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なんなんだこの異世界は、常識ないんか  作者: 嵐山ノキ


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19/41

19.初勝利だ!

 エルフのタイスマリーから護衛の依頼を受け、カナタたちは朝から出発する。


 目的地はデブレイの街。草原を抜け、問題の森を越えてようやく辿り着く。


「よろしくお願いしますね。草原はあまりモンスターも強くないはずですので」


 タイスマリーが改めて丁寧に頭を下げた。


「そう願います。なにせ我々レベルが低いもので、げへへ」


「なんで急に下っ端みたいな笑い方になるのよ」


 すかさずリナのツッコミが飛ぶ。


「いやほら、こう……低姿勢アピールというか」


「誰に向けて?」


「モンスターに?」


「効くわけないでしょ」


 軽口を交わす二人を見て、タイスマリーはくすりと笑った。少しずつ空気が柔らいでいる。


 今回の行程は、今日中に目的地へ到着して現地で一泊。翌日に帰還する予定だ。


 だが問題は、その途中にある森だった。


 無事では抜けられない。そんな話を、ギルドで何度か耳にしている。


「いやあ、いよいよモンスター出てくるんだろうな。緊張するな」


 そう言いつつも、カナタの声にはどこか楽しげな色が混じっていた。


「楽しそうに言うなあ……」


 リナは呆れつつも、弓を構え直す。視線は常に周囲へ向けている。


「剣を使うんだね。あたしは弓で援護するよ」


「メインスキルのレベルが上がるまでは、剣でやるしかないからな」


「早く水で攻撃できるようになりたいなあ」


「俺が前に言った、洗面器使えばいいじゃん」


「溺死狙いはしないって」


 そんなやり取りをしていると、ガサリと草が揺れた。


「来た!」


 現れたのは、灰色の毛に覆われた大型の鼠。しかも二匹。


「うわっ、でかい灰色の鼠だ」


「灰色ネズミね!」


 リナは迷わず弓を引き絞る。


 ヒュン、と風を切る音とともに放たれた矢は、正確に一匹の背へ突き刺さった。


「よしっ!」


 ネズミはそのまま地面に転がり、光となって消える。


「もう一匹はそっち!」


「うお、おおおっ!」


 カナタは反射的に剣を振る。


 ちょうど飛びかかってきたネズミの腹に刃が食い込み、そのまま斬り裂いた。


 感触が手に伝わる。遅れてネズミの体が崩れ、同じように光となって消えた。


「……倒した」


 カナタはしばらくその場に立ち尽くす。


「初勝利だ」


「おめでとうございます」


 タイスマリーが小さく拍手を送る。


「いや、なんか……思ったよりいけたな」


「意外となんとかなるよね」


 リナも同意してくる。視線の先には森の影があった。


 木々が密集しており、奥は暗そうだ。


「この調子なら、森のモンスターも倒せるんじゃないか?」


「えー……」


 カナタの楽観に対し、リナはあからさまに顔をしかめた。


「ステージが切り替わったらモンスターも違うのが出てくるもんでしょ」


「そうだよな。森の外から行くか?」


 カナタがチラリとタイスマリーの方を見ると、地獄のように険しい顔をしている。何がそんなに気に入らなかったのだろうか。


「よし、頑張って森を抜けよう」

 

 怖いので振り向かずに進み始めた。

読んでいただきありがとうございます。面白かったらブクマや評価をいただけると嬉しいです。以降は毎日、夜に更新予定です。

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