第41話
二百名もの部隊を全滅させた。
兵士ではない、学者もいた。
判断の誤り。
決断の誤り。
長たる責任は取らなければならない。
あの時、すぐに引き返せばレイバーン襲撃も防げたのかも知れない。
......誇りを持って生きてきた。
悔いはない。
ただ、心配なのは家族だ。
苦労をかけてしまう。
自分のせいで、家族は王都を追われることとなった。
本当に申し訳ない。
だが、騎士団長として。
最後は堂々と締めくくろう。
リオンと話せて良かった。
少しでも、自分の辿った道を伝えることができた。
テン。
お前との日々は楽しかった。
生まれて初めて、他人と心を通わせた気がする。
お前の強さも誇らしかった。
お父さん、お母さん。
立派に最後まで、騎士団長として、剣士として往きます。
ありがとうございました。
そして、ごめんなさい......
レイシアは処刑台の階段を一歩、一歩と登る。
背筋を立て、心を凛と保つ。
多くの見物人がいる。
皆、怒りの目で私を見ている。
――レイシアの頭に縄が通された。
あぁ、お別れか......
もっと生きたかった。
――もっと世界を、知りたかった......
――不吉な音。
鐘が鳴り響く。
続いて法螺貝が空気を震わせる。
「魔物襲来!魔物襲来ー!」
レイバーン襲撃からわずか3日。
再びこの音を聴かされた民衆は静まり返る。
絶望。
処刑台を見下ろす王までもが、絶望する。
――レイシアを処刑したところで、戦える者を一人減らすだけだ。
隣に座るローヴェン、思わず立ち上がり王に背を向け
た。
数歩行ったところで立ち止まる。
――しまった。
私としたことが王を差し置いて......
振り返ると王と目が合った。
無情に響き渡る音に、やがて正気を取り戻す人々。
その正気はすぐに狂気へと変わった。
混沌。
泣き喚く者、逃げ出す者、その場に跪き祈りを捧げる者、武器を探す者。
処刑台の近くにいた者が気づく。
――レイシア様を解放しろ。
叫ぶ。
己のために。
数人が処刑台に登る。
呆気に取られている衛兵、なす術なくあっさりとレイシアを渡す。
レイシア、状況が飲み込めず、されるがままに降ろされた。
「剣を!」
我に帰り、衛兵に叫ぶ。
衛兵は自身の腰から剣を抜き、渡す。
――
しばらくして、西の城壁の上に顔を出した。
巨大な魔物。
ヴェアウルフ。
第42話に続く。
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