 カナタが足を踏み出そうとした先、木の根と見分けがつかない茶色の塊が、ぬるりと動いた。


「名前は根這いスライムだよ!」


「情報は今度でいい!」


 スライムはゆっくりと、しかし確実にカナタの足へと伸びてくる。


「うわあっ」


 反射的にブーツで踏みつけた。


 ぐじゅり、と嫌な感触。続けて、グジョゴジュボジョモオンという妙に長い音が響く。


 スライムは体を震わせるようにして、光となって消えた。


「1回しか踏んでないのに、ずいぶん長い音がしたな」


「表面にいくつもプチプチみたいなのがあって、全部潰したとか」


「そうなのかな? あまりすっきりしなかったな」


 微妙な空気のまま、次の気配が現れる。


 視界の端で、何かが揺れた。


 立ち上がったのは巨大なキノコだ。


 傘の下に不気味な口を開け、カナタへと飛びかかってくる。


「キノコ型モンスターだ! 毒や胞子に気をつけろ!」

 

「こいつ前に見たことある! 大気中の電気を集めて雷攻撃してくるよ!」


「うわっ! なんでキノコが電撃!?」


 1分後。


「ふー、なんとか倒したね」


「あっ、今度はイノシシ型モンスターが来たぞ! 体当たりに気をつけろ!」


「こいつは口から凍った息を吐いてくるよ!」


「もっと特徴を活かせよ……」


 突進してくるイノシシの口元から、白い冷気が噴き出していた。


 森に棲んでいるイノシシがなぜ氷のブレスを吐くのか、全くわからない。


 立て続けに見た目と能力が合っていないモンスターを見て、カナタの認知が追いつかない。

 

 それでも再び剣を構えた。


 森の奥は、まだ見えない。何かがおかしい。

 

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