14.リナのスキルだ!
スキル精霊にスキルを授けられ、リナは早速それを使ってみることにした。
「いいんですか? ここでいきなりスキルを使ってみても」
精霊に尋ねる。カナタたちの他に来訪客はいないタイミングだ。
やるとしたら今しかない。
「構いませんよ。この部屋は魔力で結界を張ってあります。少しぐらいスキルを使っても壊れません」
「なんかここの壁焦げてるけど」
「こっちには無数に剣で切った跡があるね」
カナタとリナがそれぞれ壁を指さす。
「いきなり炎を吹いたり乱れ切りをかましたりする迷惑な冒険者がいたので、それを教訓に結界を張ったのです」
「な、なるほど」
精霊はピクリとも笑わずに続ける。
「ちなみに今言った二人からはスキルを取り上げて、両方の鼻の穴が詰まるスキルと、夜中に何度もトイレに起きるスキルに変えておきました」
「それはスキルというか、呪いなのでは」
「さて、次の予約まであと20分ほどですから、スキルの練習をするならば急いで下さいね」
精霊は突っ込みを受け流し、二人を促す。
「リナ、スキルを試してみてくれ……あれ?」
少し姿を消していたリナだが、家の奥の方から何かを持って現われた。
「精霊さんごめんなさい。私のスキルで水を出して、それを湧かしていたんです」
お盆に三人分のティーカップを乗せていた。
「それで紅茶を入れてみたの。ティーパック使っちゃいました。10G置いときますので」
「まあ、いいでしょう」
精霊はうなずく。寛大だ。カナタもちょうど喉が渇いていたところで、お茶は歓迎だ。
「おお、いいな」
「どこでもティータイムが楽しめるよ」
リナのスキルはこういう風にも使える。納得するカナタだが、ふと思った。
「……ところで俺のスキル、ここで何すればいいんだ?」
「あ、ごめん! お湯を沸かしている間にコンロの火を踏んでもらえばよかったね」
「溶岩じゃないから熱いだけだろ!」
くすくす笑うリナ。精霊は二人を微笑ましそうに見ていた。
「では、いただきます」
精霊が言い、三人はカップに口を付ける。
「ふむ、これは……」
「割と、美味しい、かな」
遠慮がちに精霊とリナは目を合わせる。
「なんだよこれ!」
カナタが叫び、リナはビクッとする。
「これ硬水じゃん! 俺は紅茶には軟水って決めてるんだよ!」
「うーん、こだわりが面倒くさい人だったか」
「硬水はミネラルが多いんだが、渋みが出やすくて香りも立ちにくいという特徴があって」
「はいはい」
流すように紅茶を飲み続けるリナ。精霊はすでに飲み終えている。
「英国紳士を舐めるなよ」
「あんたのどこが英国なのよ。もういい。飲みたくないならいらないってことね」
リナがカナタのカップを取り上げ、台所へ持って行こうとする。
「わーん、ごめんよー! 飲むよー!」
「……二人はどういう関係なのですか?」
「昨日会ったばかりですよ」
「そうだよね」
きょとんとするカナタとリナを見て、精霊は苦笑するのだった。




