第36話
「ずいぶんやられたわね......」
セリーンは今にも崩れそうな屋敷の中庭にいる。
昨晩はリオンらと休み、早朝に帰っていた。
屋敷の地下に逃げていた家族は無事だった。
クレイスの家族も地下に逃げ込み全員無事だ。
ただ一人――
お祖父様を除いて......
恐らくアリア脱走の報告を受けて、北の屋敷に向かったのだろう......
オルディスの不在に少し安堵を感じたセリーン。
屋敷の外に人影を見る。
クレイス......
セリーンは馬を連れ敷地を出た。
「セリーン様......」
物陰からクレイスが呼ぶ。
「何か情報はある?」
「はい。まずはオルディス様ですが、未だ見つかっておりません」
「そう、わかった」
「今しがた、王都北門の近くで昨日のレイバーンを落とした男が連行されました」
目を見開くセリーン。
「その男の背にいたのは、騎士団長レイシアです」
「え?なんて!?」
「確かにこの目で見ました。レイシアです」
「どういうこと......」
「そのレイシアですが、城門で衛兵に捕えられました」
「騎士団長が?わけがわからないわ」
「レイシアに会って話を聞きたい......」
「それが、レイシア捕獲は副議長ローヴェンの指示によるもので、難しいかと......」
「ローヴェン?なんで?」
「ローヴェンはオルディス様の後釜を狙っており、常日頃、色々と画策しております」
「そう......なんか臭うわね......」
「レイバーンを落とした男は?」
「王都北門の衛兵詰所、牢屋に入っております」
「そっちは会えそうね。わかった。レイシアのことをリオンに伝えて。城に向かっているはずよ」
「レイシアに会う方法を考えて」
「あと、アリアとリズ、ガルドを北門詰所に来るよう伝えて」
「仰せの通りに」
「私はその男に会う」
そう言って二人は別れた。
長らく姿を消していたレイシア。
オルディス家とヴァルグレイン家とは、親戚のような関係。
幼い頃はよく一緒に遊んだ。
剣の才能に溢れた子だった。
団長に推薦したのは確かお祖父様だったはず......
一体、彼女に何があったの......
危機を脱したばかりだというのに、不穏な空気が世界を包む。
......勇者パーティーはまとまって動かなければ......
第37話に続く。
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