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『竜の子』 〜冒険者に憧れるおっさん全裸で異世界に転移する〜  作者: スメコ


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第7話

 

 首都、宿屋の一階。


 勇者たちが集まっている。


「貸切にしてあるから心配いらないよ」

 リオン。


「何だかずいぶん久しぶりな気がするわね」

 とセリーン。


「ほんとね。ガルドはまだなのね。リズ、会いたかった」

 アリア。

 微笑み頷くリズ。


「僕らはずっとここに居たからね。村に帰ったのは三日だけ」


「それで、ベルクハイムが魔物の襲撃を受けて大変らしいんだ。彼は来られないと思う」

 リオンが続ける。


「そうよ。いったいどうなっているのかしら。騎士団との連絡も途絶えたらしいわ」

 セリーンがため息をつく。


「私も何度か魔物に遭遇したわ。数は少なかったけど。それで時間がかかっちゃって。ごめんなさい」

 アリア。


「いや、ぜんぜん構わないよ!」

 リオン。


「親も何でまた戻るんだって。うるさくて......」


 結局、王都に着いたのは手紙を受け取って二週間後だった。

 魔竜討伐帰還から二月ほど経っていた。


「リオン、その腕!」

 アリアが驚く。


「どうだい。凄いだろう。セリーンが作ってくれたんだ」と

 アリアの前でパラパラと指を動かす。


 手首までしか見えないが、見たことのない素材が鱗のように細かく重なっている。


「剣も握れる。前より強くなった!鉄の塊も握り潰せるんだ!びっくりするよ」


 セリーンが誇らしげな顔だ。


「さあ、本題に入ろうか」


「僕たち三人は何度か会って話してるから、アリアに」


 リズが画板のようなものを取り出し、その上に砂を撒いた。

 そして、自分が調べたことを文字にしていく。


 守護竜と少女、ミツハ。

 勇者召喚。

 魔王、魔族。西の彼方へ。

 そして魔竜。


 アリアも家にあった首飾り、教会での少女と竜の像を話す。


「!」


「どうやらリズの見つけたミツハとアリアの見つけた像は同一人物だね。」


「そして私によく似ている......」


 一同、目を見合わす。


「私も書庫で見つけたわ。正確には書庫の中の隠し部屋。鍵を盗んで開けてやったわ」

 また誇らしげな顔をするセリーン。


「なんと、禁術書だらけなのよ。その部屋!びっくりしたのなんのって。いくつか憶えちゃった(ほんとは全部憶えた)」


(使いたくてたまらないって顔ね......)

 アリアとリズが目配せをする。


「ごめん脱線しちゃった。その中で見つけたの。すごく古い本で、2,000年以上前のものだった」

 セリーンが続ける。


「大昔、召喚魔法と呼ばれる魔法があって。それは封じ込めた魔物なんかを呼び出す魔法だったみたい。」


「それでその、勇者召喚なんだけど、魔石と呼ばれる石に魔法使いたちが魔力を込めて、私たちのとは違う他の世界から人を呼び寄せる、ってことをしていたみたいなの」


「それが少女と竜.....?」

 アリアが口を挟む。


「それでね、二千年前に使われたのが最後で、それ以降は禁じられたみたいなのよね」


(二千年前の魔王との戦い)

 リズが砂に書く。


「僕の番だね」

 リオンが口を開く。


「僕はあの時手放した聖剣について調べてみたんだ」

 少し寂しそうな声だ。アリアはそう感じた。


 それはヴァルディア城、城門から堀を渡った目の前、地表から隆起した大きな岩に深く突き刺さっていた。


 いつしか聖剣と呼ばれるようになり、観光名所となって何万、何十万人が引き抜こうと挑戦した。


 それを弱冠16歳の青年、リオンが引き抜いたのだ。


 すでに剣士としてその名を轟かせていたリオンのニュースに、勇者誕生だと世界中が沸いた。


 それから10年後、今回の魔竜討伐遠征はヴァルディア建国500年に合わせた催しでもあった。


「それで幾つかわかったことがある...。聖剣は二千年前にあの岩に突き刺さったものであること。そして、その素材はこの世界にないこと。今の人間の技術では作れない。それに......」


 一呼吸置いてリオンが話す。


「使っていくうちに感じるようになったんだけど、聖剣には魔力が宿っていた。今まで感じたことのない、人間でもエルフのでもない魔力。色で言うと......」


「黒。それは魔竜山脈に近づくほど強く濃くなっていたんだ......」


「魔竜と対峙した時にわかったのだけど、その魔力は魔竜のものでもなかった」


(魔竜のは青かった。ミスリルのよう)

 リズが書く。


 皆がアリアの顔を見る。


「そう......私の中にある......」


『青い魔力......』

 皆が口を揃えた。


 皆も感じ取っていた。

 アリアから発せられる二つの魔力を。


「最初に気付いたのは村に帰る時、馬車の中で。ほんの砂粒ぐらいだったの。今ではりんごぐらいの大きさかしら......もうすぐ隠しきれなくなる......」


「そうだね。今はまだ僕たちみたいに高度に魔力を操れる者にしかわからないと思う。それもこれだけ近づいてやっとだ」


(触っていい?)

 リズが書く。


「うん。お願い」


(立って)


 アリアは立ち上がり、リズの側に。


 リズが目を閉じ、ゆっくりと両手を広げる。


 静かな風がアリアの腹部の周りを回り出す。

 柔らかで、優しい。




(わっ!)

 声にならない声、リズが手を引っ込める。


(竜が いる)


 砂に文字が浮かぶ......


挿絵(By みてみん)



 第8話に続く。

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