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『竜の子』 〜冒険者に憧れるおっさん全裸で異世界に転移する〜  作者: スメコ


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第39話

 


「うわあぁ!き、貴族......」


 オルディス家の屋敷に到着したテン。

 目を輝かせ驚いている。


 結局、すぐには衛兵詰所を出ず、一度セリーンは屋敷に戻った。

 一番大きな馬車に馬を二頭足し、四頭に引かせて戻ったのだった。


「そのうちリオンも来るわ。まずは、テン。あなたの服を作らないと......」


 使用人を呼ぶセリーン。

「この方に合う服をお願い」


 あまりの巨体に手間取りながらも、採寸を終える。


 テンは喜びの絶頂にいた。


 そこからは、レイシア救出に向け話し合いが始まる。


「遠慮しないで。食べながら話しましょ」

 セリーン。


「な......こんなの、生まれて初めてです!」


 豪華な食事に感激する、服を着たテン。

 上下に分かれた服は、急ごしらえでシンプルだが上物の生地なのだろう、とても着心地が良い。


 ひとつひとつ、丁寧に味わう。


「レイシアさんにも食べさせたかった......」


「森ではどんな食事を?」

 アリア。


「木の実や果物、川では魚を獲りました。なかなか美味しいんですよ」



 ――



 深夜。


 クレイスはオルディス家屋敷、庭園にいる。


「レイシアが処刑!?」

 報告を受けるセリーン。


「この国を救ったのよ!何てこと......」


「セリーン様、あの男とは何をお話しになられましたか」


「名前は、テン。連れて来たわ」


 ――


 セリーンの話を聞き、しばらく考え込むクレイス。



「セリーン様、策がございます」

「ただ、テン殿に合意いただけるかどうか......」


 ――


「皆に話してみるわ......今夜は皆ここにいるの」


 食事の途中、帰ってきたリオンが最大魔力で剣を抜いた時は、皆焦ったのだった......


 ―――



 翌日。

 早朝、城門の前に立てられた看板に人だかりが出来ている。


「レイシア様が処刑されるって!」

「嘘だろ!?」

「え!いつだよ!」

「明日の朝って書いてあったぞ!」

「どうしてだ!あの騎士団長だぞ!」

「何でも、今回の襲撃の責任があるらしいぜ!」


 噂は瞬く間に広がる。

 尾ひれをまとい、王都の外まで広がった。


 レイバーン襲撃で住居を失い、傷つき、愛する人を失った者。

 それぞれが抱えるやり場のない怒り。

 それがレイシアへ向かうのに、そう時間はかからなかった。


 ――


「レイシア騎士団長が処刑だと!?」

 当然、総司令官ゼルヴァンの耳にも入る。


「いつだ!」


「明朝、ヴァルディア城にて執り行われると!」


「くそ!聞きたいことが山ほどあるというのに......」


「詳しい情報を持って来い!」


 ――


 捕らえられたのが昨日。

 そしてその日のうちに軍事法廷だと......


 あまりにも雑だ。

 私抜きで、いくつもの手順を飛ばしている。


 ローヴェンか!

 行方不明のオルディス議長の代理となったか。

 レイシアと仲の良い私を敢えて外したのだな......

 くそ!

 調査団には私の部隊も参加していたのだぞ!

 話を聞かずして処刑などと!


 ゼルヴァンは拳で机を叩く。


 しかし、これで分かった。

 一昨日、司令室で見たのは間違いなくレイシアだ。


「おい!行くぞ!」

 部下を連れてレイシアに会いに行く。

 もし拒まれても、強硬突破だ。


 ―――



「何だと!」

 地下牢で怒号が飛ぶ。


「そう言われましても、私どもは聞かされておりません......」

 怒りを露わにするゼルヴァンに衛兵が応える。


「くそぅ!」

 扉を蹴る。


 ローヴェンのやつ!

 隠しやがった!


「ローヴェンの居所を調べろ!」

 部下に命じる。


 このままだと時間切れになる。

 突然現れたあの怪物とレイシア。


 あの怪物はどこに消えた......


 何であれ、我々の知らぬところで何か起こっている。

 予想だにできない事が......


挿絵(By みてみん)


 第40話に続く。

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